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一度はやってみたい!「ハゼ釣り」入門

TOKYO FM+ 10/8(土) 11:50配信

この秋、新しいことを始めてみるなら「釣り」はいかがでしょう。大自然の中、のんびりと釣りをするのは、休日の過ごし方としても最高ですよね。中でも、ハゼは日本全国どこでも釣れて、初心者や子どもでも釣りやすい上に、食べてもおいしい、まさに釣りの入門にピッタリです。今回は「ハゼ釣り」のコツとハゼの美味しい食べ方を、TOKYO FMの番組の中で詳しい方々に教えてもらいました。


◆「ハゼ釣りは初心者にもピッタリ!」
~タレント 永浜いりあさん

ハゼは小型の魚ですし、河口などの近場で釣れるので、釣りとしては地味な印象を受けるかもしれません。でも釣れたときのアタリが「クンクンッ!」と意外なくらい強かったり、食べてもすごくおいしいこともあって、釣り人の間でもかなり人気がある魚です。

河口で釣れるハゼは10cmくらいですが、ボートで少し沖に出ると15~20cmのハゼもいます。小さなハゼでもそれなりの引きがあるのに、大きくなるとそれだけ引きが強くなるのが楽しいですね。いろんなサイズが釣れるので、20cm超えの大きなサイズを目指すのも楽しいと思います。

大きなサイズのハゼは肉厚になるので、ハゼのおいしさをたっぷりと味わえます。私が一番好きなのは天ぷらです。大きなハゼだと身がフワフワで、これこそがハゼの魅力!と思わせてくれます。お店だと食べられる時期が限られてしまうので、ぜひ自分で釣って味わってみてください。

ハゼ釣りは夏頃から始まって、秋から冬にかけてが最盛期です。日本中どこでも釣れて、内湾の浅瀬や汽水域(河口付近の川の水と海水が混ざり合った水域)の砂泥地にいます。ハゼが釣れるような場所はだいたいどこでもボート屋さんや船宿があるので、そういうお店を見つけたらハゼがいると思って良いでしょう。関東なら千葉県の豊里にある「西谷釣り船」が有名ですね。

ハゼは初めての人でも釣れる魚です。手軽な竿で十分ですし、糸もそんなに太いものは使いません。真下に落とすようなときはベイトリール(両軸リール)を使うと一定の速度で巻きやすいので初心者にも扱いやすいと思います。重りが8号(約30g)前後と軽いので、魚の大きさのわりにはアタリを感じやすいでしょう。

餌にはイソメやアオイソメ、ジャリメなどのミミズのような餌を使います。仕掛けを落として重りが底についたら、少し巻き取って糸を張らせ気味にして待ちましょう。ちょっと待ってもアタリがないときはゆっくりと竿を上げて誘ってみます。その繰り返しだけなので初心者でも簡単です。浅い場所なのでアタリはわかりやすいですし、すぐに重りが底まで届くので何度でもリトライしてください。


◆「ハゼはものすごく食いしん坊な魚です」
~横浜国立大学 統合的海洋教育・研究センター 客員教授 古川恵太さん

ハゼはスズキ目ハゼ科の魚で、世界中に1800とも2000とも言われる種類のハゼがいます。日本にいるのはそのうちの500~600種類くらい。基本的に寸胴で、海底にペタッとくっついて生きている様子から「底魚(そこうお)」と呼ばれます。カレイやヒラメも底魚ですね。目はやや上側についていて、敵が上から襲ってこないかちゃんと見られるようになっています。

1960~70年代は、まだ東京湾で漁業者が生業として獲るほどのハゼがいました。統計によれば、釣り船に乗って趣味で釣る人だけでも当時は1シーズンに1億尾のハゼが東京湾で釣られていたことがわかっています。ところが、その後は20年ごとに約1/10になる激減ぶりで、80~90年代は年間1000万匹になり、2000~10年代は年間100万匹。このペースだと20年代には10万匹になってしまうのではないかと心配しています。

ハゼはものすごくよく食べる魚で、エサに突進していく衝動を人一倍(魚一倍?)持っています。ハゼ釣りのときの海底の様子を水中カメラで観察したら、最初にエサが降りて来たときは1~2匹のハゼが寄ってくるのですが、どうもまわりのハゼも「あそこでエサを食べている仲間がいる」と気付くみたいで、2投目になると寄ってくるハゼの数が増えるんです。こんなにエサに寄ってくる魚もほかにあまりいません。

だからハゼはとても釣りやすい魚です。特に小さい頃はたくさん食べて成長しようとするので、さらに釣りやすくなります。そしてエサに近寄ったときに一番最初に食いつけるのは体の大きなハゼなので、あるハゼのグループが陣取っているところで釣ると大きいモノから釣れます。最初に12cmのハゼが釣れて「ここに大きいのがいそうだ!」と思っても、どんどん小さくなっていくのはそのせいです。

ハゼは基本的に雑食で、小さい頃はプランクトンを好んで食べ、大きくなるとゴカイのような虫を土の中から掘り出して食べます。中にはハゼを食べるウロハゼというハゼもいますね。マハゼによく似ているのですが下あごが出ているのが特徴で、上を泳いでいる魚を下からガブッと食いやすくなっています。この現象は魚の世界ではそれほどめずらしくはありません。

かつて東京湾にたくさんのマハゼがいた頃、海苔の養殖をしている下に住んでいるマハゼを釣って食べると海苔の香りがしたそうです。そんなふうに、たっぷり栄養を含んだエサをお腹いっぱい食べて育った江戸前のハゼが一番おいしいと言う人も少なくありません。そんなハゼを私も一度は食べてみたいものです。


◆「ハゼの刺身が味わえるのは秋だけ!」
~芝浦「おかめ鮨」5代目店主 長谷文彦さん

ハゼは寿司ネタとしては白身魚に分類されます。ほかに白身魚といえばタイ、スズキ、マゴチなどいろいろありますが、秋においしくなるのがハゼです。甘みと風合い、弾力さなど、ほかの魚にはない独特のあじわいをお楽しみいただけます。ただし、にぎりにするハゼは釣りたてだけです。生きていることが身上で、死んでしまったら甘みが損なわれてしまいます。

当店では10月からハゼのフルコースとして、刺身、にぎり寿司、茶碗蒸し、柳川鍋や湯豆腐などを味わっていただけます。ハゼの大きさによって、大きいモノはお刺身に向いていますし、15cmくらいの中くらいのモノならにぎりに、それ以下だと鍋や天ぷら、かき揚げに、といった具合です。数は少ないですが20cm超のとても大きなハゼなら1匹まるごと天ぷらにしてもおいしいと思います。

ハゼのお刺身は1年をとおして3ヵ月しか味わえません。魚の仕入れは基本的に築地の魚河岸でしていますが、寿司に合う大きさの生きたハゼを手に入れるのが難しいので自分で釣りに行きます。魚河岸では注文しても手に入るものではなく、たまたま漁師が獲ったモノが活けで入ればめっけもんです。しかも値段的にはタイやヒラメとそう変わりません。

ご家庭でハゼを召し上がるなら、10cm以下の小さなモノを唐揚げにするのが一番良いと思います。ちょっと包丁ができる方なら、頭とウロコと内臓を取り、塩水で軽く洗って水気を切って、ゴボウのささがきや玉ねぎ、紅ショウガと一緒にかき揚げにしてはいかがでしょうか。唐揚げは丸ごとで大丈夫ですが、小さいお子さんがいるご家庭なら頭と内臓を取ったほうが良いかもしれません。

7~8月に釣れるハゼはまだ小さいので、僕らが釣りに行くのは9月のお彼岸を過ぎたあたりからです。夏に5~7cmだったハゼが夏の太陽を浴びながらいっぱいエサを食べて、秋には12~13cmくらいになります。中には早生まれで15cmのハゼもいるので、われわれ釣り師は大きいハゼを求めてあっちこっちをさまよいます。

ハゼは頭が硬く、大きくなると骨もしっかりしてくるので、一般的には煮たり焼いたりするのには向きません。ただし下町伝統の甘露煮(佃煮)という調理方法はあります。ハゼを素焼きにして木枯らしに晒して煮崩れしないようにした上でコトコトと煮込むのですが、おせちにハゼの尾頭付き甘露煮があると「いい正月が迎えられたな」と下町の人間は思います。


(TOKYO FMの番組「ピートのふしぎなガレージ」2016年10月1日放送より)

最終更新:10/8(土) 11:50

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