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高齢化で増える糖尿病 症状や合併症に差異

山陽新聞デジタル 10/3(月) 11:44配信

 高齢者糖尿病の特徴と注意点について、倉敷スイートホスピタル(岡山県倉敷市)の松木道裕院長に寄稿してもらった。



 わが国は世界に類をみない超高齢者社会へ向かっています。2010年には75歳以上の後期高齢者の割合は全人口の11%を占めていましたが、団塊の世代がすべて75歳以上となる25年には18%にまで増えるといわれています。

 現在、65歳以上の高齢者の単独世帯と世帯主が65歳を超える夫婦だけの世帯は1千万世帯を超えています。今後、高齢者の独り暮らしが増えてくると、糖尿病など自己管理の必要な慢性疾患の在宅での治療が難しくなってきます。

 一方、5年ごとに発表される厚生労働省の糖尿病実態調査によると2012年に「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性が否定できない人」は合わせて約2050万人と報告され、わが国の糖尿病患者は増加の一途をたどっています。

 加齢は糖尿病の強い発症因子の一つであり、急速な高齢化と相まって高齢糖尿病患者は急増していて、糖尿病患者の3分の2は高齢者であると推測されています。

 後期高齢者の糖尿病患者と心身に機能低下がある前期高齢者の糖尿病患者を高齢者糖尿病と言います。高齢者の糖尿病の特徴=表=は身体的、精神的な状況、そして社会的背景はそれぞれの患者によって異なり、非常に多様性に富みます。糖尿病と言われて期間が長い方から直近に初めて糖尿病と診断された方まで、個々の患者によって罹病(りびょう)期間は異なります。罹病期間が長い方は糖尿病神経障害、網膜症、腎症などの糖尿病に特有な合併症を有する頻度が高くなります。また、脳梗塞や心筋梗塞など動脈硬化が原因で起こる大血管障害を合併する頻度も高くなります。このような合併症が併発すると日常生活動作(ADL)にも支障が起きてきます。

 この他、加齢にともなって全身の筋肉量は徐々に減少し、脂肪の割合が増加し、内臓脂肪型肥満を持つ方が増えてきます。筋肉量が減ることで筋肉への糖質の取り込みが悪くなり、食事後の血糖値が上昇しやすくなります(食後高血糖)。加えて炭水化物を中心とした食事嗜好(しこう)も高齢者糖尿病で食後高血糖を示す要因の一つです。さらに体内の脂肪量が増えることでインスリンの働きも低下(インスリン抵抗性の増大)してきます。高齢になると糖尿病患者の頻度が増えてくる背景には、すい臓からのインスリンを分泌する機能が低下してくることに加え、食後の高血糖やインスリン抵抗性の増大との関連が考えられています。

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最終更新:10/3(月) 12:11

山陽新聞デジタル