ここから本文です

「信頼損ねた」報告案 横須賀市議会百条委が終結

カナロコ by 神奈川新聞 10/5(水) 8:07配信

 横須賀市議会は4日、地方自治法100条による調査委員会(百条委)を開き、吉田雄人市長が市議会で虚偽の答弁をしたと指摘された問題など一連の不透明な市政運営が「公明性・公正性を欠き、市民の信頼を大きく損ねた」とする最終報告書案を了承し、審査を終結した。吉田市長ら3人に百条委の証人喚問で虚偽の証言があったとして、同法違反(偽証)の疑いで刑事告発することも盛り込んだ。14日の本会議で議決する。

 閉会後、木下憲司委員長は「市長の資質や行政の事なかれの姿勢にメスが入った。自浄作用が必要。これで市政が良くなれば、委員会の責務は果たせたと思う」と総括した。

 最終報告書案によると、昨秋の帆船招致事業を巡り「帆船側が寄港を希望した」とする市長答弁について、虚偽とは断定できないものの明白な誤りがあったと判断。2009年の市長選前に献金を受けた人物を職員として採用した問題では、市長が面接官を務めるなどした採用事務の在り方を厳しく非難している。

 また、市全額出資法人が建築基準法に違反した状態でバーベキュー施設を営業していた問題では、事業に市長の支援者が絡むことから「公私混同」し、市の是正指導に不透明な関与をした疑いがあるとした。

 昨年9月に地方自治法98条に基づく検査特別委員会を設置後、計24回の審査を開催。延べ36人を証人喚問するなどした。

■成果と限界 相半ば
 横須賀市議会の百条委は、行政の不透明な事務執行の実態を明らかにすることでチェック機能を果たし、吉田雄人市長の市政運営に多くの問題点を投げ掛けた。一方、議会側が調査の限界を認めるなど「トップの資質を問う」とした核心部分には迫れないまま。焦点とされた市長の偽証認定を巡る採決でも、各委員の判断は分かれた。

■乏しい順法精神
 「即座に使用停止にするのではなく、オープン後に対応する形を考えた。黙認と言われれば黙認」

 7月中旬の証人喚問。市が全額出資する「シティサポートよこすか」が建築基準法違反の状態でバーベキュー施設を営業していた問題で、法人担当者は開設前に違法性を認識しながら対応を先送りしたことを認めた。

 法人の前身は市都市施設公社。市OBが歴代トップに就き、この担当者もかつて市建築指導課長を務めた建築行政のプロだ。浮かび上がったのは順法精神に乏しい外郭団体の実態だった。

 職員採用問題では、民間出身者の任期を2度延長した上で、本採用試験で市長や直属の上司が面接官を務めていたことも判明。議会から「市民感覚からかけ離れた、公平さを欠く人事」と批判を浴びた。

■「心の中の問題」
 外郭団体の事業は、市議会のチェックの目が届きにくかった領域でもある。市役所の不透明な事務執行と併せ、これを当事者の怠慢と片付けて良いのか。何らかの形でトップの影響力がはたらいていたのではないか-。審査の過程で、そう推察する委員もいた。

 実際に市長が、行政指導中のバーベキュー施設を私的に利用したり、献金者の登用を自ら市幹部に推薦したりと、「公私混同」と指摘された事例が次々と明らかになった。

 一方で、証人喚問では法令違反に市長が主体的に関わったとする確証は得られなかった。「こっちは捜査機関じゃないし、(市長や職員の)心の中の問題までは分からない」。議会側からはそんな本音も漏れた。

 地方自治法は「虚偽の陳述をしたときは、告発しなければならない」と定めており、百条委は証人喚問で虚偽の証言があったとして市長を刑事告発することを決めている。ただ、採決では市長に近いとされる会派以外の委員からも「100パーセント偽証とは言い切れない」と反対の声が上がった。

■市民に説明必要
 審査終了まで1年。市OBで地方自治が専門の出石稔・関東学院大教授は、市議会の告発が法の趣旨にかなっているとした上で「告発自体が委員会の目的ではなかったはず。(設置目的が)やや曖昧だったところは否めない」と指摘する。

 市長に対しては「(市議会で誤った答弁をするなど)議会対応に問題があったことから結果的に百条委まで行ってしまった。それを認識して市政に当たるべきだ」と苦言を呈した。

 市議会事務局によると、計24回に及ぶ委員会の傍聴者は平均6・6人。インターネット中継を行ったとはいえ、総会議時間102時間22分の議論が40万市民に伝わったとは言い切れない。

■「市長選の争点に」専門家
 出石教授は吉田市長の3選出馬の可能性を前提に、こう提言する。「来年の市長選で今回の問題を争点の一つとして、選挙戦で2期8年の市政や議会の在り方を含めた議論をすべきだ」

最終更新:10/5(水) 8:07

カナロコ by 神奈川新聞