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「パナマ文書」と国境を越える報道ネットワークの試み アジア調査報道会議

アジアプレス・ネットワーク 10/7(金) 10:55配信

9月23日から25日にかけて、第二回アジア調査報道会議がネパールの首都カトマンズで開かれた。参加したのはアジア各国を中心とした51カ国から約350人のジャーナリスト。ここで、租税回避地に逃れる資産情報が記されたいわゆる「パナマ文書」について、アジア各国のジャーナリストで協働して掘り下げる新たなネットワークが結成されることが決まった。(アイ・アジア編集部)

「アジアを暴く」を合言葉に始まったこの会議は2014年にフィリピン・マニラで第一回が開催され、今回で二度目となる。主催した「国際調査報道会議」のデビッド・カプランは、「参加者は増え続けているが、アジアにおいても参加者が増えていることは喜ばしいことだ」と語り、これまで欧米のメディアを中心に行われてきた調査報道がアジアにも根付いてきたとの印象を話した。


会議は23日から25日まで、カトマンズ市内のホテルを借り切って行われた。まず、世界中で命を失っているジャーナリストのためにロウソクに火がともされ30秒間の黙とうがささげられた。ロウソクに火がともされるのはネパールの伝統にのっとった儀式だが、非業の死を遂げたジャーナリストに黙とうがささげられるのは会議の第一回目からの行事となっている。カプランは、「それだけ多くのジャーナリストが危険にさらされているということだ」と悔しそうに話した。

◆パナマ文書報道の意義

会議はデータジャーナリズム、コンピューター処理機能など、調査報道を中心にジャーナリズムに関する様々なテーマについてセッションが行われた。このうちの目玉が、今年の最大のスクープとも言えるパナマ文書について当事者が語る討論だ。

アイスランドの首相が辞任に追い込まれ、イギリスのキャメロン首相、ロシアのプーチン大統領、中国の周近平主席に関わるとされる課税を逃れた蓄財が明らかにされた報道は、各国のジャーナリストが協力して取材を行うという画期的なものとなっているが、アジア各国のジャーナリストもそれぞれの国で成果を出している。

コロンビア大学ジャーナリズム大学院のシーラ・コロネル院長は、「かつてない国境を越えたジャーナリストの協働作業は、アジアでも行われている」と紹介。
米非営利組織「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)でデータ処理を担当したマー・カブラは、「2.6テラバイトという厖大な情報を前に呆然としたが、技術の助けが重要だった。既存の技術を駆使して情報処理の仕組みを作った」と当初の状況を明かした。

パキスタンのウマール・クーマは、「首相の名前を出すかどうかで新聞の発行者ともめるかと思ったが、彼は理解を示してくれた。首相の3人の子供がバージン諸島に会社を持っていたことがわかった。

インドのリタ・サリンは「まだ私は追い続けている。政府の反応については、財務大臣がパナマ文書の報道をきっかけに租税回避地に逃れる資金の調査を開始すると発表した」と話した。

共同通信の澤康臣特別報道室次長は、「共同通信とライバルである朝日新聞とで協力して取材にあたるという過去にない取り組みを行った。日本ではこれまで政治家の名前は出ていないが、それでも我々は失望していない。まだこれからも取材を続ける」と話した。

インドネシアのワイユ・ディヤトミカは、「大統領の名前を調べ続けてきたが、そうした名前は見つからなかった。その後、大臣、経済界の名前を探し続けてきて、2人の現職大臣、数人の公職者、犯罪者の名前を見つけた。大統領官邸からは、誰の名前が出ているのか教えてほしいと連絡があったが、我々は応じなかった。インドネシア政府は、ある意味で賢く、パナマ文書を使って政治家の汚職に厳しい対応を取ろうとした」と話した。

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最終更新:10/7(金) 11:54

アジアプレス・ネットワーク