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戦車が100周年 危うく「トイレ」呼ばわりの可能性も?

乗りものニュース 10/8(土) 12:35配信

戦車の母国イギリスで生誕100年記念イベント開催

 2016年9月15日(木)、「戦車」が第一次世界大戦における「ソンムの戦い」(フランスで行われたイギリス・フランス軍対ドイツ軍の戦い)にて、史上初めて実戦に投入されてから100周年を迎えました。戦車の母国であるイギリスでは、陸軍が主催する戦車生誕100年記念セレモニーが執り行われ、ロンドンのトラファルガー広場において当時の「Mk.I(マークワン)戦車」(レプリカ)が姿をあらわしました。

【写真】強烈な発砲炎、陸自最新戦車

 同セレモニーにおいてスピーチした、マイケル・ファロン英国防長官は「近代戦を一変させてしまった」として、Mk.I戦車の意義を讃えています。

「戦車」という語は、英語の「タンク(Tank)」の訳語として使われています。日本語では、近世以前の「戦闘馬車(チャリオット)」も戦車と呼ばれていますが、英語では明確に区分されています。「タンク」はその名の通り、液体を貯蔵する容器としてのタンクに由来しており、これは戦車開発時のイギリスで機密保持のために使われた名称が、そのまま戦車を表す語として定着したものです。

 当初は水運搬車「ウォーター・キャリアー(Water Carrier)」とも呼ばれていたため、少しだけ歴史の歯車が食い違っていたならば、戦車は「W.C.(トイレ)」などという不名誉な名前になっていたかもしれません。

現在の主流はイチローのような戦車

 最初の戦車であるMk.I戦車は、無限軌道(いわゆる「キャタピラ」)によって不整地や塹壕を踏み越える機動力、強力な火砲や機銃といった高い攻撃力、そして被弾しても容易に撃破されない装甲による高い防御力をあわせ持ち、当時は非常に困難だった敵機銃陣地を突破する“最終兵器”として誕生します。

 そして、同じく第一次世界大戦末期の1917(大正6)年に誕生した、フランス製のルノーFT-17戦車において無限軌道をもつ車体と回転砲塔に主砲という形が確立され、以降99年間に渡って戦車はルノーFTの特徴を引き継ぎ続けています。

 たとえば陸上自衛隊の最新鋭戦車である10式戦車は、「凄い機動力と凄い攻撃力と凄い防御力を持ったルノーFT-17に、すごいネットワークシステムを組み込んだ戦車」と言い換えることができるかもしれません。

 戦車100年の進化の過程においては、たくさんの主砲を搭載し、ひたすら攻撃力を重視した「多砲塔戦車」や、ともかく撃破されないことを第一としたばかりに動くことさえ困難になった「超重戦車」のような変わり種も誕生しました。しかしこうした戦車は非常に使い難かったためことごく淘汰され、現在では「機動力」「攻撃力」「防御力」というみっつの要素がバランスよく優れた、野球のイチロー選手のような「主力戦車(MBT)」が主流になっています。

 走攻守あらゆる面で優れる戦車は、地上において最強の兵器であり、「陸の王者」として讃えられます。戦車がそこに存在するというだけで、味方の兵士にとっては頼もしい助っ人となり、相手にとっては最悪の敵となり、その士気に与える影響は絶大です。

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最終更新:10/8(土) 16:01

乗りものニュース