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物流業界で進む“無人化”への挑戦 次の一手はロボットピッキング

日刊工業新聞電子版 10/8(土) 15:42配信

自動倉庫・仕分け・搬送装置でロボ先行

 人手不足に悩む物流業界で、物流施設の自動化にロボットを活用する動きが進んでいる。自動倉庫や仕分け装置、搬送装置などで物流現場の自動化が進んだ。だが、発送先別に商品を詰め合わせる「ピッキング」など一部の作業はいまだ人海戦術に頼っている。これらの作業から人を解放しようとロボットを導入したシステム提案が増えてきた。(石橋弘彰)

【ピッキング】
 産業用ロボットによる自動化システムを得意とする旭興産(山口県岩国市)は、多軸ロボットによるピッキングシステムを各社に提案中。長年のノウハウを生かし既存の機器を組み合わせ、比較的安くシステム構築できることが特徴だ。

 上部のカメラセンサーで対象物の位置を捉えて砂糖袋のような多少形が変わるものでも器用に持ち上げる。対象物のデータをプログラムすれば、複数の形の違う商品をピッキングできる。同社技術者は「低コストでシステム構築することが物流向けでは不可欠」と強調する。

 作業の中身にこだわるのは独自の汎用ロボットコントローラーを持ち味にするMUJIN(東京都文京区)。同社のピッキングシステムは、ロボットに動きを教える教示作業が不要ながら、的確に複数の商品をピッキングできる。短期間でシステム構築できる一方で、ピッキングのスピードも速い。

 同社の滝野一征CEO(最高経営責任者)は「インターネット通販のように多品種ピッキングを大量にこなす必要がある施設には1000人単位の従事者が必要。だが、どこも雇用の維持・確保に苦しんでいる」と明かす。“いまそこにある危機”にすぐ対応することと、最少人数の人手でしっかり作業できる質の高いシステムこそ必要だという。

カゴ台車からのピッキング

 省人化機器によるシステム構築を手がけるマキテック(名古屋市熱田区)は、無人搬送車(AGV)と治具、コンベヤー、産業用ロボットを組み合わせてカゴ台車から箱をピッキングするシステムを開発した。カゴ台車をAGVが持ち上げて運び、治具で位置を固定した上で、カゴ台車から箱を一つずつロボットでコンベヤーに下ろす。同社によると「同じ大きさの折り畳みコンテナや段ボールを下ろす作業を想定した」ものだという。展示会などで提案活動してユーザーを見つける。

 人手によるピッキング作業を支援する技術も多い。匠(北九州市)は米フェッチ・ロボティクスが開発した可搬自走ロボットのシステム提案を始めた。人の手元に荷物を運んでくることでピッキングの負担を低減する。ゲームのコントローラーによる操作で、現場でも簡単にルートを決められる。「AGVより簡単に導入でき、ラインの変更も楽」(関係者)と使い勝手が良い。

【音声指示】
 音声による指示で両手をふさがずピッキング作業ができるシステムを提案するのはホクショー(金沢市)。インカムを付けた作業者が、合成音声の指示を受けて目的のモノをピッキング。音声でピッキングしたことを話すと、次の作業指示を自動で受ける。
聞き取りにくい環境下での作業など、環境を選ぶかも知れないが、両手が使えることに利点がある際には威力を発揮しそうだ。

 ロボットにとっても物流分野は大きな市場。今後も同分野へのロボット技術の導入は急速に進みそうだ。

最終更新:10/8(土) 15:42

日刊工業新聞電子版