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ヘイトスピーチ裁判、なぜ在特会は負けたのか 「名誉毀損」と「論評」の境目は

BuzzFeed Japan 10/5(水) 11:02配信

在日朝鮮人のフリーライター李信恵さんと「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠元代表らが、お互いに名誉毀損などの損害賠償を求めて争っていた裁判。大阪地裁(増森珠美裁判長)は9月27日、李さんの訴えを認め、慰謝料など77万円を支払うよう命じる判決を出した。桜井さんの訴えは退けた。

現行法では、民族などの大きな集団に向けられたヘイトスピーチの責任を、刑事、民事の裁判で問うことは難しい。今年6月、不当な差別表現は許されないと宣言する「ヘイトスピーチ解消法」が施行されたが、この法律には罰則がない。

しかし、ヘイトスピーチが特定の個人・団体に対して向けられていれば、名誉毀損や侮辱として法的責任を追及できる。

今回の裁判は、ひとりの在日朝鮮人が、在日朝鮮人排斥を掲げる在特会元代表から差別的な発言を受けたとして訴えたもの。ヘイトスピーチ的な要素が、民事裁判でどう考慮されるのか。ヘイトスピーチ問題の中心となってきた団体がかかわる、象徴的な裁判として注目を浴びていた。

どんな発言だったのか?

争点となった発言は原告・被告双方合わせて、A4用紙に15ページ分。判決はそのうち桜井さんの発言2点を名誉毀損による、19点を侮辱による不法行為と判断した。

名誉毀損とみなされたうちの1つが、2013年3月15日に配信されたネット動画での発言だった。桜井さんはその中で、李さんは嘘を垂れ流しているライターだという趣旨の、次のような発言をしていた。

「在特会が主催したデモに関して、あなた(原告)が垂れ流した嘘ですね」
「キーホルダーをね、こちら側の人間が踏みつぶしたとかなんとかってね」
「完全にこれ、虚偽ですのでね」
「でたらめな情報を流して申しわけありませんでしたと、これから入らなきゃいけない」

名誉毀損について

ここで名誉毀損のルールについて、簡単に説明しておく。

民事訴訟における名誉毀損とは、ひとことで言うと「他人の社会的評価を低下させること」だ。ただし、表現の自由との兼ね合いもあり、その場合でも一定の条件をクリアすれば、違法にはならないというルールになっている。

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最終更新:10/5(水) 11:02

BuzzFeed Japan