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大量出店方針を修正 井阪セブン&アイ社長、中期経営計画発表

ニュースソクラ 10/6(木) 19:14配信

コンビニでも脱カリスマ経営

 「よく100日でまとめたな」――そんな声をセブン&アイ・ホールディングスの中期経営計画の発表会見の会場で聞いた。

 同感だ。巨艦の再生にはまだ十分ではないだろうが、よく整理され、会社を変えようとの方向感のみえる中期経営計画の内容だ。

 井阪隆一セブン&アイ社長は6日夕、中間決算の発表と同時に中期経営計画を発表した。計画のなかで、最も目立つのは株式の持ち合いや関西エリアの百貨店の事業譲渡を軸としたH2Oリテーリングとの提携だろう。7月にセブンから持ちかけたというから、わずかの間にまとめ上げたものだ。スピード感がある。しかし、これは百貨店事業のリストラに外部の手も借りるという経営革新としてはオーソドックスな手法だ。

 実は、セブン&アイにとって大きなビジネスモデルの転換が中期計画には仕込まれている。グループの中核であるセブンーイレブンの大量出店方式の修正をはっきりと打ち出したことだ。

 会見では出店の際の判断基準である投資収益率(ROI)をこれまでの11%から15%に引き上げ、出店抑制を鮮明にした。そのうえで、既存店の活性化に重点を置いた。商品力にみがきをかけ、既存店のオーナーと手を携えて、個別店の売り上げを引き上げていこうとの戦略だ。

 鈴木敏文前会長兼CEOは大量出店を掲げ、既存店の売り上げが少々落ちても地域全体で売り上げが上がればいいという路線を取っていた。このため、近隣へ同じセブンーイレブンが出店して既存店の売り上げが落ちる「共食い」症状が起こり始めていた。結果として、既存店の持続性を痛め、オーナーのなり手がいないという深刻な状況を生んでいた。

 出店数だけでみれば、当面は年間1700ペースだった新規出店が1600ぐらいに落ちる程度だろう。だが、このペースはさらに鈍っていくことになるだろう。

 井阪社長は「オーナーの皆さんのモティベーション(意欲)が大事。(各店の)経営努力が報われるようにしたい」と語り、オーナーから搾り取る経営からの決別を宣言している。会見では、カリスマといわれた鈴木前会長の経営手法を継承するとの発言もあったが、中身をみれば、鈴木路線の否定であるのは明らかだ。中期計画全体に流れる「脱カリスマ、脱鈴木」を本丸の事業、セブンーイレブンでの大量出店方式の転換が象徴している。

 問題は、出店の抑制路線が一時的には国内利益の伸び悩み現象を生みかねない面もあることだ。計画は米国でのセブンーイレブンのM&Aも含めた多店舗化戦略をはっきりと打ち出している。ガソリンスタンド隣接型のコンビニから、都市部でのファストフードを充実させた店作りへ、質的な転換も目指している。しばらくは、米国の拡大路線で国内の利益伸び悩みをカバーする体制になるのかもしれない。

 中期計画の取りまとめには、ホールディングスと各事業会社との間での摩擦もあったと聞く。改革に痛みが伴うのは当たり前。摩擦は正常な症状だ。同時に、巨艦の体質を改善し、長い持続的な成長に結ぶつけていく道のりはまだ、一歩目を踏み出したばかりともいえるのだろう。

土屋 直也 (ニュースソクラ編集長)

最終更新:10/6(木) 20:41

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