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ノーメークでもテレビ会議OK、資生堂の自動メークアプリ「TeleBeauty」はなぜ生まれたか

ITmedia エンタープライズ 10/7(金) 20:45配信

 「会議開始5秒であいさつが終わると、そっとカメラをオフにしています」「自分のノーメークの顔が、会社の22インチディスプレイにずっと映されていた」「最近のPCは画面が鮮明すぎて、肌のアラが……」

【画像】男性記者が試してみると……

 業務の効率化や育児・介護などとの両立を背景に、自宅や出張先などをつなぐオンライン会議を採用する企業が増えてきているが、化粧にまつわる理由で、苦労している女性は多いという。特に時差のある海外との会議となると、そのためだけに早朝や深夜に身なりを整えるのは大変だ。

 オンライン会議でも、身なりで手を抜いた印象を与えたくない――。資生堂と日本マイクロソフトは10月7日、オンライン会議時に利用する自動メークアプリ「TeleBeauty」(テレビューティー)を開発したと発表した。

●メークシミュレーションの画像を合成

 女性社員が約8割を占める資生堂では、育児休暇などの制度を早くから導入しており、オンライン会議も利用していたが、化粧にまつわる悩みのほか、自室を見られたくないといった課題があることが分かったという。

 「マイクロソフトの女性社員にも聞いてみたが、たとえ化粧をしていても、背景によってホワイトバランスが変化して肌がきれいに見えなかったり、PCのカメラのアングルが下からであるため、首やあごが太く見えるといった問題もある。対面で話したほうが、コミュニケーションの量も質も高まりますが、顔を見せたくないという人は多い」(資生堂 宣伝・デザイン部 クリエーティブ企画室長 片岡まり氏)

 こうしたユーザーの声に応え、TeleBeautyではよい血色感や明るい肌色を再現できるよう、資生堂がこれまで培ったメークシミュレーション技術を活用している。映像上でシミュレーションを合成する機能のほか、顔の明るさと色を補正する機能、毛穴やしわなどを自然にぼかす機能を備え、メークの濃淡を細かく調整できる。お気に入りのメークが決まった段階で、Skypeにログインする仕組みだ。

 自動メーク機能では、自然なメークの「ナチュラル」、2016年の流行である「トレンド」、きりっとした印象を与える「クール」、女性らしいソフトな雰囲気の「フェミニン」の4パターンから選べる。設定は保存されるため、以降はアプリケーションを起動するだけでよい。プライベートを見せたくないユーザーに向け、背景映像をぼかす機能も用意したが、どこで仕事をしているか分かるようにするため、「背景を消す機能は実装しなかった(資生堂)」という。

 Webカメラで撮影した映像にメークの画像を重ねるため、ネットワークが遅延したり、激しい動きをすると、映像と画像がバラバラになってしまう可能性はあるが「できるだけ、顔の動きに追従するよう工夫を凝らした」(片岡氏)とのことだ。

●日本マイクロソフトでも試験運用

 TeleBeautyは2016年9月から11月の3カ月間、日本マイクロソフトの女性社員100人が試験運用を実施するとともに、テレワークを推進する「働き方改革週間2016(10月17日~10月21日)」において、賛同企業に積極的に提案するという。

 日本マイクロソフトでは、ワークスタイル改革に取り組んでから数年がたち、交通費が20%削減できたり、女性の離職率が40%減るなど、さまざまな成果が出ているそうだ。

 「マイクロソフトがワークスタイル改革にパッションを持って取り組んでいるのは、それだけの“うまみ”があるから。生産性も上がり、残業時間や女性の離職率も減っている。場所を問わず、組織を超えたコラボレーションができるように、今後さらにワークスタイル改革を進めていく」(日本マイクロソフト 執行役員常務 織田浩義氏)

 TeleBeautyのような取り組みは、マイクロソフトも始めてで、欧米の人々に説明すると「Cool」という反応をされると織田氏は話す。

 「テレワークについては欧米の方が進んでいる部分が多いが、この取り組みを話すと『Cool』という反応をされる。日本らしいCoolなテレワークを進め、新しい働き方を浸透させていきたい。資生堂とともに革新を進めていければ」(織田氏)

●TeleBeautyは男性でも使える?

 試験運用終了後の展開は現時点では未定で、働き方改革週間での反響を見てから考えるとしているが、「Skype for Business以外のオンライン会議でも使えるようにしたり、実証実験を重ねたりして、利用者に役立つ展開を検討する」(片岡氏)という。

 片岡氏によると、TeleBeautyは男性でも使えるそうだ。肌の色を調整し、血色が良いように見せられるため、「特に二日酔いの時にオススメ」とのこと。実際に記者も試してみたが、顔の色が明るくなると確かに印象は変わる。こうしたアプリが普及すると、商品が売れなくなるのではないかという声も社内から出たそうだが、ビジネスチャンスを広げる可能性の方が大きいと考えているようだ。

 「デジタル上で自分の美しさを再確認し、実際のメーキャップへの興味関心が高まると考えている。シミュレーションで新たなパターンを発見することで、新しい色へのチャレンジしたいと思うユーザーもいるはず。女性が楽しく働けるようになることで、実購買に結び付くと考えている」(資生堂 執行役員 副島三記子氏)

最終更新:10/7(金) 20:45

ITmedia エンタープライズ