ここから本文です

ロシア「シベリア鉄道を北海道につなげる」要求 日本のメリットは?

ZUU online 10/8(土) 14:10配信

ロシアがシベリア鉄道を延伸し、サハリンと北海道・稚内の宗谷岬をつなぐ大陸横断鉄道(約42km)の建設を求めているという。海峡は橋かトンネルで渡す構想だが、実現すれば日本から欧州まで陸路で結ぶ新たなルートとなるが、かかるコストは膨大なものになりそうだ。北方領土の返還交渉におけるカードだろうが、果たして……。

■戦前からシベリア鉄道経由の利用は盛んに行われていた

「シベリア鉄道」というと、モスクワ-ウラジオストク間9297kmの全体または一部を指す。正確にウラジオストクからモスクワまでではなく、チェリャビンスク州のチェリャビンスクまでの7416kmをいう。

日本では戦前から、大陸へ渡りシベリア鉄道経由で欧州へ向かう様々なルートが存在している。JR山陽本線の下関駅(山口県)から船で朝鮮半島南端に渡りシベリア鉄道に接続するルートもあれば、同じく山陽本線の神戸駅または門司駅から船で大連に渡り、シベリア鉄道に接続するルートのほか、他にも複数ある。

日本からモスクワを経て欧州を陸路で結ぶ新たなルート構想は、両国の経済・物流・観光・人的交流が活発になると期待されている。

■日本からモスクワまで海上輸送なら約35~40日かかるが……

日ロ関係は現状どうなっているのだろうか。2014年3月のウクライナ問題以降、ギクシャクしている。同年秋に予定されていたプーチン大統領の訪日も延期された。両国の関係者がこう着状態の打開に動いたが、決定打を欠いた状況が続いていた。

ロシアを横断し極東と欧州を結ぶシベリア鉄道。貨物輸送の大動脈であることは間違いない。日本からモスクワまでの海上輸送なら約35~40日かかるが、鉄道を使えば約25日となり輸送時間は縮まる。1970~80年代はシベリア鉄道の貨物利用はほぼ100%日本企業だった時代もある。その状況が終わった理由は、1990年代のソ連解体に伴って生じた混乱と、そこで頻発したトラブルだ。そこで日本企業の多くが海上輸送に切り替えた。

■コストに見合うのか?

シベリア鉄道延伸による日本のメリットは「物流能力の増加」「インフラ需要」「人的交流の活発化」などだろう。逆にデメリットとしては「延伸によるコストに見合うのか」ということだ。

とはいえ、多極化が進む世界情勢を鑑みればロシアとの関係強化の努力は時代の流れとも言える。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立で、「一帯一路」構想が注目された。「一帯」とは中国から中央アジアさらには西アジアにつながる「シルクロード経済ベルト」を指し、「一路」は中国から南シナ海、インド洋、アラビア海を経て地中海に至る「海上のシルクロード」を意味する。

この隣国にある2大国の壮大なプランに米国を入れた“四角関係”のバランスを考える事は、日本外交の最重要課題の一つでもある。

このところ、安倍首相の訪露(2013年4月)、岸田外務大臣の訪露(15年9月)、ラヴロフ露外相の訪日(16年4月)、安倍首相のソチ非公式訪問(16年5月)と、二国間の関係は良い方向へ進んでいるように見える。

政府の、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針は変わらないだろう。ロシアとの交渉をうまく進めていく上でも、ロシアの大陸横断道計画の重要性は高まるはずだ。計画の動向には今以上に注目が集まるだろう。(ZUU online編集部)

最終更新:10/8(土) 14:10

ZUU online