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創業家と現経営陣が対立する大戸屋HD 「第三者委の調査報告」発表も解決の糸口見つからず

ZUU online 10/9(日) 10:41配信

創業家と現経営陣の対立が続く大戸屋ホールディングス(HD) <2705> 。第三者委員会の調査報告書を10月3日に公表した。調査報告は確執の原因を「双方の対応に問題があり、十分な意思疎通を欠いた」などとしている。また創業家に対しては「コンプライアンス(法令順守)やガバナンス(企業統治)に対する基本的な理解不足があった」としている。窪田健一社長は「無用な対立はすべきではない」と述べ、今年2月に取締役辞任した智仁氏の復帰を含めた和解に向け意欲を示しているが、解決への糸口は見つかっていない。

■前会長の実子が異例のスピードで出世後、降格

国内で約340店を展開する大戸屋HDの実質的創業者である三森久実前会長が亡くなったのは15年7月。その直前の6月の総会で大戸屋HDは、当時26歳の息子である三森智仁氏を常務取締役とする人事案を可決した。銀行勤務を経て13年4月に大戸屋に入社、2年で一気に序列4番目の常務にスピード出世.している。誰もが、智仁氏が常務になったのも将来社長にするための準備と見ていた。

その1カ月後に事態は急変、久実氏は57歳の若さで死去する。それから、智仁氏を将来的に社長にしたい創業家側と、独自路線を展開したい経営陣との意見対立が目立つようになる。

創業家側からの言い分は、「久実氏が亡くなった後から急に現経営陣側が言うことを聞かなくなった」というもの。両者側の亀裂はその後の人事となって表面化するのだが、15年11月には創業家に近い人物が次々と降格され、常務になったばかりの智仁氏や専務らは取締役にされている。そして16年2月には智仁氏は一身上の都合で取締役を辞任している。

同社の窪田健一社長は1970年生まれ。東洋大学法学部卒業、ライフコーポレーションを経て16年大戸屋入社。2007年から取締役、FC事業本部長、国内事業本部長を歴任、2012年から現職となっている。

創業者で元会長の三森久実氏と現社長の窪田健一氏との関係は従姉妹関係であり、母親同士は姉妹なのである。国内事業を窪田氏に任せ、自らは大戸屋の味を世界に広めていくため、海外事業に心血を注いでいたのだが、早すぎた久実氏の死からはからずも“お家衝動”に発展してしまった。

■第三者委員会には郷原弁護士も名を連ねた

不祥事がからんだわけでもないが、今回、第三者委員会が設立されている。これは異例だ。設立目的は双方の対立や確執が生じている原因や経緯について中立的あるいは客観的な立場から調査や検討を行うものである。

しかし必要な提案や助言を行うために設立された第三者委員会のヒアリングに対し、創業家側の協力は得られなかったことから、報告書は対立の原因に踏み込めることはできず、これまでの経緯の記述にとどまっている。

創業家側の言い分としては「中立性に疑念がある」というもの。協力的でなかった理由としては、経営陣側と大戸屋HD顧問を務めていた郷原信郎弁護士が委員長になったこともあるかもしれない。

今年6月23日、東京都新宿区のホテルで開かれた定時株主総会は、取締役選任議案では11人中8人が新任、監査役も4人中3人が辞め新任は2人ということもあってか、異様な雰囲気に包まれていたという。

創業家側にしてみれば「乗っ取り」である今回の騒動だが、現経営陣は少なくとも歩み寄りの姿勢を見せている。いずれにせよ依然として創業家側が2割近い議決権を握る筆頭株主である状況に変化はない。しかし総会でも、創業家側は人事案に反対を表明していたにもかかわらず、一度も発言に立たず最後まで沈黙を貫いたという。その後智仁氏は「準備が整い次第、独自の人事案を会社側に提案する」意向をメディアに語っている。

大戸屋HDは既存店の売上高が今年8月までの4カ月連続で前年を下回った。9月28日には取締役2人が辞任している。果たしてこの騒動はどのような形で収まるのだろうか。(ZUU online編集部)

最終更新:10/9(日) 10:41

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