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電力産業の将来を示す「東電改革」、2017年から新事業計画に着手

スマートジャパン 10/7(金) 13:25配信

 経済産業省は「東京電力改革・1F問題委員会」の第1回会合を10月5日に開催した。「1F」は国を揺るがす重大な事故を起こした「福島第一原子力発電所」の略称で、事故の収束と福島の復興を図るために東京電力の経営改革を加速させることが目的だ。委員会を通じて具体的な改革案を年内にとりまとめたうえで、1Fの廃炉・汚染水の対策費用に関する新たな制度を検討する。

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 東京電力の経営改革における最大の問題は、事故の収束に必要な賠償費用と廃炉・汚染水対策費用を東京電力だけで背負いきれないことにある。賠償費用は当初想定した5兆円から9兆円に増え、さらに増加が見込まれている。一方の廃炉・汚染水対策費用も2兆円をはるかに上回ることが確実な状況だ。

 この間に国の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が東京電力に1兆円を出資して、株式の過半数を所有する国有化の状態に移行した。さらに「原子力損害賠償金」として2016年9月までに合計6兆円を超える資金を東京電力に交付している。このまま賠償費用が増え続け、同時に廃炉・汚染水対策費も拡大していくと、国の財政と東京電力の経営に多大な影響を与える。

 こうした事態から脱却するするために、国が新たな制度を導入する。新制度は東京電力の廃炉費用を他の事業者の電気料金にも上乗せして回収する案が有力だ。小売全面自由化が進む中で、東京電力の電気料金だけが上昇してしまう問題を回避する狙いもある。並行して東京電力は「非連続の経営改革」を断行する。

発電・小売に続いて送配電でも提携

 東京電力が取り組む「非連続の経営改革」は、7月に発表した「激変する環境下における経営方針」の中で打ち出した。競争が激化する電力産業の中で、発電・送配電・小売の機能別に他社との提携を加速させる点が重要な戦略になる。これまでに火力発電で中部電力と合弁事業を開始したほか、小売ではガス会社や電話会社と販売提携を拡大してきた。今後は送配電事業でも他の電力会社と提携を進める方針だ。

 東京電力は2014年1月に国の方針をもとに、「新・総合特別事業計画(新総特)」を策定して経営改革を進めてきた。新たに国の委員会がとりまとめる改革案を反映させたうえで、非連続の経営改革を具体化させた「新々総特」を2017年の初めに策定する。その中には電力会社として世界標準になる高いレベルの生産性を達成する目標も掲げる。

 経済産業省は一連の改革の目的を次のように宣言した。「福島県の方々が安心し、国民が納得し、昼夜問わず第一線を支え続ける現場が気概を持って働ける解を見つけなければならない」。東京電力が「新々総特」の実行を通じて担う責任は極めて重い。今後の原子力発電所の再稼働に影響を与えるほか、進行中の電力システム改革の成否も左右する。

 すでに東京電力は電力システム改革の第3弾で実施する発送電分離(送配電部門の中立化)を先取りした分社化を実施済みだ。他の9つの電力会社も2020年4月までに送配電部門を分離することが求められている。そのタイミングで地域を越えた提携が広がる可能性は大いにある。

 一方で政府は電力システム改革を「貫徹」するために必要な6項目にわたる施策の検討に着手した。検討項目には廃炉会計制度の見直しが含まれている。東京電力の廃炉費用を含めて電気料金から回収する案をまとめる予定だ。新たに始まる「東電改革」が電力産業の将来の方向性を示すことになる。

最終更新:10/7(金) 13:25

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