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三越伊勢丹「人工知能ソムリエ」が示すショッピングの未来

SENSORS 10/4(火) 11:00配信

伊勢丹新宿店でAIがソムリエや利き酒をするサービス実験がスタートしたと聞き、背景、戦略、顧客の意見を伺いに伊勢丹に向かった。

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伊勢丹新宿本店はテクノロジーのショーケースとして注目している。SENSORSでも取材をしてきた歌詞が見えるスピーカー「リリックスピーカー」や光る靴「Orphe」、レーザーカッターや3Dプリンターを活用するファッションデザイナー「ユイマナカザト」らの作品は伊勢丹で実際に見て体験することができる。その三越伊勢丹が新たな取組として人工知能を活用したAIソムリエを導入し、AIを活用した接客を行っている。「人工知能は顧客体験を高めるため」のものと語る株式会社三越伊勢丹ホールディングス 情報戦略本部 IT戦略部 IT戦略担当部長 北川竜也氏と人工知能「SENSY」によるソムリエサービスを提供するカラフル・ボード代表取締役CEO 渡辺祐樹氏に取材した。

今回伊勢丹新宿本店本館地下1階グランド・カーヴ(ワイン売り場)に導入されたAIソムリエサービスは3種類のワインをテイスティングし渋み・甘み・余韻・好みなどを答えると人工知能ソムリエがおすすめのワインを提案してくれるというもの。8月末に日本酒売り場にてAI利き酒師のイベントを約1週間実施し、アップデート版としてワインのAIソムリエを9月14日~9月27日の2週間行った。人間のソムリエではなく、人工知能のソムリエに対して顧客の反応はどうだったのか?人工知能が顧客体験をどう変化させるのか?「ショッピング」の未来はどうなるのか?

■顧客価値を最大化させるための人工知能による実証実験

--現時点での人工知能」を活用したサービスの反響を教えてください。

渡辺: 8月末に約1週間日本酒で「AI利き酒師」接客を行った結果、想定よりも多くの方に試していただき購買につなげることができました。お客様の反応ですが、いままで出会えなかった日本酒と出会えた、新しい視点を得られたなどポジティブなコメントをいただけました。8月に日本酒で試した結果をもとに、ユーザーインターフェイスやサービス導線などの課題を改善し、現在ワイン版で人工知能ソムリエサービスを行っております。ワインでの実証実験が終了した後に、また改善点を探り、来月日本酒を再開する、という“フィードバックと改善“を繰り返して実オペレーションに向けてのアップデートを重ねていきます。

目指している世界は、今回のAIソムリエサービスでも利用している人工知能「SENSY」がお客様の感性を理解して、結果として新しい商品や体験を提供し、人々の生活が豊かになること。商品選びを助けるだけではなく、感性に基づいた商品企画や商品仕入れ、接客やマーケティングまで行ないたいと思っております。

--「顧客の感性を掴む」ための人工知能がSENSYの特徴なのですね。さて、北川さんに伺います。何故人工知能を活用した接客を導入しようと考えたのでしょうか?

北川: 我々が大事にしているのは『顧客価値(新たな顧客体験をどうつくっていくか)の向上』と『生産性の向上』です。百貨店という空間を活かしてアナログな店舗接客とデジタルなソリューションを融合させて新たな顧客体験をご提供することが大事だと考えています。なので、「人工知能の活用」がゴールなのではなく、今回のプロジェクトを活かしてお買い場が顧客価値を最大化させることがゴールになります。

--アナログとデジタルを融合する際のチャレンジポイントを教えていただけますか?

北川: デジタルの本質は「統合」にあると考えています。これまでの百貨店という空間は分散型でうまくいっていました。具体的には、例えば日本橋三越と銀座三越、新宿の伊勢丹はそれぞれ個性を出して独自の接客やオペレーションを行うことで、お店の色が作られ、お客様にご指示をいただくという形で成功してきました。ですが、ことデジタルの観点で捉えなおすと、それぞれの店舗がバラバラのシステムやオペレーションを行うと、コスト高となり、効率が悪く、結果お客様の利便性を下げてしまう、ということになってしまいます。デジタルの本質が「統合」にある、というのはそういう意味です。また、人間のオペレーションだと例えば新宿の1店舖内だけとってみても、地下2階から屋上までの売り場のすみずみの商品を全部把握するのは困難です。地下から屋上まで、百貨店の空間を楽しんでくださるお客様の行動に寄り添う形で人工知能やデジタルを活用した接客が出来れば、お客様のニーズにも寄り決め細やかに対応できると感じております。

--よりお客様に喜んでいただく体験を作るために人工知能を活用しはじめた、ということですね。さて、あまたある人工知能サービスからなぜカラフル・ボードさんのSENSYを採用されたのでしょうか?

北川: カラフル・ボードの目指す「人間のクリエイションを応援したい。ファッションを元気にしたい。」という世界観をリスペクトしています。もちろん人工知能に対しての知見が深いという理由もありますが、人工知能の活用はまだまだ答えが見えている世界ではないので、一緒に考え、試行錯誤するのに最適なパートナーと考えての決断です。

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最終更新:10/4(火) 11:00

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