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【ノーベル賞】「この先、日本人研究者は受賞できるのか?」 科学界に広がる悲観の背景

BuzzFeed Japan 10/6(木) 5:00配信

今年、ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅良典さん(東工大栄誉教授)の発言が注目されている。基礎研究についての発言だ。【BuzzFeed Japan / 石戸諭、籏智広太】

「『役に立つ』ということが、とても社会をだめにしていると思っています。科学で役に立つって『数年後に起業できる』ことと同義語のように使われることが、とても問題だと思っています」

大隅さんは、基礎研究の重要さをわざわざ、ノーベル賞受賞の会見で口にした。インターネット上で、科学者や科学ジャーナリストたちから「科学立国だった時代の成果」「30年後の日本はノーベル賞を取れる国なのだろうか」と悲観的な発信が続く。

2000年代に入り、ノーベル賞受賞が続く、日本の科学界。それにもかかわらず、なぜ現状、そして将来に悲観的な声があがるのか。

予算は少なく、研究以外の負担は増えるばかり

「悲観的になる理由はわかります。大隅先生の研究にしても、去年の大村智先生の研究も最初の発見から時間が経ったものです。日本人研究者によるノーベル賞候補として注目されている研究も1970年代~1990年代前半くらいまでに出揃ったものが大半です」

そう語るのは、ベテラン科学ジャーナリストの松浦晋也さんだ。松浦さんは、長年、宇宙を中心に科学の世界を取材してきた。

「その時と比べて科学者の世界は大きく変わりました。一つは研究費の問題。もう一つは大量の書類作りに追われ、研究に割ける自由な時間が減った学内環境です」

研究の「命綱」科研費の現状

研究費について、ノーベル賞ウィークが始まった今週初め日経新聞に大阪大・西尾章治郎学長の寄稿が掲載された。西尾学長は研究費についてこう言及する。

”大学の経営を支える公的な仕組みは、基盤的経費(国立大学運営費交付金、私立大学等経常費補助金など)と、国が公募・審査を行う競争的資金との両輪(デュアルサポート)から成っている。

学術研究の振興を担う競争的資金は科学研究費助成事業(科研費)である。基盤的経費に依存する個人研究費が減少する一方、個々の研究者にとっては、もっぱら科研費が自らの力で獲得しえる「命綱」として極めて重い意味を持ってくる”

研究費を支える「命綱」とまで表現される科研費だが、2014年度予算の2276億円から今年度までほぼ横ばいとなっている。

文科省・研究振興局学術研究助成課の担当者はBuzzFeed Japanの取材に「大学の運営費交付金の予算は減っているため、応募者が増加している状況にある。競争率が上がり、相対的には採択率が下がる状況にあります」と話す。

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最終更新:10/6(木) 7:31

BuzzFeed Japan