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女性の起業に必要なコトって? 「女性社長」続編

琉球新報 10/6(木) 19:30配信

 「女性社長」の数は年々増加し、沖縄の女性社長の漢字名で一番多いのは「悦子(えつこ)」。そんな女性社長の実態が東京商工リサーチ、帝国データバンクの調査で明らかになりました。

(沖縄の女性社長 一番多いのはこの名前!データから見る「女性社長」はこちら)

 「私も起業してみたい!」「名前が『悦子』だから社長に向いている?」 なんて思った人もいるかも?

 女性が働く理由も起業の背景もさまざま。では、どんな人が起業に向き、どんなきっかけで会社を興しているのでしょう。  不動産コンサルタントとして活躍する友利真由美さんと、女性の起業を応援する沖縄・ビジネスインキュベーション・プラザ代表の能塚善之さんにアドバイスを聞きました。


女性が起業するきっかけは?
エレファントライフ代表・友利真由美さんに聞く
 29歳で起業した友利真由美さん=株式会社エレファントライフ代表=は、宅建やファイナンシャルプランナーの資格を生かしながら、お客さまのライフプランに合わせた不動産の活用、相続、売買などをサポートしています。

 保険外交員として働き続ける母の姿を見て育ち、「女性が経済的な基盤を持つことはとても大事。50歳になっても仕事で困らない女性になろう」という考えが自然に身に付いたという友利さん。

 もともとチラシを見て間取りを想像するのが好きで、大学卒業後に宅建を取得し、大手不動産会社に入社。男性営業職と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、「営業力を身に付ければ、どんな職種にも役立つ」と考え、半年で支店トップの成績を収めるほどの仕事ぶりでした。 ただ、やりがい、楽しさを感じるものの、長時間労働や休みの少ない男性中心の職場で体調を崩したことを機に、「いつかはやってみたい」と思っていた起業の道を選びました。

起業して良かったこと、大変なこと

 起業して良かったことは、「性に合っている」「自分で仕事量をコントロールできる」「組織にありがちな『会議のための会議』などの無駄を省いて効率的に動ける」「常に新しいことに挑戦できる」「自分で責任を取ることができる」「付き合う人を選べる」「体力が続けば仕事をずっと続けられる」などを挙げた友利さん。

 一方、大変なことは「資金繰り」、そして「何が正解か、自分で分からないときでもすぐ相談できる人が周りにいない」「すごい経営者はたくさんいて、常に進化し続けないといけない」と指摘します。

「お客さま」を見て仕事ができるのが、女性の強み
 「開業率の高い沖縄では、起業のハードルが低い分、準備不足で廃業というリスクもある」「周囲に足を引っ張られることもある」と厳しい目も忘れません。

 自身や周囲の経験から、「男女問わず30代で転職や起業してキャリアアップできている人は少ない気がする。起業や転職は甘くはない。今いる所で頑張ってもいいし、社内外で『受け流す方法』を知ることも大事」と、今の仕事が嫌だから起業、という安易な道は薦めません。

 ただ、「男性は『仲間』を見ながら仕事し、現状にしがみつく傾向があると思いますが、女性は『お客様』を見て仕事をし、常に変化の中にいると認識しているからこそ、次の仕事を考える対応力があると思います」と指摘します。

 「仕事もプライベートも人任せにしない、自分で考えて自分で判断する、ということが大事。来るなら『覚悟を決めて来い!』という感じですかね」と、起業を志す女性たちにエールを送りました。



能塚善之さんに聞く。沖縄ガールズスクエアの挑戦
 女性の起業を支援するシェアスペース「沖縄ガールズスクエア」(那覇市松山、ホームページはこちら)を運営する沖縄・ビジネスインキュベーション・プラザ代表の能塚善之さんは、さまざまな起業支援に携わってきた経験からこう語ります。 

 「沖縄県はこれまで、一つの企業が100人の雇用を生むような企業の誘致、起業支援の施策をとってきました。でも、自分で自分の仕事を生む自己雇用の人が100人増える、1人の雇用をつくり出す100人の仲間づくりでもいい」。

「誰かの役に立つ価値」をつくり出す

 世の中、成長を続けるITなどの分野が注目されがちですが、「ローテクでも、身近なテーマで『この人たちのためにこんな役に立ちたい』というコンセプトが明確で、誰かの役に立つ価値をつくりだす。そんな女性の起業とそのサポーターを増やしたい」と語ります。

 2012年に沖縄ガールズスクエアを開設し、女性起業支援を続ける中で、「なぜ女性?」「男性と一緒じゃない?」と言われることも多いそう。でも、「そもそも男性中心の日本社会。普通に会社で勤めていても女性と男性のチャンスは劇的に違います。会社勤めの中で培う人脈や、経験、スキルを高める機会が、女性は男性に比べて少ない」と指摘します。

 従来の起業支援は資金計画を考え、早く利益を出すことを重視する傾向にありますが「儲かるからと始める事業は、儲からなくなると辞める。そんなビジネスが日本中にまん延しています」と指摘する能塚さん。

 女性の多様な起業のあり方を考える中、「『こういう人のために、こんな役に立ちたい』という思いが、何か新しいことを始める第一歩。それを行動に移すことで、何だか少し幸せな気持ちになる。その行動が相手に喜ばれたり、お金を払ってもいいという価値を感じてもらえる。そんな『ファン』を増やすことがまず大事です」だと言います。

まずは「仲間づくり」から
 沖縄ガールズスクエアはそんな場所。「起業の準備段階で『こういう活動は大事だよね』と一緒に考えてくれる仲間や理解者の輪を広げていく。今の仕事を辞めてすぐ行動に移すことはできないけど、勤めながらできること、給料を得ながら準備するケースもあるのではないか。自分が今できること、5年後にやりたいことを考えながら、長い目で自分の生き方を見つめ直す機会、場所です」と話す能塚さん。

 女性は衣食住や子育て、美容、健康など「暮らしの視点がある」ことが強み。実際に、「大人が自分のために気軽に立ち寄れ、ほっとする絵本屋さん」「島豆腐の魅力を広げるためのレシピ作りやカフェの開設」を始めた女性達がいます。地域の課題や生活者の抱える悩みに対し、「この人たちの役に立ちたい」と思いから、商品やサービスという価値をつくり出すこと。知恵を出し、汗をかいてこつこつ続けること。そんな仕事の基本が、女性の起業のベースにあるようです。



この記事を書いた人

 座波幸代(ざは・ゆきよ) 琉球新報Style編集部。政経部経済担当、社会部、教育に新聞を活用するNIE推進室などで取材してきました。女性の視点から見る経済や働く環境、ダイバーシティーに興味があります。

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最終更新:10/6(木) 19:30

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