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新日鉄住金など、薄板追加値上げへ。下期原料コスト、1万円超上昇も

鉄鋼新聞 10/6(木) 6:00配信

 高炉メーカーは、原料炭のスポット価格が急騰していることに加え、錫・亜鉛・マンガンといった副原料コストも上昇していることから、下期の原料コストアップが上期比でトン1万円超になる可能性が出てきた。原料炭価格は上期80~90ドルだったが、足元スポット価格は2倍以上の210ドル台に高騰。炭鉱のトラブルや豪雨影響といった一過性要因もあるが、(1)中国の炭鉱操業日数制限(2)原料炭の需給バランスタイト化―など構造問題が背景にあり、「短期収束は難しい」(高炉幹部)といった見方もある。

 高炉各社の業績は2015年度下期から収益が急速かつ大幅に悪化。この4~6月期は新日鉄住金、JFEホールディグスなどが軒並み連結赤字だった。再生産可能な価格実現を掲げて、上期に薄板をはじめとする各品種で値上げを打ち出したが、需要家への転嫁を含めた完全浸透には達していないのが実情。
 10~12月からの原料価格高騰が新たなコストアップ要因として急浮上してきたことを踏まえ「すでに打ち出した値上げについて最終需要家までの完全浸透を急ぐとともに、追加値上げが不可避」(高炉メーカー)との構えだ。
 流通業界やユーザー業界に抵抗がある中で高炉メーカーが値上げを進めるのは、設備稼働状況が一因。生産設備はフル稼働となっており、数十万トン規模で引き受け(受注)を調整するなど、すべての注文に応じ切れない状況。
 加えて、国内需要面で「4~6月を大底に7~9月に回復傾向に。さらに10~12月は対前年同期比でもプラスになって下期回復シナリオが鮮明になってくる」との読みがあるからだ。
 品種別で最大数量の薄板需要を見ると、下期は自動車向けと建材向けが増えてくるとみられる。高炉では「薄板二次製品のデッキや軽量天井材が使われるS(鉄骨)造で2千平方メートル未満の中小物件が動き始めた。データを見ても前年同月比で9%増になった」としている。
 一方で、電炉メーカー主体のRC(鉄筋)造向け需要は停滞感が漂っている。通常、着工の半年後に鋼材出荷が出てくるとされるが、半年ほど前にはRC増の着工床面積が大きく落ち込んでいた。「今のRC造向けの低迷は、その現れ」と高炉では分析している。
高炉、スクラップ購入拡大で増産
 原料炭価格上昇で、高炉と電炉のコストに開きが出るとの見方があるが、一方で今後は鉄スクラップ価格が上昇して電炉のコストが膨らむと予想する関係者もいる。
 新日鉄住金は原料炭価格上昇を受け、増産する10~12月期に鉄スクラップ購入を拡大する方針を決めている。原料炭を購入して鉄鉱石から製造するよりも、鉄スクラップの方が安いという経済合理性からの判断。中国製ビレット価格も早晩上昇するとの見方もあり、仮にそうなれば鉄スクラップ価格が上昇する可能性がある。
 足元では高炉メーカーによる原料炭事情を受けた原料高転嫁の動きが際立つが、これが数カ月のタイムラグをもって電炉メーカーに波及するかが注目される。足元の需要に力強さがない中では、流通やユーザーが追加値上げに抵抗するのは必至であり、浸透に時間がかかる可能性もありそうだ。

最終更新:10/6(木) 6:00

鉄鋼新聞