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高裁の権限逸脱主張 辺野古訴訟の沖縄県上告 求められる徹底検証

琉球新報 10/4(火) 7:30配信

【解説】
 翁長雄志沖縄県知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを「違法」とした福岡高裁那覇支部の判決を受け、沖縄県は最高裁に上告理由を説明する書面を提出した。十分な検証を経ずに国側の主張を次々と認定した高裁判決に対し、県側は改めて審査過程の「欠落」や「不備」を指摘した。


 最高裁の審理対象は憲法違反または判例、法令の解釈に関する重要な違反に限定されていることから、新基地建設が憲法に触れる点を指摘したほか、高裁判決を「論理法則違反」「経験則違反」「審理不尽」など法的観点から検証し、最高裁での審理に備えた形だ。

 原判決は埋め立て承認の当否を判断する行政庁である県に“成り代わる”形で、福岡高裁が前知事の承認に「裁量権の逸脱はなかった」と結論付け、承認取り消しは違法だと断じた。

 県は提出した書面で、高裁が審査の具体的な「判断基準」も示さず、さらに県が申請した専門家への尋問も行わなかった一方で、専門的な分野を含めて国側の主張を全面採用した訴訟指揮の在り方を批判した。

 判決は結論部分でも「普天間飛行場の被害を除去するには本件新施設等を建設する以外にない」とまで言い切ったことが波紋を呼んだ。「辺野古が唯一」とする政府の主張を追認した内容に対し、県は「司法判断の限界、裁判所の権限を逸脱したものだ」と、公有水面埋立法の解釈に関する違反を指摘している。

 県側は県民の民意に反して国内法の及ばない米軍基地の建設を強行するのは憲法違反だとも主張している。辺野古埋め立て計画の合理性、住民生活や自然環境への影響、公益性などの観点から、高裁判決に審査の欠落はなかったのか―。同判決には勝訴を歓迎する政府側からも「言わなくてもいいことまで言っている」と、司法の“逸脱”具合に戸惑う声も聞こえる。最高裁では原判決の徹底的な検証が求められる。
(島袋良太)

琉球新報社

最終更新:10/4(火) 10:07

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