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【インタビュー】ノラ・ジョーンズ『デイ・ブレイクス』が生まれるまで

BARKS 10/6(木) 23:35配信

ノラ・ジョーンズが、10月5日(海外10月7日)に4年ぶり6作目となるアルバム『デイ・ブレイクス』をリリースした。2001年にブルーノート・レコードと契約し、同年デビュー作『ノラ・ジョーンズ』(原題:come away with me)を録音してから今年で早15年だ。現在までに全世界で5000万枚以上のアルバム・セールスを記録する21世紀最高峰の女性シンガー・ソングライターのひとりである。

◆ノラ・ジョーンズ画像

前作からの4年間の間に、結婚と2人の子供の出産という経験を経て、満を持して完成した新作はデビュー作以来のピアノ・オリエンテッドかつジャズに回帰したサウンドとなっている。デビュー以来15年間の音楽的経験が凝縮された『デイ・ブレイクス』からの先行シングル「キャリー・オン」にも、ジャジーな癒しの魅力が溢れている。

ノラ・ジョーンズは9月初旬に4年ぶりにプロモーションのため来日を果たし、9月7日(水)には一晩限りのプレミアム・ショーケースをブルーノート東京で開催した。この来日中に実施されたインタビューをご紹介しよう。

――今回は2012年11月のジャパン・ツアー以来4年ぶりの来日になりますね。久しぶりの日本はいかがですか?

ノラ・ジョーンズ:日本は大好きよ。日本に戻ってくるのが楽しみだったわ。いろいろなところに行ってご飯を食べたりとかして、とても滞在を楽しんでいるわ。キディランドに行って、息子たちのためにお土産を買ったの。

――9月7日のブルーノート東京でのショーケースではジェシー・ハリスと共演していましたけど(ジェシー作の「ドント・ノー・ホワイ」を一緒に演奏)、彼との共演は久しぶりですか?

ノラ・ジョーンズ:彼が私のショウケースに来てくれて、本当に楽しかった。つい最近ニューポート・ジャズフェスティヴァルでも共演したのよ。それまでの数年間は一緒にはやっていなかったけれど。彼とは友達なのでずっと連絡は取りあっていたわ。

――2014年に「ブルーノート75周年記念ライヴ」(※1)でのウェイン・ショーターやジョン・パトゥティッチとの共演は、あなた自身が提案したものだったのでしょうか。

ノラ・ジョーンズ:ブルーノート75周年のイベントへの出演は、ブルーノート・レーベルから依頼されたものなの。その時は、ジェイソン・モラン(※2)が音楽監督だったので、彼の提案で、ウェイン・ショーター(Sax)やジョン・パティトゥッチ(B)らと共演することになった。ジェイソンに依頼されて、実際に彼らと演奏してみると、とても楽しくて。今回のアルバム制作はそこから派生したものだから、彼には感謝しているわ。純粋に彼らとまた共演したいという気持ちがアルバム制作のインスピレーションになっていると思う。

――それが『デイ・ブレイクス』でジャズをまたやりたいと思ったきっかけなのですね。

ノラ・ジョーンズ:ブルーノート75周年のコンサートですごくインスピレーションを受けて、その時のセッションでは私のデビュー・アルバムからの曲も演奏したの。ライブではリズミックにいろいろな曲が展開されて、ウェイン・ショーターとプレイする中で、こういうのってあらためていいなと思った。この75周年記念ライヴからインスピレーションは受けたけど、その後、曲を実際に書き始めたら、また異なる方向性に向かうことになった。ジャズのスタイルよりも曲そのものを重視した曲作りになり、彼らとライヴ演奏したジャズとはまた異なる方向性に行ったアルバムだと思っているわ。

――ウェイン・ショーターと一緒にスタジオに入ってみていかがでたか。

ノラ・ジョーンズ:彼は、アメイジングよね。とても優しい人だし。ちょっと緊張したけれど、とても楽しかったし彼と一緒にやれて本当に良かった。

――緊張したのは、やはりウェインが大物だから?

ノラ・ジョーンズ:そうじゃないわ。素晴らしいミュージシャンだからよ。

――作曲のインスピレーションはどういうときに生まれるのでしょうか。

ノラ・ジョーンズ:インスピレーションというのは不思議なもので、全く予想がつかないところから生まれてくる。歌を歌っていたら、ふと曲が浮かんできたりする。その時に察知して、書き留めないといけないものなのよね。

――詞と曲はどちらが先にできるのでしょうか。

ノラ・ジョーンズ:曲によって作曲の過程は違うの。多くの場合は先にメロディが生まれて、あるパートだけが歌詞がメロディにくっついて生まれてくる。そうすると、そこに付け足すのは簡単なんだけれども、先に出てきた歌詞を削除して新たな言葉を付けるのは難しいわ。メロディにくっついて生まれた歌詞に沿って、ストーリーを作っていくことになるわね。

――シングル曲「キャリー・オン」はどのように生まれたのでしょうか。

ノラ・ジョーンズ:「キャリー・オン」は一気に生まれた曲だった。こういう風に曲が書けると本当に楽なんだけどね。深夜にキッチンに置いてある小さなピアノで書いた曲なの。

――キッチンにピアノ?

ノラ・ジョーンズ:自宅にミュージック・ルームがあって、そこにいいピアノが2台あるの。キッチンのなかでいろいろ家事をしながら、なんとなく触れるのがいいかなと思って、ピアノを置いたのよ。

――料理はよくしているんですか?

ノラ・ジョーンズ:けっこう料理は好きでやるのよ。キッチンにいると、ピアノを演奏するつもりでなかったりしても、あると何となく触ったりしているうちに曲が生まれたりするの。

――得意料理は何なんですか?

ノラ・ジョーンズ:パスタとかフライドチキンね。レシピとおりに作るのはあまり好きじゃなくて、自分なりに遊びながら料理をするのが好きね。

――レコーディング中は妊娠中でしたが(※3)、支障はなかったですか?

ノラ・ジョーンズ:妊娠初期の頃にレコーディングしたので、それほどお腹が大きかったわけじゃないから、声に何か影響が出るようなことはなかったわ。

――お子さんたちと音楽的な触れ合いはしていますか。子守唄を聞かせたりとか…。

ノラ・ジョーンズ:今は子供たちに向けて歌っているけれど、子育てを始めた頃はなかなか寝てくれなかったので、なるべく静かにしているようにしていたわ。「せっかく歌えるのに、子供に歌ってあげられないのは残念よね」って母に言われたりしたけれどね…。

――上の息子さんは、お母さんの音楽に興味を持っていますか。

ノラ・ジョーンズ:息子は、私の音楽を「マミーソング」って呼んでいるの。レコーディング中はどうしても音源のミックスを自宅でチェックしたりしなくてはいけないので、家で自分の曲を聴くことになるのね。それを繰り返していると、徐々に息子も歌詞を覚えたりしていたわ。

――歌の練習は、子育ての合間にやっているのでしょうか。

ノラ・ジョーンズ:私は、基本的には歌の練習とかってあまりしてないのよ。子供ができて音楽に向かう時間が少なくなっているとは思っていないわ。まだ子供が幼くて寝ている時間が長いので、音楽に使える時間は結構あるから。

――新作のなかでお子さんたちに向けて歌った歌はありますか。

ノラ・ジョーンズ:そういう必要はないかしら。子供が生まれる前に書いた曲が結構あって、子供が生まれてから完成させた曲もあるけれども、でも子供をテーマにした曲とか子供に向けて歌った曲とかはないわ。一度スタジオに上の息子を連れて行こうとしたことがあったの。普段は連れていかないんだけど、地下鉄じゃなくて車で向かったら渋滞にはまってしまって、その車内で子供が気持ち悪くなってしまったみたいで、戻してしまったの。それで彼の洋服が汚れてしまったので、着替えさせるために途中の店で大きなTシャツを買って、スタジオに向かった。その後、彼はその大きなTシャツを着て、スタジオ中を走り回っていたわ。彼は「もう大丈夫だよ」って。

――いつもは地下鉄で移動をしているのですか。

ノラ・ジョーンズ:このレコーディング事件の時は、帰りは車ではなく地下鉄で帰っていたわね。時々地下鉄には乗っているの。

――アルバムが発売される前は、ナーバスになったりしますか。

ノラ・ジョーンズ:私は、自分のやるべきことはやったので、あとはなるようにしかならないと思っているわ。

――最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

ノラ・ジョーンズ:また日本に帰って来られてうれしいわ。4月にツアーで再来日するのが楽しみです。

編集部註
※1:2014年5月にブルーノート・レーベル75周年コンサート「ブルー・ノート・アット75」がワシントンDCで「ケネディ・センター」で開催され、ノラはマッコイ・タイナー(ピアノ)、ウェイン・ショーター(サックス)、ドクター・ロニー・スミス(オルガン)、ロバート・グラスパー(ピアノ)など、ジャズの歴史に輝く伝説のミュージシャンたちに囲まれて出演した。ノラはここで「ザ・ニアネス・オブ・ユー」のピアノ・ソロを披露した後、ウェイン・ショーター(サックス)、ブライアン・ブレイド(ドラムス)、ジョン・パティトゥッチ(ベース)、ジェイソン・モラン(ピアノ)と共にデビュー・アルバム『ノラ・ジョーンズ』に収録されていた「アイヴ・ガット・シー・ユー・アゲイン」を演奏。このときのMCでは彼らを「私が今までプレイした中でも最高のバンドの一つ」と紹介した。そして、このジャズ・レジェンドたちとの共演というスリリングな体験がノラを「ジャズに回帰」させるきっかけとなった。

※2:ロバート・グラスパーと並び「現代ジャズ・シーンの最重要ピアニスト」と呼ばれるブルーノート・レーベル所属のピアニスト。最新作『オール・ライズ』(2015年)。

※3:2人目の子供の妊娠中にアルバムのレコーディングを行った。来日時点で2人目の子供は生後4か月とのことだった。最初の子供は2014年に出産している。

『デイ・ブレイクス』
2016.10.5(水)日本先行リリース
初回限定盤:(SHM-CD+DVD) UCCQ-9039 3,456円(税込)
通常盤:(SHM-CD) UCCQ-1065 2,700円(税込)
<収録曲> ※( )内は英語表記と作者名
1. バーン (Burn - Norah Jones / Sarah Oda)
2. トラジェディ (Tragedy - Norah Jones / Sarah Oda)
3. フリップサイド (Flipside - Norah Jones / Pete Remm)
4. イッツ・ア・ワンダフル・タイム・フォー・ラヴ (It's A Wonderful Time For Love - Norah Jones / Sarah Oda)
5. アンド・ゼン・ゼア・ワズ・ユー (And Then There Was You - Norah Jones-Pete Remm)
6. ドント・ビー・ディナイド (Don’t Be Denied - Neil Young)
7. デイ・ブレイクス (Day Breaks - Norah Jones / Pete Remm)
8. ピース (Peace - Horace Silver)
9. ワンス・アイ・ハッド・ア・ラーフ (Once I Had A Laugh - Norah Jones)
10. スリーピング・ワイルド (Sleeping Wild - Sarah Oda)
11. キャリー・オン (Carry On -Norah Jones) ※リード・シングル
12. アフリカの花 (African Flower “Fleurette Africaine”- Duke Ellington)
※初回限定盤には「キャリー・オン」のプロモーション・ビデオと、アルバム紹介映像を収録したDVDをカップリング。
iTunes アルバム予約&「キャリー・オン」先行配信中
https://itunes.apple.com/jp/album/day-breaks/id1136987713?app=itunes

最終更新:10/6(木) 23:35

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