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酒税一本化で得するビール会社、損するビール会社

ニュースイッチ 10/3(月) 11:40配信

ビール構成比率が他社より高いアサヒは本当に有利?

 数年後にも予定される酒税の一本化を見据え、大手ビールメーカーがビール強化に動いている。アサヒビールとサントリービールはそれぞれ主力ブランドに続く新ビールブランドを投入し、キリンビールとサッポロビールはクラフトビールを強化中だ。ビールは減税となる一方、発泡酒と第三のビール(新ジャンル)は増税が予定される。缶チューハイを増税する動きもある。これらの商品は対ビールの低価格を強みに伸びてきただけに、酒税改正の時期や一本化までの期間が焦点だ。

<「ビールの税率が下がることは歓迎する」>

 「ビールの税率が下がることは歓迎する」。サッポロの尾賀真城社長は話す。現在の酒税は、350ミリリットル缶の場合、ビールが77円、麦芽比率25%未満の発泡酒が47円、第三のビールが28円。税制改正ではビール系飲料を一律55円前後にそろえる案が中心に議論される予定で、ビールの価格は二十数円安くなる。ビール愛好家には追い風になる。

 一方、発泡酒や第三のビールは価格上昇が避けられない。特に第三のビールにとっては、30円近い上昇だ。そもそも発泡酒や第三のビールが生まれたのはビール酒税があまりに高いため、ビールメーカーが価格を下げようと独自に技術を開発してきた経緯がある。増税が決まれば、投資が無になりかねず、メーカーの反発は強い。

 発泡酒に関しては、サッポロが2013年6月に発売したプリン体ゼロ・糖質ゼロの第三のビール「極ゼロ」に対し、国税庁が第三のビールに該当しない可能性があると待ったをかけた。

 サッポロは翌年5月に販売を中止し、7月に発泡酒に切り替えて再発売した。9月からキリン、アサヒ、サントリーもプリン体ゼロの発泡酒をそろって発売し、発泡酒で機能性を強調する流れが鮮明になった。第三のビールはこれに対し、あくまでも低価格を特徴とする。

“第三のビール”残るのは数ブランド

 低価格を特徴とする第三のビールは、税率が一本化されれば生き残れるのは数ブランドに過ぎないとの指摘もある。大手4社の第三のビール主力商品はアサヒが「クリアアサヒ」、キリンが「のどごし」、サントリーが「金麦」、サッポロが「麦とホップ」と「極ゼロ」など。市場が縮小すれば、各社とも商品戦略練り直しを迫られる。

 税率が一本化されれば機能性をうたう発泡酒に対して価格面の優位性が消失する。味や原料などの違いでどこまで差別化できるのか、ビールや発泡酒にはない新たなファッション性を打ち出せるかが焦点になる。同様のことは発泡酒についても言え、プリン体ゼロや糖質オフなどでビールとの違いを打ち出しているものの、一般商品については全部が生き残れる可能性は低い。

<好調・缶チューハイは戦略見直しも>

 ビール会社にとって、もう一つの争点は缶チューハイの増税だ。缶チューハイの代表ブランドはキリンの「氷結」「本搾り」、サントリースピリッツの「マイナス196℃」などで、いずれも売り上げは伸びている。

 アサヒも4月に新ブランド「もぎたて」を発売、販売好調で年間目標を2度にわたって上方修正した。第三のビールと同様、缶チューハイもビールと比べた低価格が強みになっており、増税されれば売り上げが落ち込むのは必至だ。

 伸び盛りの商品のため各社とも増産や新商品強化に動いており、この流れも修正を迫られる。キリンの布施社長は「仮に第三のビールが増税で缶チューハイが据え置きなら、消費は缶チューハイに流れ、戦略見直しが必要」と話す。

 メーカーにとって最悪のシナリオは、減税後もビール消費量が期待したほど伸びず、逆に第三のビールや缶チューハイがそれ以上、落ち込むというケースだ。そうなればアルコール離れがさらに進み、炭酸飲料など一般飲料との競争になる状態も考えられる。設備過剰が企業再編の引き金になる可能性もある。

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最終更新:10/3(月) 11:40

ニュースイッチ