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事故の時のネコかも…さいたまの会社で保護、社長秘書に 強運に期待

埼玉新聞 10/6(木) 10:30配信

 埼玉県さいたま市北区の国道17号で8月、けがで動けなくなったネコを保護しようとしていた大宮署員2人が、酒に酔った男(20)が運転する乗用車にはねられ、重軽傷を負う事故があった。4日後、現場から逃げたネコとよく似た迷いネコが近くの眼鏡販売会社で保護された。ネコは全治2カ月のけがを負っていたが、治療を受けて順調に回復している。その強運にあやかろうと、ネコ好きな沢田泰行社長は「会社の招きネコ」として飼うことを決めた。現在は「社長秘書」に任命され、社員たちにかわいがられている。

 事故は8月22日午後10時20分ごろに発生した。「けがで動けなくなっているネコがいる」という110番を受け、署員5人が出動。ネコを保護しようと車道に出た署員2人が車にはねられた。

 事故現場近くには眼鏡小売りチェーン「アイジャパン」(本社・同区宮原町)が立つ。事故を目撃した同社財務経理課の伊藤貴信さんは「警察官をはねた車がそのまま猛スピードで逃げていった。ニュースでネコを保護しようとしていたことを知り、もしかしたらこのネコなのかもと思った」と話した。

 ネコは姿をくらまし、3日後の8月25日、沢田社長の車の下にいたのを社員が発見した。翌26日は同社ビルの玄関前でぐったりしていた。体は茶色く汚れて動かず、水や餌も拒絶。首輪は付けていなかった。

 「このまま世話をする人がいないと、死んでしまうかもしれない」。不安に思った沢田社長の判断で、社員がネコを動物病院に連れていったところ、左太ももに全治2カ月の複雑骨折を負っていた。同社で治療費を負担し、退院後も社内で保護することに。社名にちなんで「アイちゃん」と命名した。沢田社長は「社員から『招きネコになってくれるのでは』という声があり、驚くほど反対の声はなかった」と振り返る。

 アイちゃんは推定2、3歳の雌で、大きさ約50センチの雑種。白地に黒色、背中のハート模様がチャームポイントだ。写真を確認した同署は「断定はできないが、事故現場のネコとよく似ている」としている。

 普段は社長室などで、ケージに入っているアイちゃん。ケージには「社長秘書」と書かれたネームプレートが付けられている。総務企画課の石川路子さんは「いろんな社員が仕事の合間に会いに来ます」と人気者ぶりを説明。沢田社長も「毎日出社時と退社時にあいさつする。仕事中にアイちゃんが気になってちらちら見てる社員も多い」と口元を緩ませる。

 石川さんは「みんなにかわいがってほしい」と、餌やり表や世話マニュアルを作成。休日を含め、多くの社員が自主的に世話をしている。まだ歩くことはできないものの、懸命な介護のおかげで、アイちゃんは順調に回復。3食しっかり食べているという。

 「アイちゃんはみんなのアイドルだね」。膝の上にアイちゃんを抱きかかえた沢田社長は、優しくアイちゃんの頭をなでた。

最終更新:10/6(木) 22:39

埼玉新聞