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VAMPS 籠城型ライヴハウスツアーセミファイナルを詳細レポート/ライブレポート・セトリ

エキサイトミュージック 10/5(水) 13:45配信

 
■VAMPS/【VAMPS LIVE 2016】ライブレポート
2016.09.16(FRI)at ZEPP TOKYO
(※画像10点)

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「この貴重な瞬間をかみしめて!」

VAMPS恒例の籠城型ライヴハウスツアー【VAMPS LIVE 2016】ファイナル前夜の9月16日(金)、ZEPP TOKYO公演に足を運んだ。各40分間のサポートアクトを務めたのは海外ゲストの2組で、18時30分にまずはアメリカのメタル・バンドIN THIS MOMENTが登場。痛みと悲しみをダークなへビー・ロックに昇華し、エンターテインメント性も高いステージを展開。風にあおられて巨大な黒いフラッグとブロンドをなびかせるマリア(Vo)はセクシーな異界の魔女のようにステージに君臨、その存在感とパワフルな歌声で度肝を抜いた。続くフィンランドのAPOCALYPTICAはVAMPSと「SIN IN JUSTICE」を共作、ステージでの共演経験もある3チェロとドラムからなるメタル・バンド。ヘッド・バンギングしながら屈強な男たちがチェロをかき鳴らす姿はダイナミックでユニーク。時折盛り込まれるクラシカルで優美なアンサンブルがまた素晴らしく、静と動の巧みなコントラストで豊かなサウンドスケープを描いていた。


転換を経て、VAMPSのアクトが幕開けたのは20時17分。マンハッタンのビル群風の映像が投射されるステージにメンバーが登場、頭部をすっぽりとフードで覆ったHYDEが手を挙げながらセンターにたどり着く。1曲目の「LIPS」から軽やかな身のこなしを見せ、全く力みのない余裕ある歌声を響かせた。「DEVIL SIDE」のサビでフードを脱いで、あらわになった黒い艶やかなストレートヘアを揺らしながら、随所を観客に歌わせ、熱の交換を図る。終盤ではK.A.Zもセンターに歩み出て、観客の注目を引き付けた。続けて「REDRUM」をテンポよく畳み掛けると、赤い炎があちこちで噴出、勢いよく滑り出したこのアクトを一層熱く後押しする。HYDEはキレの良い動きでリズムに合わせてジャンプを繰り返し、最後、パンチをくらわすようなアクションで拳を振り下ろすのを合図に音とライトが消え、赤い炎の残像がまぶたに浮かんだ。スモークが立ち込める中、「首洗ってきたか、BLOODSUCKERS? 全部出してくれ!」とジャパニーズ・バンパイアらしくあおると、「EVIL」へ。K.A.Zの刻むギターリフは刃物のように鋭利で、へビー・メタルの様式美にクールさをもたらしている。<You called out my name!>と繰り返すHYDEの歌声は断末魔の叫びのようで、人間離れした妖気を放った。間髪入れずつなげた「VAMPIRE DEPRESSION」も「EVIL」に共通する魔界感で会場の空気をより濃密にした。艶を帯びた歌声からシャウトへと急変するHYDEのボーカリゼイションに圧倒されていると、続く「DOLLY」でも凄まじい迫力のスクリームで圧倒、どよめきのような歓声が沸き起った。  



アッパーに始まりへビーに、ディープに、緊迫感を高めながら展開していたステージは、「SECRET IN MY HEART」で風向きを一変。ニューウェーブ感の漂うギターアルペジオを印象付けながら、疾走感のあるメロウな歌を響かせた。サビのHYDEの歌の表現が豊かで、しゃがみ込んだ姿勢で腕を動かしながら、目に見えない何かの存在を感じ、歌い表しているかのようだった。ラストは、背を向けて右腕を伸ばし、ひざまづいた末につんのめるように倒れ込むまで熱唱。自らの身体を歌にささげるような、迫真の歌唱だった。暗転の後、ピアノの調べが短調から長調に切り替わり、「VAMPIRE’S LOVE」のイントロへとならだかに移行。パープルのライトに照らされたHYDEが、一輪の赤いバラを手にスタンドマイクの前にたたずみ、情感を込めて丁寧な歌を紡いでいく。かすれたような、喉の擦れるようなアクセントを付けたり、<今でも>と長く伸ばした音にはフェイクを盛り込んだり、音源とは歌い回しを変えてファルセットで歌ったり、たった一音の中でも刻々と色を変えたり……泣きそうになったかと思えば、その直後には力強く気持ちを込める、といった感情の機微を事細かに歌声で描写していた。同じく、思いを通じ合わせることのできない愛を歌った「GHOST」も、限りなく丁寧に歌唱。緑や青のライトが放射され美しく彩るステージに立つHYDEは、じっと聞き入る観客に見つめられながら、静かに歌に集中しているように見えた。暴れる、騒ぐといった狂騒とはベクトルが異なるものの、同等の、いやそれ以上の熱量を聴き手に与える深い表現がそこにはあった。



「楽しんでる?」と観客に語り掛けたHYDEは、「あ~」とうめきながらパーカーを両手で広げ、IN THIS MOMENTのマリアのものまねにトライ。「風が出て来るのがちょっと遅い(笑)」と笑わせた。2階席を見やり、APOCALYPTICAのメンバーを発見すると「パーヴォいた! 毎回ちゃんと見てくれるんだよね、いい人!」と感謝を述べる。ツアー後に氣志團万博やアコースティック・ライヴを控えていることに触れ、「ライヴ中は全力。『HYDE、セーブしてるな』と思われるのが一番イヤやから。BLOODSUCKERSも全部出さないと、悔いが残るよ?」とあおった後、「RISE OR DIE」(新曲「INSIDE OF ME」のカップリングで、ドイツのインダストリアルメタルバンドRammsteinメンバーとの共作)を披露した。重いリフと硬質なロック・ボーカルが新鮮に響く楽曲だ。客席に随所マイクを向けて歌わせ一体感を高めた後は、K.A.Zが前方へ歩み出て「AHEAD」のスリリングなリフを刻み始める。HYDEもギターを手にし、「準備はいい? BLOODSUCKERSのすげぇとこ、見せてくれよ! Are you fuckin’ ready?」とたき付けた。飛行機が離陸し視界がどんどん開けて行くような、圧倒的な爽快感を味わわせると、「COUNTDOWN」のグルービーなイントロへ突入。右手で髪をかき分けつつHYDEは気怠く歌い出す。荒っぽさとダークな美しさを自在に使い分ける丁寧な歌唱は、安定感に満ちていた。



ここまでも既に濃密なステージを展開していたのだが、さらなる見せ場が訪れる。「SIN IN JUSTICE」のイントロをリフレインしながら、HYDEは「もっともっともっと! 大きい声出して! そんなんじゃヤツらは来ないぞ!」とAPOCALYPTICAのメンバーを呼び込んだのだ。ドラマティックな展開と哀愁を帯びた旋律が美しいこの曲。強じんなドラミングと迫力のトリプル・チェロとの相乗効果で、HYDEの歌声はエモーショナルな表現にますます磨きを掛けていく。K.A.ZもAPOCALYPTICAのメンバーと向かい合って最後のアンサンブルをともに紡いでいく。最後、音が止まった瞬間は鳥肌が立ち、会場は大きな拍手に包まれた。「皆の声が大きいから彼らに届いたようだね。もっと声聞かせてくれよ。一緒に行こう!」(HYDE)とあおって「BLOODSUCKERS」を投下。火柱が立つステージをウロウロと周回し、野生をむき出しにした動きを見せると、「もっと悪い子になっちゃえよ!」と観客の理性をも取り払うフレーズを連呼。ボトムのごう音が全身を打つように響いて来て心拍数が上がるのを実感した。「Are you?」「BLOODSUCKERS!」の応酬をファンと何度も重ねながら、K.A.Zに寄り掛かって笑顔を見せながら歌う一幕も。HYDEが床に仰向けになって幕切れたところへ重厚なイントロが忍び寄り、「MIDNIGHT CELEBRATION」がスタート。K.A.Zはギター回しを繰り返し、HYDEは目が回りそうな勢いで軽やかに、舞うようにターンしながらシャウト。火柱が噴き上がる中、狂乱の様相を呈して一旦、幕を閉じた。


メンバーが再登場すると、HYDEは拡声器を手にサイレンをうならせ、新曲「INSIDE OF ME」を披露。この曲では、勢いよく迷いなく声を真っすぐ放るような、歯切れ良い歌い方をしてみせた。「皆、楽しんでる? 長くなっちゃってるけど、終電大丈夫?」とファンを気遣いながら、「ツアーも残すところ1本になっちゃって……。ま、曲つくってるからね」と、今後の展開を匂わせつつ、「K.A.Zくんが頑張ってます。いっぱい曲あるもんね? なかった(笑)?」とK.A.Zをイジる形でMC。「このバージョンのVAMPSは最後だから、この貴重な瞬間をかみしめてね。イカみたいに味わってね(笑)。悔いのないように、皆はっちゃけていってください」と語り掛け、「TIME GOES BY」ではシンプルな歌の良さを堪能させた。続く「LOVE ADDICT」では長めにアレンジされたイントロで、HYDEとK.A.Zはギターリフをユニゾン、観客の掛け声と対話するようにして息を合わせる。二人がセンターで向き合ってリフを弾いた後、バンド全体でのイントロへと突入。HYDEはさまざまな声色を聴かせ滑らかなボーカリゼイションで魅了した。ラストは「SEX BLOOD ROCKN’ ROLL」。スモークが噴出する中、ステージもフロアも激しく荒れ狂い、22時5分、「ラスト一日、首洗って待ってろよ!」(HYDE)という言葉で長い夜は終わった。


HYDEの留まることを知らない歌の進化に圧倒され、APOCALYPTICAとの共演場面を含む“聴かせる”シークエンスを織り込んだセットリストにうならされた、濃密なステージ。北米ツアーが発表されたのはこの数日後だったが、今振り返れば、戦うための地固めを丹念にしていたような、深い集中を感じられるライヴだった。
(取材・文/大前多恵)

≪セットリスト≫
1. LIPS
2. DEVIL SIDE
3. REDRUM
4. EVIL
5. VAMPIRE DEPRESSION
6. DOLLY
7. SECRET IN MY HEART
8. VAMPIRE'S LOVE
9. GHOST
10. RISE OF DIE feat. Richard Z. Kruspe of Emigrate / Rammstein
11. AHEAD
12. COUNTDOWN
13. SIN IN JUSTICE
14. BLOODSUCKERS
15. MIDNIGHT CELEBRATION
16. INSIDE OF MEfeat. Chris Motionless of Motionless In White
17. TIME GOES BY
18. LOVE ADDICT
19. SEX BLOOD ROCK N’ ROLL

最終更新:10/6(木) 13:30

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