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地域を越えて電力を取引しやすく、連系線の運用ルールを改正へ

スマートジャパン 10/4(火) 11:25配信

 政府の委員会が電力システム改革の貫徹を目指して検討に着手した重点施策は6項目ある。その中でも早急に実施すべきは「連系線利用ルールの見直し」である。発電事業者と小売電気事業者が地域を越えて電力を取引しやすくするために、現行のルールを改正することが急務になっている。

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 国内の電力市場は沖縄を除いて、9つの地域の送配電ネットワークを「連系線」で結んでいる。ところが地域間の連系線は容量が限られていて、容量がいっぱいになった場合には追加の電力を地域間でやりとりできない。ある地域で足りない電力を別の地域で余った電力で補うことがむずかしくなってしまう。連系線を効率的に利用できる仕組みを整備することは電力の安定供給に欠かせない。

 実際に連系線の容量が足りずに、卸市場で取引する電力を地域間で供給できないケースがある。特に北海道と東北を結ぶ「北海道本州間連系線」と、東京と中部を結ぶ「東京中部間連系線」の2カ所で頻発している。2016年4~8月の実績を見ると、卸市場で1日前に取引可能な電力のうち60%以上が地域を越えて供給できない状況だ。

 これでは発電事業者と小売電気事業者が卸市場を通じて機動的に電力を取引することができず、電力システム改革を推進するうえで重要な卸市場の活性化を阻害してしまう。特に東京中部間は電力の周波数が50Hz(ヘルツ)と60Hzで異なる問題がある。地域間で周波数を変換して電力を供給する必要があるために、連系線の容量が小さくてボトルネックになっている。

オークションで空き容量を割り当て

 容量の限られる連系線を数多くの事業者が効率的に利用し合う体制が望ましいことは言うまでもない。しかし現在は「先着優先」で容量を確保できるルールになっていて、電力会社が大半を占有している。新規参入の小売電気事業者が地域を越えて電力を調達しようと思っても、連系線に空き容量がないために断念するケースが発生してしまうわけだ。

 そこで政府の委員会では欧米の先進国の事例を参考に、市場原理に基づく連系線の利用ルールを提案する方針だ。現在のところ連系線の利用料は無料だが、有料に変更して入札によるオークション方式で容量を割り当てる案が有力である。

 有料のオークション方式に変われば、必要性の高い電力から連系線を利用できる仕組みになる。各地域の需給状況に見合った運用体制を作りやすくなり、特定の事業者が過剰に連系線の容量を確保する事態も防げる。

 ただし実施にあたってはオークションのシステムを整備する必要があるため、短期間で導入することはむずかしい。早くても2018年度からの実施が現実的だ。オークションを実施する主体になるのは、連系線の運用を含めて全国レベルの需給調整を担う電力広域的運営推進機関である。

最終更新:10/4(火) 11:25

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