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ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅教授の「オートファジー」とは?

ニュースイッチ 10/3(月) 18:58配信

「自食作用」はがん治療に革新をもたらすか

 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった東京工業大栄誉教授の大隅良典氏(71)が研究してきた「オートファジー(自食作用)」とは何か。

 細胞は飢餓状態の時に細胞内のたんぱく質などを分解し、再利用を図る。こうした「オートファジー(自食作用)」と呼ばれる現象の研究の先駆者が、東京工業大学科学技術創成研究院の大隅良典栄誉教授だ。1992年、酵母でオートファジーの観察に成功。その後、オートファジーはあらゆる動植物の細胞が備える基本的機能であることを示した。研究が進み、病気の発症や老化などの生理機能との関連も明らかになってきている。

<たんぱく質の分解も大事な現象>

 ヒトの体内では、1日に合成されるたんぱく質は約300グラムとされている。これに対し、ヒトが1日に摂取するたんぱく質の量は約80グラム程度だ。この差について、東工大の大隅栄誉教授は「たんぱく質は合成されるのと同じだけ分解されており、体内でバランスが取れている。合成されることと同じぐらい、分解は生物学的に大事な現象だ」と強調する。

 オートファジーで生体物質が分解される際には、分解対象となる生体物質に「目印」となるたんぱく質が結合する。「オートファゴソーム」と呼ばれる脂質膜の袋がその目印を認識して分解対象の生体物質を包み込み、リソソームや液胞などの分解専門の器官に運び込む。

 オートファジーは、しばしば資源のリサイクルに例えられ、特に飢餓のような状態ではリサイクルが非常に強まる。オートファジーにより、細胞内はきれいな状態が保たれる。細胞内に侵入する細菌を排除する仕組みなどにもオートファジーは関わっている。

 大隅栄誉教授は「分解は受動的な過程ではなく能動的な過程。合成の過程に劣らず、多くの遺伝子が分解の関わっている」と指摘する。オートファジーに関係する遺伝子は「Atg遺伝子」と名付けられ、これまでに18個見つかっている。

 関連遺伝子の判明によりオートファジーの解析は飛躍的に進展した。オートファジーに関連する論文の発表件数は、大隅栄誉教授が研究を本格的に始めた90年代初頭は年10件程度だったが、現在は同約5000件まで拡大している。

 オートファジーの解明が進むことにより期待されるのが、がんや神経疾患などの病気の治療法の開発だ。オートファジーの機能の異常は、神経疾患やがんを引き起こすことが示唆されている。

 例えば、一部の膵臓(すいぞう)がんでは遺伝子の異常などを原因にオートファジーが過剰に働き、がんの発症やがん細胞の増殖につながることが知られている。オートファジーを抑制することによって、がん発症やがん細胞増殖を抑えられる可能性がある。

 また認知症の6割を占めるアルツハイマー病は、神経細胞内に異常なたんぱく質が蓄積することで発症することが知られている。オートファジーの機構の解明によって、異常なたんぱく質の蓄積を防ぐ治療の開発につながることが期待される。

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最終更新:10/3(月) 18:58

ニュースイッチ

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