ここから本文です

湧水、災害時に活用 横須賀・小原台町内会 建設業者が無償で提供

カナロコ by 神奈川新聞 10/3(月) 7:03配信

 地震などの大規模災害に備え、横須賀・鴨居地区の小原台町内会(堀口武会長、820世帯)が独自に、地中からしみ出す湧水を生活用水として確保した。町内であった宅地造成工事に合わせ、地元業者が無償で取水装置を整備し実現。行政の応急給水だけには頼らない「共助」の取り組みとして注目されそうだ。

 同町内会と不動産・建設業「栄林」(林秀海社長、横須賀市久里浜)が29日、断水時の無償使用を盛り込んだ防災協定を締結。市などによると、民間企業が保養所を避難場所として地域に開放するケースはあるが、生活用水の提供は例がないという。

 同社が町内の斜面地約2100平方メートルで一戸建て8棟を建設中、複数の湧出口を発見。居住者への配慮から透水管を埋設して1カ所に集約したが、「10分もあれば浴槽(約200リットル)がいっぱいになる」(同社)ほどの水量に着目し、町内会へ有効活用を提案した。

 地元住民らも、災害時の備えとして地域に残る古井戸の再生を進めており、飲料水以外の生活用水確保の選択肢が増えるとして受け入れた。

 造成工事と並行し、同社は敷地脇に深さ2メートルほどの井戸を設置。そこからポンプでくみ上げ、浄化装置を経て2カ所の蛇口へ運ぶ取水施設を整備した。林社長は「あふれ出るほどの豊富な水を無駄にしたくないと思っていた。地元の業者として少しでも地域に貢献できれば」と話す。

 町内会によると、小原台周辺は戦前、良質な地下水に恵まれた米どころで、皇室への献上米を生産していた記録も残る。堀口会長は「ここに(災害用の)水があるだけで、住民が安心を感じてもらえるはず」と、自然の恵みと地元企業の支援に感謝していた。

最終更新:10/3(月) 7:03

カナロコ by 神奈川新聞