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社説[ハリアー飛行再開]原因究明せず安全とは

沖縄タイムス 10/7(金) 7:20配信

 ローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官は、先月22日に墜落事故を起こした米海兵隊の戦闘攻撃機AV8Bハリアーの飛行を、きょう再開すると発表した。

 事故からわずか15日後の飛行再開。墜落原因は現時点で特定できていない。にもかかわらずローレンス氏は会見で「安全に飛行できるという確信を得た」と述べた。無責任極まりない発言で、到底納得できるものではない。

 事故翌日にキャンプ瑞慶覧のデヴィッド・E・ジョーンズ海兵隊太平洋基地副司令官は「軍を挙げて原因究明したい」と述べ、その結果を県に報告する歩み寄りの姿勢も見せていた。

 なのにこの有様だ。結局、いつもと変わらず事故原因が分からぬままの飛行再開となった。一連の経緯から翁長雄志知事は「裏切られた」と厳しく断じたが、当然だ。

 稲田朋美防衛相の翻意も見過ごせない。事故後の来県時には「原因究明の説明なしに信頼回復はできない」と米側の説明責任に言及していた。

 だが飛行再開の表明後、ハリス米太平洋軍司令官との会談では、「安全確認をしっかり行っていただき、引き続き情報提供をお願いしたい」とトーンダウン。これまで通りの米軍追従に終始した。

 その稲田氏率いる防衛省は今回も、県民への説明前に飛行再開に同意した。「米軍が安全と言っているから安全」とする盲信的態度は、事故の放置に等しい。そうした政府の無責任体質が、沖縄の基地負担を一層重くしている。

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 ローレンス氏は会見で「ハリアーの運用は沖縄以外の世界中で継続しており、航空機の安全性は実証されていると思っている」と述べた。ハリアーの安全は世界で確認されているとの趣旨だが、大いに疑問符が付く。

 米国だけを見ても、海兵隊所属のハリアーは今年5月に墜落事故を起こしたばかり。2年前には5月と6月に相次いでアリゾナ州ユマ海兵隊航空基地所属ハリアーが墜落した。うち1件は民家2軒を炎上させる惨事となった。

 戦闘機に詳しい専門家は、エンジン噴出孔の向きを変えて垂直離着陸するハリアーの特性上、飛行が不安定になりやすく墜落事故につながりやすいと指摘する。同様の新型垂直離着陸機オスプレイでも事故が頻発している。

 今回の事故を受けた米軍の初期調査では、事故機の欠陥や整備・人為的ミスなどは見つからなかった。となれば、ハリアーの構造自体に事故を誘発する問題があると考える方が自然だ。

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 沖縄で米軍機の墜落事故は復帰後46件目となった。発生頻度は年1回以上と高く、なかでもハリアーはそのうち19回もの事故を起こしている。この事実は、ほかの地域より配備数が多く、訓練数が多いことが、事故発生の要因となっている可能性を示す。

 今回事故を起こしたハリアーは外来機だった。

 となれば最も効果的な事故防止策は、米軍機の配備数と外来機の飛来数、沖縄での訓練回数を少しでも減らすことしかない。

最終更新:10/7(金) 7:20

沖縄タイムス