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より実践的に営農指導 JAおきなわの取り組みとは

沖縄タイムス 10/5(水) 10:05配信

 農家に栽培方法や経営を指導する営農指導員について、JAおきなわ(大城勉理事長)が2016年度から、資質向上への取り組みを本格化させている。12年度から開かれている技能強化研修の対象を、従来の希望者から全員へ拡大。現地検討会も含め、より実践的な内容にした。研修で学んでいる「土壌に合った生産物作り」を収量増や農家の所得向上へつなげようと、指導員の意識も高まってきた。(政経部・又吉嘉例)

 20日、うるま市内のビワ畑。「病害虫の多い、少ないは土壌のPH(酸性度)で変わる」。同JAが熊本県から招いている武田健技術顧問が、土の養分量を反映するという葉色を示しながら説明した。JA中部地区営農振興センターの指導員や農家ら約10人が真剣な表情で耳を傾けた。

 武田氏は土壌環境を整えることで病害虫を未然に防ぐ「予防農業」を提唱。4年前から月1回ペースで来県し、指導員研修の講師を務めている。予防農業を導入した近隣のビワ畑では今年、病害虫による果実の廃棄量が前年に比べ1割以下になったという。

 この日の研修先だったビワ農家の大城笑美さん(65)は「最初はPHとか、意味が分からなかった」。かつてはJAが出した土壌診断結果書を、そのままごみ箱に捨てていた。だが、昨年からは指導員の変化を感じる。「土に合う肥料の種類と量まで教えてくれるようになった。今年は全然虫が来なかった」と喜ぶ。

 JAおきなわの営農指導員は現在、約150人。JAによると、指導員が若返る中、資質向上を求める農家の声は年々高まっている。同センターの阿嘉良勝センター長は「若手は『何をどうしていいか分からない』状態だったが、研修を通し、現場で起こっていることを的確にとらえるようになってきた。徐々にでもスキルアップさせたい」。

 技術顧問の武田氏は「技術的には生産者がはるかに上だが、若い世代は分析や計算など数字に強く、農家が分からないことを助言できる」と指摘する。一方、市場ニーズなどの事情から土地に合わない作物を育て、収益性が悪化しているケースもあるとし、「土壌に合い、地域に根付いた作物で産地づくりをするべきだ」と強調。営農指導の際に検討するよう促した。

 指導員3年目の大城海翔さん(25)は「入った当初は技術もなく、生産者へ何も返せず、自分の仕事に意味があるのかと悩んだ。この研修で学んだことで、自信を持って『答え』が示せる。少しでも農家の力になれるよう、今後に生かしたい」と力を込めた。

最終更新:10/5(水) 10:05

沖縄タイムス