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【インタビュー】上野樹里 2人暮らしは「毎日が特別」今ある日常を大切に

cinemacafe.net 10/6(木) 20:15配信

30代女性が20歳年上の恋人と送る生活に、超頑固者の父が加わったら…? この設定にゾッとするか、クスッと笑うかは観る者次第。『お父さんと伊藤さん』は、おかしみの分だけ確かなリアリティのある映画だ。タイトルの“お父さん”と“伊藤さん”に挟まれるヒロイン、彩を演じた上野樹里も、自らの役を「いまの女性のリアリティを描いた役」と語る。

【画像】2人暮らしを楽しむ上野樹里

34歳の彩は小さなアパートで、54歳の恋人・伊藤さんと同棲中。職場の同僚として知り合い、やがて付き合い始める2人の生活はごくごく穏やかなものだった。彩の父が家にやって来るまでは…。
「働いているけどお金はあまりなく、結婚せず、父の問題を抱えるようになる。夢物語じゃない彩の状況を、身近に感じてもらえればいいなと思いました。撮影時、30歳にさしかかっていた自分だからこそ、彩を自然に、肩の力を抜いて演じられた気がします」。

「台本を読んだとき、“もう、これは絶対リリー(・フランキー)さん!”と思いました」という伊藤さんは、飄々としていて捉えどころがないが、さり気なく優しい。そして、趣味は家庭菜園。彩として伊藤さんとの暮らしに浸った上野さんも、「一家に1台じゃないですけど、1人でいるよりは、一緒にいてもいい存在ですよね(笑)」との見解を示す。
「働く34歳の女性ということで、彩にはそれなりの中身がある。自分をしっかり持った彩が、自分のまま一緒にいられるのが伊藤さんなんでしょうね。不思議なおじさんですけど、知恵もあるし、野菜を作ってくれたりもするし」。

一方、頑固で口うるさいが、どこか愛らしくもあるお父さんと、彩の関係も面白い。決して仲のいい親子ではないが、ふとした瞬間、やっぱり親子! と思わせる。
「藤(竜也)さんのヤクザ映画を観ていなかったので、ビビることなく、ニュートラルに接することができてよかったです(笑)。これから観て、お父さんだったときの藤さんとのギャップを楽しみたいですね。現場での藤さんは本当に優しく、チャーミングで、全然ヤクザじゃなかったです(笑)。すごく楽しみながら役者をなさっていて、現場にも1人で運転しながらいらっしゃるし、役作りのための下調べも自らなさるんですよね。藤さんの作品に対する愛情の傾け方を見て、私もそうありたいなと思いました」。

ひとつ屋根の下に暮らす3人の関係は、物語が進むにつれ徐々に変化。さらには、いつの間にかお父さんすら伊藤さんを頼りに!? 普段はのほほんとしながら要所要所でビシッとキメる伊藤さんに、うっかり(?)魅せられる女性が鑑賞後に急増している。
「図星をちゃんと突いてくれる人ですしね。伊藤さんの一言で、彩もお父さんも“ウッ!”となったりする。54歳だからと言ってみんなが大人というわけじゃないんでしょうけど、伊藤さんは大人ですよね。その時々で柔軟に折り合いをつけるのが上手い。やることはやっているし、実はしっかり者。彩の実家で『ご立派な家ですねえ』なんて言っていたときも、自分が将来この家をどうするか、意外と真剣に考えていたんじゃないかなって(笑)」。

気になる将来はさておき、彩と伊藤さんの“いまある日常”を演じるために、「撮影中は家で作ったお弁当を持参したり、自炊をしていました」とも語る上野さん。そこには、「彩がご飯を作って食べる生活をしているから、私も自分の手で作ったものを食べる生活を送りたくて」との意図があり、「仕事は仕事、生活は生活ではなく、生活の一部として好きなことを仕事にできるなら、それはとても豊かなこと」という想いがあったという。

「1人の生活から2人の生活になったのを一番楽しみたいですよね。普通の日常なんだけど、いままでとは違うことが起きる。いままでの自分にとっての非日常というか、毎日が特別なんです。以前は100%自分のために時間を使っていたけど、いまは生活というものを考える割合が増えた。もちろん自分の時間も大事ですけど、それよりも相手のことが大事になってきたり、子どものいる人だとますます予想外のことが起きる中、その変化にみんな自ずと対応できてくるんだと思います。以前の自分からは考えられないようなことができるようになっちゃうし、小さいことの1つ1つを楽しめるようになる。きっと、そういった自分の変化が仕事にも味として出てくるんじゃないかなって」。

今年5月の誕生日を経て、30代に突入したばかり。これも、上野さんにとっては大切な変化の1つだ。
「20代のときには恋愛、夢、冒険なんてワードがありましたけど、30代になったら現実だとか、ちょっと先の未来がキーワードになる。自分の好きなもの、必要のないものがより明白になってくるし、だからこそ好きなものを掘り下げたくなるんですよね。もともと私はネガティブなものが好きじゃなくて…ネガティブなものが好きな人はいないと思いますけど(笑)、重い気持ちにさせたり、疲れさせたりするようなことはしたくない。せっかく観て下さる皆さんの気持ちを、役者としてちょっとでも楽にしたいんです。もっと言えば、元気を与えたい。それが、私の好きなことなんだなって。どんなことを要求されるか、これまでもこれからも分かりませんが、その中で好きなことを突き詰めていきたいです」。

最終更新:10/6(木) 20:15

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