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人工知能で走る搬送用ロボ、目指すのは生産ラインの「超柔軟性」

MONOist 10/4(火) 6:25配信

 オムロンは2016年10月3日、人と機械が協調したモノづくり現場の実現に向け、米国子会社オムロンアデプトテクノロジーズ(以下、OAT)が開発した「屋内用モバイルロボットLDプラットフォーム」2シリーズ4形式を2017年1月20日より世界33カ国で一斉に発売すると発表した。

【モバイルロボットの基礎技術などの画像】

 OATは2015年9月にオムロンが買収を発表※)。オムロンの制御技術とOATがもともと保有していた産業用ロボット技術を組み合わせることで、新たなモノづくりの価値を実現することを目指してきた。

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 2016年4月にはOATの産業用ロボットの販売も開始。既に両社を融合した取り組みが進んでいる※)。

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 こうした流れの中、両社の強みを組み合わせ新たな付加価値を実現したのが、独自の人工知能(AI)技術を搭載した「モバイルロボットLD」である。

●環境地図作製と自己位置推定を同時に実現

 「モバイルロボットLD」は、モノづくりの現場をはじめ、研究施設、物流倉庫などさまざまな屋内空間で、人や障害物を自動で回避しながら最適なルートを自ら考え、決められた場所に荷物を届ける搬送ロボットである。

 従来の無人搬送車(AGV)が、ルートを定めるためにレールの役割を果たすマーカーや印などを設置しなければならなかったのに対し、新製品では、内蔵するレーザースキャナーで動作環境を測定し、SLAM(環境地図作製と自己位置推定)技術によって移動可能な範囲の地図を自動的に作製。地図とレーザースキャナーの測定結果を照らし合わせて自らの位置を特定しながら、人や障害物をどのように動いて避けるかをリアルタイムに考え、ぶつかることなく、最大130Kgの搬送物を運ぶ。さらに、カメラオプションを搭載することで、物流倉庫など頻繁に荷物の位置が変化する環境にも柔軟に対応可能としている。

●トータルコストは通常のAGVと変わらないレベル

 今回の「モバイルロボットLD」はユーザーカスタマイズタイプ「OEM」と台車付オールインワンタイプ「カートトランスポーター」の2シリーズを用意しており、「OEM」は上部にユーザー自らがキャビネットやコンベアなどを取り付けることで使用環境に合わせた最適な自動搬送を実現することができる。

 価格については「現状ではまだ決まっていない」(オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー ロボット推進プロジェクト副本部長の池野栄司氏)としている。単品の価格については、通常のAGVに比べると高額にはなるが「通常のAGVが走行するためのレールなどを設置しなければならないことを考えれば、これらのコストが不要であるため、トータルコストではそん色ないレベルになる」池野氏は述べている。

●モバイルロボットが実現する生産ラインの「超柔軟性」

 オムロンが考える人とロボットの関係性の進化は、「従来の『共存』から、人とロボットが同じ空間で働く『協調』のフェーズに入ってきた」(池野氏)。さらにこれらが進化し将来的には、人とロボットが自律的に一緒に働くことが理想だとする。

 さらに、こうした取り組みで実現する「超生産性」に加え、将来の生産ラインには「『超柔軟性』が求められる」と池野氏は述べる。超柔軟性とは、汎用機の組み合わせやモバイルロボットの活用などで、需要変動や超短期立ち上げに対応する取り組みのことである。具体的にはモジュール化された工程の間を無人搬送機が需給などに合わせて、自律的に移動や運搬を行い、常に最適な生産が行えるようにするというものだ。ドイツ連邦政府が主導するモノづくり革新プロジェクト「インダストリー4.0」などでも、柔軟な搬送による生産ラインの実現が1つの形として紹介されている。

 池野氏は「生産ラインの自由な組み換えなどを実現するためには、自律的に搬送できるモバイルロボットが大きな役割を果たす。モノづくりのさらなる生産性向上に貢献する」と述べている。

最終更新:10/4(火) 6:25

MONOist

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