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受け子の16歳少女「本当にごめんなさい」 高齢者狙う特殊詐欺のいま

福井新聞ONLINE 10/5(水) 8:09配信

 高齢者を狙った振り込め詐欺などの特殊詐欺事件が後を絶たない。自分の葬儀代や病気への備えにと、年金から蓄えてきた預貯金全額をだまし取られるケースも目立っている。80万円の被害に遭った福井県の敦賀警察署管内の一人暮らしの70代女性は「生活を切り詰めてやっとの思いでためてきたのに…。だまされるなんて思わなかった」と悔やんでいる。

 女性の自宅に「日本復興支援機構」という架空団体から電話があったのは2月。「あなたの名前は会員名簿に登録されている。解除したければ100万円払え。無理なら家や財産を差し押さえることになる」と脅してきた。30~50代と思われる男の声だった。

 冷静ですごみのある声。動揺した女性は約80万円の預金全額を引き出した。犯人の言われるまま現金を入れた箱に「快気祝い」と書き、指定された九州の住所に宅配便で送ってしまった。

 送られた住所に住む女性も、犯人グループにだまされていた。女性からの宅配便を受け取ると、指示に従い20万円を加え計100万円を犯人に送った。2人は全く面識はないという。

 その後、犯人から再び100万円を要求された管内の女性は、ようやく友人に相談。不審に思った友人が同署へ連れて行き、被害を届け出た。

 4月ごろ、犯人グループで逮捕された少女(16)から「取り返しのつかないことをして本当にごめんなさい」と書かれた謝罪文が送られてきた。少女は「受け子」と呼ばれる受け取り役だった。ただ女性に返還されたのはわずか3万円。犯人グループから報酬として受け取った金だった。

 預金を下ろすとき、金融機関では顔なじみの担当者が対応してくれたが、使い道は聞かれなかったという。水際でも被害は食い止められなかった。女性は「うちは出すお金がないし、まさか関係ないと思っていた。普段は近くに住む妹に相談するが、このときは迷惑は掛けられないとためらった。だれにも相談できなかった」と振り返る。

 事件後、女性は相手先の番号が表示される「ナンバーディスプレー」対応の電話機を購入。知らない番号の電話は取らないようにしている。しかし、電話がかかってくるたびに恐怖心を抱き、後悔の念は消えない。

 だまされないと思って被害に遭うケースは少なくなく、敦賀署は「市役所などが医療費や保険還付金について電話連絡したり、ATMの操作を依頼したりすることはない。電話やはがき、メールに少しでも疑問を感じたら、一人で判断せず家族や警察に相談してほしい」と呼び掛けている。

 ■警察「一人で判断しないで」

 1~8月末までに福井県内で発生した特殊詐欺事件の件数は29件、被害総額は1億2400万円を超える。敦賀署管内ではうち2件が発生し、被害総額は180万円。

 今回は同時に別の女性が被害に遭うなど、手口は一層複雑化。被害をきっかけに困窮、病院にかかるお金もないと途方に暮れる人もいる。被害金は既に使われている場合もあり、取り戻すことは難しいという。

 私はだまされないと思っていた被害者は多く、同署は「市役所などが医療費や保険還付金について電話で連絡をしたり、ATMの操作を依頼することはない。電話やはがき、メールに少しでも疑問を感じたら、一人で判断せず家族や警察に相談してほしい」と呼び掛けている。

最終更新:10/6(木) 9:34

福井新聞ONLINE