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ボロボロになりながらも、引退しない松坂大輔の末路

ITmedia ビジネスオンライン 10/5(水) 14:47配信

 かつて日米を沸かせた怪物伝説も、とうとう終焉(しゅうえん)の危機を迎えてしまった。福岡ソフトバンクスホークスの松坂大輔投手が10月2日、今季レギュラーシーズン最終戦の東北楽天ゴールデンイーグルス戦でマウンドに立った。一昨年のオフにメジャーリーグから8年ぶりとなる国内復帰を果たしたものの不調やコンディション不良が重なり、ここまで一軍昇格は一度もなし。やっと移籍2年目にして最後の最後でチャンスを与えられたが、8回1イニングのみの登板ながらも3安打4四死球5失点と見るも無残な内容に終わった。

【松坂大輔の成績】

 「結果の良し悪しに関わらず1軍で投げられたのは良かった」

 試合後、報道陣に囲まれた右腕はこのように前向きなコメントを残した。しかし、その言葉が本心であったとは到底思えないし、思いたくもない。もし仮に「良かった」と心の底から感じているとしたら、松坂大輔は今すぐにホークスへ引退を申し出るべきである。

 この日の投球はかつて「平成の怪物」と呼ばれた超一流投手のピッチングからかけ離れていたどころか、とてもプロのレベルとは言えないひどい内容だったからだ。だからこそ普通に考えれば本人は「申し訳ない」の言葉のみに終始し、ここまで続けてきた現役生活に諦めがついても何ら不思議はなかった。

 今季は3年契約の2年目で確かに契約はあと1年残されている。それでも自ら来季の年俸を返上してユニホームを脱ぐ道を選べば、まだ格好は付くはず。だが松坂はそういう空気感に逆らうかのごとく「(二軍ホームグラウンドの)筑後に戻って、またがんばる。そして来年に向けてイチから作り直したい」と述べ、現役続行に強い意欲を見せていた。

●1球当たり約2050万円

 案の定、松坂の言動に対して、ネットは大炎上。ユーザーたちが「おいおい、これでもまだやる気なのかよ」「松坂がチームに居残ってオフにクビを切られる他の選手たちに示しが付かない」などと容赦ないバッシングで集中砲火を浴びせていた。当たり前である。

 松坂はホークスと3年総額12億円プラス出来高(推定)という巨額契約を結んでいる。ここまで一軍公式戦で投げたのはこの2日の楽天戦のみなので、わずか1試合の登板によって2年間の総年俸8億円を手にした格好となるのだ。しかもこの楽天戦での投球数39球を8億円で割ると、1球当たりにつき何と約2050万円という計算になる。この数字を見れば、いくら財政に余裕のあるホークスでもさすがにご立腹だろう。

 以前も当記事で裏事情について触れたことがあったが、松坂はソフトバンクの孫正義オーナーからそのカリスマ性を惚(ほ)れ込まれ、強いラブコールによって入団した背景があると言われている。いわば、その地位は契約がある以上、まず「安泰」なのだ。

 しかしながら、もうさすがに周囲も我慢の限界に達している。ホークスで要職に就く球団関係者は苦虫を噛(か)み潰したような表情で松坂に「あえて厳しい言葉を投げかけるけれど……」と前置きし、こう言い切った。

 「今回の登板(2日の楽天戦)は消化試合だからチャンスが与えられたようなもので、レギュラーシーズンで勝敗が順位の流れを左右するような状況であれば起用されることはなかった。それでもマウンドに立てたのは、上層部の意向を工藤監督ら現場首脳陣が察して仕方なく起用した部分も当然大きい。そういう中でプラス要素をひとつも見せられなかったのだから、普通の神経の持ち主であればもう諦めがつくはず。ここはもう潔く身を引くべき。上がり目がないのに、このままズルズルと居座られてはチーム全体に悪影響を与えるだけだと思う」

●松坂の日本復帰戦は「衝撃」

 ホークスだけではない。海の向こうでは古巣ボストン・レッドソックスの関係者たちの間でも、ボロボロに終わった松坂の日本復帰戦は「衝撃」として受け止められていた。現地でチームを取材しているビートライター(日本でいう番記者)の1人は、次のように打ち明けた。

 「チーム休養日の4日に本拠地フェンウェイ・パークを訪れ、ポストシーズンに向けてワークアウト(練習)を行ったデービッド・オルティスはその場にいた日本人スタッフから松坂の投球内容を詳しく聞き、首を横に振りながら絶句して言葉を失っていたそうだ。鳴り物入りでレッドソックスに移籍してきた松坂とは当時親交も深く、その姿をそばで見てきただけにショックも大きかったのだろう。

 しかもオルティスは今季限りで引退を表明していながら、そのラストイヤーで最多打点のタイトルを獲った。有終の美を飾った格好の自分と、落ちぶれても現役を続けている松坂を見比べながら心中複雑になっているようだ。松坂がレッドソックスにいたころを知るチーム関係者たちも一様に『何で彼はまだリタイアしないのか』と口をそろえている」

 これもかつて記事の中で触れたことだが、ボストンで“ハイソ”な生活を送る家族を支えるために、松坂は辞めるに辞められず、まだまだしがみ付いてでも単身赴任を続けなければならないと自分に言い聞かせているのかもしれない。

 いずれにしても、もし本当に松坂が来季も現役を続けるのであれば相当な覚悟が必要だろう。仮に来季も一軍の戦力となれず悲惨な結果に終わるとなると、その先に待ち受けているのは「栄光崩壊」だ。すなわち、今まで築き上げてきた「平成の怪物伝説」は音を立てて完全に崩れ去ることになる。

 かつて腰椎椎間板ヘルニアの影響で捕手復帰が不可能となり、阪神タイガースと1年残っていた契約を破棄して自ら引退した城島健司のような潔い引き際を選べば、世間からの反発もまだ沈静化させられるかもしれない。だが、松坂は己のプライドをかなぐり捨ててまで来季も現役続行の道を貫こうとしている。

●現役にこだわる「元平成の怪物」

 大変申し訳ないが、取材を重ねる中から現状のコンディションを見る限りにおいて松坂の来季復活、いや今後の完全復活は非常に厳しいと言わざるを得ない。「絶対に這い上がってやる」という必死さが、まったく感じられないのだ。

 本人のブヨブヨに太った身体と膨れ上がった顔を見ても、とてもではないがファームでキッチリと絞り上げて調整してきたとは思えない。「飲食関係の“タニマチ”が接待攻勢で松坂を遊ばせている」との不穏な情報も耳にする。これが事実ならば、本人の脇の甘さはもう救いようがない。

 筆者の見立てが大きく外れ、松坂が奇跡の復活を果たすことをわずかながらに期待はしたい。しかし、それを口にすることがもはや恥ずかしいぐらいに今の松坂は落ちるところまで落ちている。ここまでズタボロになりながらも現役にこだわる「元平成の怪物」の生き方を世のビジネスパーソンの方々は、どのように見るだろうか。

(臼北信行)

最終更新:10/5(水) 20:51

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