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映画『ジェイソン・ボーン』が描く“現代社会の問題”とは? 監督が語る

ぴあ映画生活 10/6(木) 17:03配信

マット・デイモン主演の人気シリーズの最新作『ジェイソン・ボーン』が明日から公開になる。本シリーズは、現代の社会が抱える問題を取り込み、緊張感のあるドラマを描いてきたが、前作から9年を経て再始動した新作では、どんな物語が描かれるのだろうか? 前2作に続いて監督を務めるポール・グリーングラスに国際電話で話を聞いた。

『ジェイソン・ボーン』/その他の画像

◇本シリーズは、圧倒的な格闘・諜報能力を持っているが、すべての記憶を失ってしまった謎の男ジェイソン・ボーンが、迫り来る敵に立ち向かいながら、「自分は何者なのか?」を追い求める様を描くもので、9年前に製作された『ボーン・アルティメイタム』のラストで、彼は自分が何者かを知り、人々の前から姿を消した。

それから約10年。社会は大きな変化を遂げた。街に設置された監視カメラはさらに増加し、デジタル機器が進化したことで人々は気軽に写真や動画を撮影してネットにアップするようになった。SNSが爆発的に普及し、世界中の人々が気軽に“つながる”ことができるようになり、プライバシーや安全の問題はあるが、多くの人々は“人とつながりたい”ために自分たちのプライバシーをすすんで手放そうとしている。「国家は私たちの安全を保証するために権力を握っていて、私たちは安全は保証してほしいけれど、同時に自由もほしいわけです。安全と自由のバランスをどのようにして取るのか? これは現代で最も重要な問題だと思います」

では、10年もの間、ボーンはどこにいたのか? 新作の冒頭で描かれるため、ここでは詳述しないが、グリーングラス監督の言葉を借りるならば、ボーンは“冷たい荒野”にいたようだ。「彼はずっと逃げ回って、とても冷たい荒野のような場所にいたわけです」。そこでは監視カメラも、世界中に張り巡らされたネット網も、ボーンの存在を捉えることができない。しかし、グリーングラス監督は「彼だって、いつまでもそんな場所にはいられないことに気づく」という。「長い間、荒野のような場所にいる中で彼は考えたと思います。ここにいて自分は何を達成できたのか? 何を代償にしたのか? やがて彼は『これ以上、逃げ場所はない』と気づくわけです」

そこでボーンは、ある事件を機に、再び人々の前に姿を現す。ボーンも誰かとつながりたい、何かを成し遂げたいと思っている。しかし、誰かとつながることで、ボーンは自身の自由を失う可能性がある。「その通り。それが新作で最もスリリングな部分でしょう」

新作ではボーンの前にCIAエージェントのヘザー(アリシア・ヴィキャンデル)が現れ、もはや完全に自由な世界は存在しないのだから、“こちら側”に来いと誘いをかける。「へザーのキャラクターは、新作のストーリーづくりの極めて初期の段階からできていました。前作の段階ではSNSやサイバースペースはここまで普及していなかったわけで、新しい社会を象徴するような若い人物が必要だと思ったのです。へザーの存在はとても謎めいていて、ボーンとへザーの関係は曖昧なものです。果たしてヘザーは信頼できる存在なのか? ボーンは彼女に惹きつけられるけど、味方なのか敵なのかはわからない。これこそが、ボーンの新しいチャレンジだと思います」

安全と自由のバランス、“つながり”を求める気持ちとその代償……『ジェイソン・ボーン』は壮絶なアクションだけでなく、2016年の観客にとって“他人事”ではない問題も描き出している。「それこそが現代で最も緊張感のある問題だと思っています」

『ジェイソン・ボーン』
10月7日(金)よりTOHOシネマズ スカラ座ほか全国公開

最終更新:10/6(木) 17:03

ぴあ映画生活

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