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米コカ・コーラとGMの、最先端ビジネス事情

ITmedia ビジネスオンライン 10/7(金) 21:49配信

 海外大企業はどのようにITツールをビジネスに活用しているのか。この答えを知ることができるのが米Salesforce.comの年次イベント「Dreamforce 2016」(10月4~7日、米サンフランシスコ)だ。

【GMもビジネスにITツールを活用している】

 2016年のテーマは「Customer Trailblazer(顧客の中の先駆者)」。Salesforceが提供する「Sales Cloud」「Marketing Cloud」などのITツールを活用し、成果を上げ、変化を遂げた企業や個人にスポットが当たっている。「Trailblazer」は日本では耳なじみのない単語だが、“高い山に誰よりも先に上っていく人”をイメージしてみると少し分かりやすくなる。

 会場内でも特に目立っていたのが、各業界を代表して出展している7つの企業だ。製造業のChevrolet(シボレー)、ヘルスケアのLilly、消費財メーカーのCoca-Cola、金融サービスのFarmers Insurance、通信サービスのT-Mobile、小売のAldoとvineyard vines――どの企業もSalesforceをはじめとしたITツールをビジネスに生かしているのだ。

●Coca-Colaの事例:ユーザーの先読みをする

 北米Coca-Colaは、B2BカスタマーサービスのプラットフォームにSalesforceを採用している。組み込んでいるサービスは「Service Cloud」「App Cloud」「Sales Cloud」「Marketing cloud」「IoT Cloud」「Analytics Cloud」と幅広い。

 このプラットフォームでは、ウォルマートなどのショップや、マクドナルドなどの飲食店とやりとりをしている。主に導入、発注、メンテナンスといった段階でユーザー数は1万5000(企業、店)にも上る。

 では、具体的にどのようにB2Bビジネスが行われているのか。Coca-Colaの自動販売機を自分の店に導入した顧客Aさんの例で紹介しよう。顧客は契約とともに同社のコミュニティーに招待され、以降はそのコミュニティーのプラットフォームを介したやりとりをすることになる。

 Aさんが仕入れた自動販売機のタンクが古くなってきて、交換の必要が生じてきた。するとタンクに組み込まれたセンサーが、Coca-Colaのサービスセンターに減少を通知する。そこでエージェントが「タンクが古いので新しいものを購入してください。あと○日でタンク内部のCO2が切れてしまいます」とアラートを出せるわけだ。Aさんがアラートを受けて注文すれば、すぐさま交換隊を派遣できる。この一連のやりとりはプラットフォーム上で行えるので、メールや電話は必要ない。

 現象の予測は、以前からパイロット版がリリースされ、16年9月に正式スタートしたSalesforceのAI「Einstein(アインシュタイン)」が使用されている。Einsteinは同社の新サービスというわけではなく、既存のサービスに組み込んで利用できるものだ。

 米国におけるトレンドは“ユーザーエクスペリエンス”と言われている。ユーザー側がサービスを利用して新たな体験や満足をすることを重要視した考え方で、そのためにはユーザーのニーズを“先読み”し、展開することが必要になる。IoTやAIは、その体験にとって非常に重要になってくる。

 「コカ・コーラを欲している人に効率よく届けるために、Salesforceの製品は非常に役に立っている。顧客だけではなく、会社の所有している工場や、委託工場ともうまく連携を図り、製造、物流パートナーとの関係を深めている」(Coca-Cola CTOアラン・ベーム氏)

●GMの事例:望むものを、望むタイミングで

 GM(ゼネラルモーターズ)が展開するブランドであるシボレーも、ITツールを活用している。米国のもう1つの大きなトレンドは「パーソナライズ」だ。ユーザーをセグメントに分けてターゲッティングしていくだけではなく、より詳しく、個々人の好みに合わせて変わっていくことが求められている。

 GMが展開しようと考えているのは“位置情報を利用したサービス”と“車内広告”だ。車内のディスプレイにはナビと一緒に、ホテル情報や飲食店情報が表示される。運転しながらそれを選択していくと、車の中にいながらにしてホテル予約や食事の注文ができる。

 出てくる広告は、運転者の好みや行動を学習、予測する。理想としているのはドライバーが望んでいるものが望むであろうタイミングに出てくること。広告付きの車のモデルに「高級車を買っているのに広告が出てくるのはいかがなものか」と考えているユーザーは多いかもしれないが、GMは「このモデルに賛同したユーザーに対してのみ実施し、また望むものしか出さないので、ユーザーにとっての利益になる」との姿勢だ。オーナーやB2B顧客とのやりとりをするシステム構築には、Salesforceの製品を利用している。

 ちなみに、ディスプレイを見ながらの運転に危険はないのだろうか。GMは「ユーザビリティテストを行い、運転の邪魔になるようなものは入れていない」とアピールするが、正直なところ、ディスプレイが下部にあるため若干確認はしづらそうだ。恐らく、GMが他方で進めている自動運転技術と組み合わせた時に、より大きなシナジーを生み出すのだろう。

 「GMはデータに価値があると考えている。車のオーナーとの関係を構築し、1対1(1 to 1)の関係を作り上げたい」(GMマーケティング部長リック・ラスキン氏)

 Salesforceは、Dreamforceのさまざまな講演で「お客様との関係を大事にする」と繰り返す。こうした“先駆者”企業の事例を紹介することは、Salesforce製品の魅力をアピールするだけでなく、Salesforceの“顧客文化”の形成にも役立っている。

最終更新:10/7(金) 21:49

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