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原油価格、減産合意でも「上昇は限定的」のワケ

ZUU online 10/9(日) 11:50配信

10月6日のニューヨーク原油市場で、国際的な原油取引の指標となるWTIの先物価格はおよそ3か月ぶりに、1バレル=50ドルを上回った。これは9月末に石油輸出国機構(OPEC)が事実上の減産合意したサプライズを受けての上昇トレンドによるものだ。ただここからのもう一段の値上がりは難しいとの見方が強い。

■サウジアラビアが減産合意のサプライズ

OPECの臨時総会は9月28日にアルジェリアで行われた。暫定合意では、加盟14ヵ国の産油量を現在の日量3320万バレルから1~2%引き下げると決まった。今回の制限は一日あたり3250万バレル。これは7~8月の生産量より100万バレル少ないレベルだ。減産合意は2008年以来8年ぶりのサプライズとなり、発表後、原油価格は急騰した。発表後も上げトレンドで約13%上昇し、10月6日に1バレル当たり50ドルを突破した。

市場がサプライズととらえたのは、イランとシェア争いをしていたサウジアラビアが減産に応じたためだ。イランの産油量が西側諸国による制裁解除後に増加していることがサウジアラビアにとって懸念だったため、サウジアラビアは今までOPEC総会で原油減産を拒否してきていた。今回も減産には至らずと言う見方がコンセンサスだった。

今回の合意では、サウジアラビアは年内に産油量を日量最大40万バレル減らし、OPECが提案した減産分の多くを担うことになる。 ほかのOPEC加盟国も減産に合意しており、今後その幅を決定することになる。イランも初めて産油量の上限設定に合意はしたものの、その水準は未定だ。

■ロシアなど非OPEC国の動向に注目

ロシアなどの非OPEC産油国が減産の取り組みに加わるかどうかが次の焦点となる。ロシア当局者は10月6日からイスタンブールでサウジアラビアなどのOPEC加盟国と非公式協議を行い、産油量について話し合う予定だ。

イスタンブールでは「世界エネルギー会議(WEC)」が開催される予定で、アラブ首長国連邦(UAE)やアルジェリア、ベネズエラ、OPEC現議長国カタールのエネルギー相なども出席する。減産の最終決定は予定されていないものの、9月26日のOPEC暫定合意を踏まえた次の手段を検討する機会となりそうだ。減産の最終的な合意は、11月30日のOPEC総会で行われる予定。

■今後のさらなる原油上昇は一筋縄ではいかない

仮にロシアが減産に合意したとしても、原油が一直線に上昇するとの見方は少ない。米国を筆頭に、カナダ、ノルウェー、ブラジル、メキシコなどの産油国が、OPECの決定を支持しそうにないからだ。

現在、構造的に、石油価格に重要な影響力を持っているのは、米国のシェールオイルだ。原油が50ドル以上に上昇すると、完全に採算ベースにのるため米国でシェールオイル生産量が再び上昇する可能性が強い。

OPECの暫定合意にはまだ崩壊の恐れもある。OPECは過去にも、減産で合意した後に加盟国の心変わりで最終合意に至らなかったことがある。イランは基本的には、減産でなく増産を希望しているのだ。

■サウジの減産は財政悪化から方針変換か?

今回のサウジアラビアの減産合意は、内政のための方向転換という見方が強い。イエメン内紛への介入戦費が膨らんで10兆円を越えるレベルになっており、財政赤字を圧迫している。2年に及ぶ原油相場低迷のため政府補助金に支えられた生活に慣れた一般市民が経済的苦痛を味わうようになってきた。経常収支の悪化、財政赤字の拡大が深刻化したことを受けて資金不足に陥った国内金融機関へ約5600億円の緊急資金供給を行ったばかりだ。

資金難から、日本を含めた世界の保有株式を売却していることが確認されている。すでに国家的な財政逼迫に何らかの新たな手段が求められる段階に来ている。それが、原油増産で財政を改善することからの方針転換なのかもしれない。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:10/9(日) 11:50

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