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[インタビュー]「先制打撃は北朝鮮核問題の解決策にならない」

ハンギョレ新聞 10/3(月) 16:51配信

ウィリアム・ペリー元米国防長官  北朝鮮、核兵器・核弾頭の小型化に成功 韓日狙ったミサイル発射能力を保有 他の国への核技術の移転問題も懸念 核能力の凍結・不拡散に焦点を合わせるべき

 ウィリアム・ペリー元国防長官は今月26日(現地時間)、ハンギョレとの電話インタビューで、北朝鮮の核能力を冷静に評価しながらも、北朝鮮が核兵器を放棄させるのが事実上難しくなったとして、これを認めたうえで現実的な対応策を提示した。また、これまで韓米両国が推し進めてきた強硬な対北朝鮮政策が事実上「失敗」したと宣言し、「北朝鮮は簡単に崩壊しないだろう」との見通しを示した。

 -北朝鮮が核兵器の小型化に成功したと結論付けてもいいでしょうか?

 「そうだ。北朝鮮の核実験について多くの情報を持っているわけではない。しかし、北朝鮮がミサイルに搭載できる核兵器と小型化された核弾頭の実験を行っていると考えている」

 -だとすると、米国本土に直接的な脅威になるような水準に達したと思いますか?

 「まだその段階ではない。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を(大気圏に)再突入させる能力を保有していると信じる根拠がない。ただ、北朝鮮は韓国と日本に向けた中距離ミサイルを発射する能力を手に入れたのだ。(これだけでも)本当に深刻な問題だ」

 -北朝鮮が他の国家、あるいはテロ団体のような非国家的行為者(non-state actor)にも核技術を移転する恐れがあると見ますか?

 「北朝鮮はシリアに核兵器を販売した。北朝鮮が核技術の一部を移転できる可能性について留意すべきだ」

 -北朝鮮の外部勢力に対する脅威の認識、具体的に、米国の敵視政策が自分たちの生存を脅かしているという考えは正当化できるでしょうか?

 「北朝鮮は3つの目標を持っている。『金氏王朝』を守ること、国際的に尊重されること、経済発展だ。しかし、3番目の目標(経済発展)は前の二つの目標を実現するため、いつでも後回しにできると考えているだろう。制裁にもかかわらず、核兵器を開発してきたのも、そのためだ。北朝鮮の在来型の軍事能力が、韓国と米国に比べて劣っていることを考えると、北朝鮮体制がそのように(外部勢力が脅威だと)信じているのには、妥当な面がある。北朝鮮はその差を「核武力」で埋めようとしているのだ。もちろん、韓国や米国に北朝鮮を攻撃もしくは征服する意図があるとか、米国が北朝鮮に対して核攻撃を行う意図を持っているとは思っていない」

 -ジョージ・ブッシュ政権とバラク・オバマ政権の対北朝鮮政策を比較するなら?

 「ブッシュ政権が発足した当時、北朝鮮と交渉を進めていた。いわゆる『ペリー・プロセス』だ。『ペリー・プロセス』は、北朝鮮が核兵器を放棄する代わりに、前の2つの目標(北朝鮮体制の保存および国際的尊重)の追求を認めることだ。(きちんと履行されたなら)成功していたと思う。しかし、ブッシュ政権が2001年に執権してから、このような交渉を放棄した。オバマ政権も北朝鮮を交渉のテーブルに呼び戻すことに成功できなかった。2009年、オバマ大統領が政権を握った時、北朝鮮はすでに核兵器を開発しており、任務(ペリー・プロセス)がさらに難しくなった」

 -オバマ政権は、北朝鮮が核兵器の放棄を宣言し、誠意ある処置を取らなければ交渉できないと言っていますが。

 「もう状況が変わった。私たち(米国)に今できるのは、被害を制限することだけだ。今は(非核化に向けた)成功可能な戦略がないようだ。核兵器プログラムを(放棄させるには)もう手遅れだ。簡単に覆すことはできないだろう」

 -北朝鮮は核を放棄しないため、北朝鮮を崩壊させるか、崩壊することを待たなければならないと主張する人もいますが。

 「私たちは長い間北朝鮮が崩壊するのを待っていた。しかし、そのようなことは発生しなかった。それは戦略ではない。北朝鮮の人々は、厳しい経済状況を耐え抜く覚悟があるように見える。北朝鮮が崩壊するといういかなる根拠も、(私は)知らない」

 -先制打撃を主張する人もいます。

 「いいアイデアではない。現在の状況で実質的な戦略にはなれない」

 -北朝鮮と交渉をする際に、何を目標に始めるべきでしょうか。ジークフリード・ヘッカー博士の「3ノー(No)」提案などが依然として有効であると思いますか?

 「ヘッカー博士の提案は『北朝鮮に核兵器を放棄させるにはもう遅い』という事実を認め、(核物質など)核兵器の追加生産の禁止、(核実験など)性能向上の禁止、技術移転の禁止に焦点を合わせることだ。このようなものが交渉目標になり得る」

 -北朝鮮の核問題解決のために、ヒラリー・クリントン民主党大統領選候補とドナルド・トランプ共和党候補のうち、誰が米大統領により適していると見ますか?

 「クリントン氏を支持する。北朝鮮核問題だけでなく、外交政策全般を扱う能力を考えると、そうだ」

 -クリントン氏が対外政策においてタカ派的だという評価もありますが。

 「知っている。しかし、対北朝鮮戦略においては変化があり得ると見ている。(これまでの)対北朝鮮政策は失敗したことが証明されたからだ」

ワシントン/イ・ヨンイン特派員(お問い合わせjapan@hani.co.kr)

最終更新:10/3(月) 16:51

ハンギョレ新聞