ここから本文です

【イッセイ ミヤケとソニー】テクノロジーを編むバッグ“EB“素材開発秘話(後編)

SENSORS 10/5(水) 12:00配信

パリコレで世界のファッションメディアが賞賛したイッセイ ミヤケのバッグ「EB」(Electronic Bag)。そのプロジェクトに関わったイッセイ ミヤケとソニーのFashion Entertainmentsチームに電子ペーパーをバッグ素材として扱う際の工夫、プロセスを特別取材した。

イラストレーター兼プログラマーが「留学」で得た職業とは?

前編【イッセイ ミヤケとソニー】異業種チームが挑むファッションの未来では「EB」(Electronic Bag)のビジョンについて伺った。それでは実際に電子ペーパーをどのようにプロダクトとして活用していったのか?「ISSEY MIYAKE」を代表するデザイナー宮前義之氏とそのチーム、そしてソニー株式会社のFashion Entertainmentsプロジェクトのリーダー杉上雄紀氏、伊藤健二氏、米田成吾氏に、プロセス、将来展望を伺った。

■マッドサイエンティストが素材の良さを引き出す

--電子機器である電子ペーパーをバッグに仕上げたプロセスを教えてください。

宮前: まず電子ペーパーを使ってバッグを作るための課題を設定しました。それは「日常的な課題」と「プロダクトを作っていく上での課題」の2つに分類されます。日常的な課題は、お客様が日常利用で耐えうるものかどうか?電子ペーパーが電子機器なので耐水、衝撃、屈曲を課題としてあげました。プロダクトを作って行く上での課題は、立体化、表現、価格があります。
サンプルとして電子ペーパーを受け取った時に、ハサミで切れるとまでは聞いていたのですが、立体化する際に折れてしまったり壊れたりするものをどうするか?あとは白黒2色という色の制限からどのように立体的な表現を引き出すべきか?最後に、お客様に届けるためにはお手頃な価格にしないと現実的なプロダクトにならないので、どのように流通させる価格に設定するか?という課題を設定して進めていきました。

僕らは電子ペーパーを電子デバイスではなく、素材や物体として捉えているので、どうしたらこの電子ペーパーの特徴を引き出すことができるか?というのを考えて最初にプロトタイプを作ってみました。ちょっとオーソドックスなプロトタイプですが、これだと他ブランドでも出来てしまうし、壊れている部分が出てきてこれを商品として出すことができるのか?という課題にまずぶつかりました。

第一段階のプロトタイプを作ってみて、底辺が壊れているのを見て、この壊れている部分も素材の個性なのではないか?と思い電子ペーパーをくしゃくしゃにしてみたのですが、意外とカッコイイ!となりまして。これを“BURST“バースト表現として使えるのではないか?と考えました。

--電子機器をくしゃくしゃにするという行為に対してソニーさんはどう思いましたか?

杉上: ソニーの中では誰も行ったことが無いので、イッセイ ミヤケのメンバーの発想が突き抜けているという意味で彼らがマッドサイエンティストに思えた瞬間です。

宮前: くしゃくしゃの表現がカッコ良かったので、その後、ハンマーで叩いたり、パンチ穴を開けたり。ソニーさんからは何をやっているんだろう?!と思われそうなことをやり、バースト表現が電子ペーパーの素材の持ち味だと設定したのがスタートラインです。

--電子デバイスにパンチ穴も開けたんですね。壊れることを恐れて通常だと踏み込めないです。

宮前: いくつか試してみたなかで、電子デバイスにパンチ穴を開けて、そこに紐を通していく方法が「立体化」への回答ではないか?と行き着きました。そして、パンチングしたものに革紐を通して「つなぐ」という行為自体にも意味があると考えました。

今回のプロジェクトもファッション業界で培った我々の技術と、デジタルテクノロジーを「つなぐ」ものなので、穴を開けて何かと何かをつなぐ、という手法を取ることがその次に決まりました。

1/3ページ

最終更新:10/12(水) 13:32

SENSORS