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マーベル映画の音楽が印象に残らない意外な理由とは?

ギズモード・ジャパン 10/8(土) 7:50配信

なんでもいいからマーベル映画の音楽を歌ってみてください!

うーん。難しいですねぇ。マーベルの映画を数多く見てきた人でも、中々思いつかないのではないでしょうか? では、「スターウォーズ」は? 「007」は? 「ハリー・ポッター」は? 圧倒的にこれらの映画の歌のほうが思いつくでしょう。もしかしたら、これらの映画を見たことがない人でも歌えるかもしれませんね。

では、マーベルの音楽がこんなにも記憶に残らない理由はなんでしょうか?

ゲームやアニメーションをとりあげているPolygonが紹介したEvery Frame a Paintingの動画(リンク:https://youtu.be/7vfqkvwW2fs)でその理由について説明しています。

マーベル映画の印象の薄さは以下の3つの理由からくるようです。

理由1:あってもなくてもいいBGM

感情を突き動かすBGMが流れているわけではなく、BGMがなくても成り立つシーンが多いんです。たとえ印象的な音楽が流れていたとしても、セリフや効果音などの演出が入るため、音楽の印象に残りづらいとのこと。

理由2:説明的な音楽

音楽がシーンの内容を予期させるツールとして使われています。たとえば、キャラクターの喜怒哀楽、恐怖、驚愕といったものを音楽で表現している、もしくは予期させているそうです。

理由3:テンプ・トラックを使っている

今の映画業界では、映画音楽の作曲家が曲を作る前に、すでに存在する映画から「それらしい音楽(テンプ・トラック)」を引っ張ってきて、編集段階で一時的に使うのが普通になっています。しかし、何度も編集を重ねるうちにそれが最も適したBGMであるかのように錯覚してしまい、監督からも「この雰囲気で作れ」という指示が入る場合があるそうです。よって、既存の音楽とほぼ変わらない印象の音楽が生まれるんです。

これらがマーベル映画の音楽が印象に残らない大きな要因と考えられていますが、そもそも映画音楽の流行が移り変わり、ここ20年は「音楽は目立ちすぎるべきでない」という考えが浸透しているようです。

昨今ではテンプ・トラックが当たり前となっており、同じトーンの音楽が真似し合っているのが現状なのです。マーベルも真似することもあれば、真似されることも。

では、なぜマーベルはこういった音楽作りをするのか。それは彼らが保守的だからに他ならないとEvery Frame a Paintingは主張しています。

存在を感じさせない、ナレーションを入れる、説明的にする、テンプ・トラック、これらは全て安全圏に居たいという考えからきています。そして、音楽で映画に深みを与えたり、観客の心を揺さぶることよりも、リスク回避を優先した代償が、印象に残らないという結果に繋がっているようです。

では、ここでEvery Frame a Paintingがまとめたテンプ・トラックの多さを証明する動画をご覧ください。

動画はこちら:https://youtu.be/IEfQ_9DIItI

気づかないだけで、こんなにも似ているのです。この気づかない、というのが鍵なのでしょう。

なお、ザック・シュナイダー監督の映画「300」では、「タイタス」の音楽(エリオット・ゴールデンタール作曲)をテンプ・トラックとして使用しており、あまりにも酷似しているために、作曲家のタイラー・ベイツが盗作したと騒がれたことがありました。のちにワーナー・ブラザーズは、エリオット・ゴールデンタールの曲を部分的に真似ていることを正式に謝罪しています。

やはり、製作にたくさんの時間とコストを要する映画は、音楽を効率良く作っていく傾向にあるのでしょうか? しかしながら、マーベルはあえて説明的で、印象に残りづらいテンプ・トラックを逆手にとって、うまく活用しているようにも思えます。

source: Polygon via Every Frame a Painting

(中川真知子)

最終更新:10/8(土) 7:50

ギズモード・ジャパン