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社説[特別警報]検証し運用を改善せよ

沖縄タイムス 10/6(木) 7:50配信

 台風18号は久米島を中心に農産物や、全域の3660戸が一時停電するなどライフラインに大きな爪痕を残した。

 県によると、久米島では約5700万円に上る被害が出た。サトウキビなどの農作物が4880万円、漁船の横転など水産関係が約500万円の内訳。復旧に時間がかかりそうだが、県は町と連携して全力を挙げてもらいたい。

 この台風で沖縄気象台は久米島を含む沖縄本島地方に暴風、波浪、大雨、高潮の「特別警報」を発表した。

 特別警報は、数十年に1度、これまでに経験したことのないような異常な状況を意味する。危険が差し迫っており、命を守る行動を促す最大級の警戒情報である。

 一人一人の携帯電話に緊急メールが届き、切迫感を帯びたテレビのアナウンサーの声に警戒感が高まったはずだが、沖縄本島の場合は特別警報との乖離(かいり)に戸惑った人が多かったのではないだろうか。

 特別警報の指標は、中心気圧が910ヘクトパスカル以下、または最大風速が60メートル以上である。台風18号の中心気圧は905ヘクトパスカルに発達。最大瞬間風速も85メートルと予想していた。1959年に宮古島を襲い、甚大な被害を出した台風の908ヘクトパスカルをしのぎ、県内・国内で観測史上最大級となった。

 台風は久米島の西約30キロを通過して西寄りに進んだ。このため沖縄本島の暴風域は中南部をかすめた程度で、北部は暴風域にも入らなかった。

 中心付近の勢力は強いが、強風域が直径670キロ、暴風域も半径90キロと比較的狭い「コンパクト台風」だったことも影響している。

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 沖縄本島に限ると、気象台が実態とかけ離れた発表をしたのは、特別警報が沖縄本島、大東島、宮古島、八重山の4地方を対象にしなければならないきまりがあるからだ。久米島に特別警報を出すには沖縄本島地方に発表しなければならないのである。

 エリアごと、あるいは局地的に発表する方法を検討すべきではないか。というのは、今回のようなことが続くと、特別警報に対する住民の信頼が損なわれ、特別警報が発表されたとしても、「またか」などと、ないがしろにされかねないからである。

 2014年7月に台風による暴風や高潮、大雨の特別警報を宮古島や沖縄本島地方に出したが、その後台風の勢力が弱まったため解除。だが台風の速度が落ちたため沖縄本島地方に再び大雨の特別警報を発表したことがある。特別警報の二転三転が記憶に残っている人も多いはずである。■ ■

 注意報、警報、特別警報と台風情報の種類が増え、区別が分かりにくくなったこともあろう。気象台は周知徹底にさらに尽力してもらいたい。特別警報の新設で、注意報や警報の役割がなくなるわけではないことも肝に銘じたい。

 海面水温が上昇し、将来的には「スーパー台風」の日本への襲来が指摘されている。

 台風の発生場所やルートがこれまでと明らかに違っている。気象台は観測の精度を上げるとともに、台風常襲地の東南アジア、中国、台湾と連携を強める必要がある。

最終更新:10/6(木) 7:50

沖縄タイムス