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車線変更の安全確認も自動で行う、ボッシュが開発中の高速道路向け自動運転

MONOist 10/4(火) 6:25配信

 Robert Boschの日本法人であるボッシュは2016年9月28日、女満別テクニカルセンターにおいて開発中の自動運転車を公開した。高速道路を想定して、開発車両は時速100kmで車線変更や追い越しを行い、追い越し車線の車両が通り過ぎるのを待ってから自動で車線変更する様子も紹介。高速道路でのレベル3(操作と監視の主体はシステム)の自動運転は2021年に実用化する目標だ。

【追い越し車線の車両を見送ってから自動で車線変更する様子などその他の画像】

 また、当日はスマートフォンを使って車外から操作して自動駐車するデモンストレーションなども行った。ボッシュでは、社内の各製品の担当者が連携を強化できるよう組織体制を見直し、国内自動車メーカーの自動運転システムの開発をサポートしていく。

●高速道路の自動運転、センサーは何を使う?

 ボッシュのレベル3の自動運転車は、ホンダのセダン「レジェンド ハイブリッド」をベース車両とし、複数のセンサーや高精度地図を使用する。

 車両の四隅にはライダー(LiDAR:Light Detection and Ranging)と中距離ミリ波レーダーを、後方には長距離ミリ波レーダーとライダー、高精度GPSアンテナを搭載。車両の前方はライダー、長距離ミリ波レーダー、ステレオカメラで監視する。ステレオカメラはさまざまな応用を前提にカラーで撮影している。ライダーと高精度GPSアンテナを除いてボッシュ製品だ。

 「自動運転システムの冗長性を確保し、センサーの欠点を補い合うためのレイアウトだが、この組み合わせが正解だといえるわけではない。外装デザインの面でも議論が必要だろう」(ボッシュの説明員)。

 カーブの走行を快適にするため、ステアリングや加減速の制御には高精度地図も使用する。地図情報で進行方向のカーブの曲率を先読みし、横方向のGが一定以上にならないように減速して走行する。カーブは時速80kmまで減速するよう設定しているが、曲率によっては時速80km以下に減速して走行する。

 車載情報機器の画面では、自動運転中のシステムの動作や周辺の車両を検知した結果をドライバーに見せる。自動運転システムが準備中/作動中/停止中であることは色を分けて表示。右左折や直進といったシステムが行おうとしている動作は矢印で示す。ドライバーがステアリングかブレーキを操作すると自動運転は解除される。

 Robert Boschでは日独米で自動運転システムの開発に取り組んでいるが、こうした実験車両の構成は各拠点で共通だ。日独米の開発拠点は、それぞれの地域の道路事情を反映する役割を担う。

●実際に乗ってみると?

 試乗では、カーブを含むテストコースを高速道路だと想定して自動運転モードに切り替え、時速100kmまで加速。車線変更して前方車両を追い越す様子を紹介した。

 発進時、車載情報機器の画面では自動運転システムが準備中であることを示している。ステアリング上のスイッチを押すと自動運転システムが作動する。画面ではアイコンが黄色から緑色に変化し、作動中であることを示す。

 追い越し車線の安全を確認して車線変更し、時速100kmで快調に走行していくと途中でR=100のカーブに差し掛かった。自動運転システムは、ボッシュが作成/搭載した高精度地図とGPSアンテナで、自車とカーブの位置を把握している。乗員が不快に感じないようにカーブを走行するため、時速60kmまで減速するが、一気にブレーキをかけずに緩やかに速度を落としていく。十分に減速しているので、横に振られる感じはしなかった。自動運転システムはカーブが終わると再び速度を上げる。

 2度目の追い越しは、右側の車線を別の車両が走行しているシチュエーションが設定された。現在量産されているレベル2の自動運転システム搭載車が自動で車線変更するには、ドライバーが追い越し車線の安全を確認した上で方向指示器を操作する必要がある。

 レベル3の自動運転であるボッシュの開発車両は、追い越し車線の車両が通り過ぎるまで走行車線の前方車両に追従して直進を維持する。車載情報機器の画面でも直進することを示している。その後、追い越し車線を走る車両と十分な距離ができてから、車線変更した。ドライバーが確認しなくても、自動運転システムが車線変更をしないことを判断する。

 開発車両の助手席に乗車して一連の自動運転の制御を体験した。安定して速度を維持し、カーブでもスムーズに走行するので快適に感じられた。このように快適な運転で周辺監視までシステムが担い、ドライバーは他のことをするのが法的に認められるのであれば、安心して自動運転システムに任せることができるだろう。

 ボッシュ 専務執行役員 シャシーシステムコントロール事業部長のルッツ・ヒレボルド氏は「テストコース向けのチューニングなので、安定して走るのは第一段階にすぎない。その次に、自然な制御であることや、同じ条件で同じように動作することが必要になる」と述べた。

●スマートフォンで自動駐車、切り返しもスムーズに

 当日は、自動駐車支援のデモンストレーションも行った。使用するのは車両の前後に6個ずつ装着した超音波センサーのみ。センサーは車両の側面に搭載していないが、車速や車両の外形寸法、ステアリングの切れ角などを基に車両の横側の空きスペースも推定する。ボッシュが量産するセンサーの1つ。

 今回披露した自動駐車支援は、スマートフォンなどの端末を操作すると運転席が無人でも駐車できるようにしたものだ。

 自動駐車の手順は次の通り。並列駐車で車両が並ぶ前を通過した時に、超音波センサーが自車の車幅プラスアルファのスペースを検知すると自動駐車が可能だ。シフトレバーをいったんニュートラルに入れてからリバースに入れると自動駐車モードになり、スマートフォンの画面上の駐車スイッチを押している間のみ、後退や切り返しで車両が動く。ワンタッチで駐車が完了するようにしないのは、ドライバーの監視下で駐車させるためだ。

 ボッシュは、2020年以降のバレーパーキング(駐車場入り口から無人運転で駐車する)実用化に向けて、自動駐車時のドライバーによる監視を最小限に減らしていく。

●超音波センサー、応用編

 女満別テクニカルセンターでは、この他にも超音波センサーを活用した運転支援機能を紹介した。超音波センサーの装着位置は自動駐車支援の実験車両と同じく車両の前後に6個ずつ、合計12個だ。自動駐車支援で車両の横側の空きスペースを検知したのと同様に、車両の左右にある障害物も検知する。

 1つは、車両の前後左右に搭載したカメラの映像を合成したサラウンドビューとの組み合わせだ。カメラの映像に超音波センサーが検知した障害物の位置も合成することで、視覚的に分かりやすく周辺の状態を示す。

 また、ステアリングの角度やギアの種類に合わせて映像や警告表示を切り替える。例えば、車両の右側に巻き込まれる位置に障害物がある時、そのまま右にステアリングを切り続ける場合には警告を表示するが、巻き込まない角度にステアリングを操作した場合には通常の俯瞰表示とする。同様に、車両の目の前に障害物がある場合、ギアがドライブに入っている時は警告するがリバースなら後方の映像に切り替えるなど、ドライバーの操作と車両の軌道に合わせて死角をサポートする。

 こうした超音波センサーの障害物検知を低速走行時や駐車時の自動ブレーキにも応用する。駐車時の自動ブレーキは既に欧州市場向けに搭載されており、今後日本でも普及していくという。特に駐車スペースが狭いアジアでは、駐車時の自動ブレーキの需要が高まると見ている。

●日本でのシステム開発を強化

 ボッシュでは製品ごとの性能向上に取り組んできたが、製品同士の連携が求められる自動運転の実現に向けて、システムとしての開発に重点を置く。システム開発部門を日本国内に新設し、60人以上のエンジニアが既存の組織の枠組みを超えて技術の連携に取り組んでいる。

 こうした体制で、日系自動車メーカーの開発のサポートや、日本独自の交通事情を反映させた自動運転の開発に注力していく。

最終更新:10/4(火) 6:25

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