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さようなら「タコ公園」 写真家が見た、変わる社会と変わらない子どもたち

BuzzFeed Japan 10/4(火) 10:22配信

真っ赤なタコの滑り台をシンボルに、「タコ公園」の名前で親しまれてきた調布駅前公園。

地域の再開発工事に伴い、44年の歴史に幕を下ろし、9月末に閉園しました。

最終日となる9月30日には「お別れ会」が行われ、子どもから大人、年配の方まで幅広い世代の人が集まり、別れを惜しむ姿が見られました。

市にお別れ会の開催を呼びかけたのが、10年にわたりタコ公園を撮り続けた地元の写真家、西山貞子さんです。

BuzzFeed Newsは、タコの滑り台とそこで遊ぶ子どもたちを見守り続けた西山さんに、今の思いを聞きました。

新しい遊びを生み出す子どもたち

調布駅前公園のタコの滑り台は1971年にこの場所に設置されたもの。西山さんは、自身が調布に住み始めたころにはすでにあった「先住民」と親愛を込めて話します。

西山さんによると、ダイナミックで少し不思議な姿が印象的なタコの滑り台は、多いときは日本全国200カ所以上の公園にあったそうです。

職人の手によって、鉄筋とモルタルで形作られたタコたちは、1体ずつデザインや大きさが違います。

西山さんが調布駅前公園のタコを撮り始めたのは80年代のはじめ。当時通っていた写真学校の課題の題材として、通勤途中に通りがかる公園と、そこで遊ぶ子どもたちに目を留めたのがきっかけでした。

「同じ遊具でも、子どもたちはどんどん新しい遊び方を生み出していくんです。十数センチの細いへりをすべってみたり、変なところにのぼってみたり。大人から見たら危なっかしいことでも、そうやって創意工夫することに意味があるんですよね」

昭和の終わりから平成のはじめにかけ、高度経済成長期を経て、日本社会が大きく変化した10年。レンズに映る彼らには変化はあったのでしょうか。

「撮っていた10年よりもそのあとの変化の方が大きく感じます。それも、子どもの遊び方というよりも、プライバシーをはじめとする社会の意識ですね」

「ある時期から、遊んでいる子どもたちのカメラを向けていると『親御さんですか?』と聞かれるようになってしまって。被写体として追いかけることはやめてしまいました」

少子化が進む中、プライバシー面だけでなく、近隣住民からの苦情でボール遊びが禁止になったり、危険性があると遊具を撤去したりなどの対応を取る公園も少なくありません。調布駅前公園のように、再開発の影響で失われる公園も全国にあります。

「けがをする、危ない、という理由で子どもたちが遊ぶ場所が減っていくのはさみしいですね」

「楽しく遊ぶ彼らをずっと見ていて気づいたのは、人間はまねすることで成長していくんだということ。自分にはできないけど年上の子はできている何か、を見よう見まねでやってみながら、頭と体が鍛えられるのだと思います」

タコの滑り台はセメントで形成されており、解体できないため、既存の公園への移設は難しいそうです。西山さんはそれでも、新たな「タコ」と調布の地でまた出会えることを期待します。

「お別れ会の開催を願い出た理由は、次は新しい場所で『こんにちは』を言うため。『さようなら』の次は『こんにちは』でしょう?」

次世代「タコ」は?

調布市によると、2018年度には駅周辺に新たに公園を設置する予定とのこと。

緑と公園課の代田敏彦課長は、BuzzFeed Newsの取材に対し、「新たな公園にもタコの滑り台を」という住民の声は西山さん以外からも届いており、検討事項の1つとして上がっていると話しました。

「公園に求められるものは時代に合わせて変化してます。例えば、子どものための遊具だけでなく高齢者向けの健康器具があってもいい。今の時代にあった愛される公園を新たに作れれば」

最終更新:10/4(火) 10:22

BuzzFeed Japan

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