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【千葉魂】 デスパイネが見せた心配り 警備員へ、サプライズプレゼント

千葉日報オンライン 10/4(火) 11:29配信

 「一つ、欲しいものがある」。これまで頼みごとをすることのなかったデスパイネ外野手が珍しくチームスタッフにお願いごとをしていた。球団公式キャラクターであるマーくんの大きなぬいぐるみが欲しいと言う。お立ち台に上がった選手だけがもらえるヒーローマーくん。それを「特別にもらえないか」と嘆願をしてきた。

 「今日、どうしても渡したい人がいるんだ。残念ながら今、手元になくてね。なんとか一つだけ特別に用意してくれないか。次、ヒーローになった時に返すから」

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 渡したい人。それは75歳になるQVCマリンフィールドの球場運営に携わる警備員だった。9月28日のホークス戦を最後に9年前からの務めを終える。それを伝え聞いたデスパイネは最後にサプライズのプレゼントを用意したかった。その熱い気持ちに、本来はヒーローになるまでは手に入れられないルールだが、特別に前借りが許された。手にすると、その巨漢を揺さぶり、喜びを表現した。そして早速、マジックペンで「ARIGATO(ありがとう)」と書き、自身のサインを添えた。

 「彼への感謝の気持ちを込めたのだ。75歳で、仕事をしているなんて素晴らしいよね。いつも笑顔で、元気にあいさつをしてくれた。もう、その笑顔を見れないと思うと寂しいね」

 交流は今年から深まった。いつもロッカーと食堂の間の廊下での警備を担当していた。聞くと毎日オリオンズ時代、小学校の時からのファンだという。都内でサラリーマンをしていた。定年後、余生をゆっくりと楽しもうと思っていたが、新聞の求人にてマリーンズの本拠地で警備業務の仕事を募集をしている記事を見つけて、いてもたってもいられなくなり、応募した。

 「そんなに長い事、ウチを応援してくれているのか!」

 デスパイネはそのことに感動をして、コミュニケーションを深めた。いつも帰り際に声をかける。それが日課となった。今年の9月。その警備員は体力的な問題も考慮し9年間に及ぶ務めを終え、余生を楽しむため、仕事を辞めることを決めた。そして交友を深めたデスパイネにその旨を伝えた。マリーンズの主砲は、寂しそうな表情をした。それから、ずっとサプライズを考えていた。だから、勤務最終日の試合後。帰り際に「ちょっと、いいかい?」と声をかけるとヒーローマーくんのぬいぐるみをプレゼントした。主砲からの突然の餞別(せんべつ)の品に、警備員は驚き、続いて満面の笑みが広がり、受け取った。

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 「これからはまた一人のファンとして一生懸命応援をします。あとは趣味の旅行や山登りをしようと思っています。まずは京都に行く予定です。デスパイネ選手は本当にいつも声をかけてくれた。とても素晴らしい方だという印象でした」

 プレゼントを大事そうに抱えながら、最後の業務を終えた警備員はQVCマリンフィールドを後にした。「ARIGATO」。デスパイネの思いやりの詰まったぬいぐるみはきっと家宝となるはずだ。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

最終更新:10/4(火) 11:29

千葉日報オンライン