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渋谷パルコが閉店! 「パルコらしさ」をとり戻すために必要なこと

ZUU online 10/9(日) 17:10配信

8月7日、渋谷パルコがその43年の歴史に幕を降ろした。

再開発のための休業とはいえ、その全盛期を知る筆者としては複雑な想いだ。

渋谷パルコといえば、かつては若者のファッション文化の発信地だった。バブル期にはDCブランドの聖地と呼ばれたこともある。パルコ劇場やパルコ出版を有し、スペイン坂など宇田川町から先端の文化、サブカルチャーも発信していた。パルコへ向かう「公園通り」はイタリア語で公園を意味する「PARCO」に由来している。

10月3日、パルコ <8251> は2017年2月期の業績を下方修正した。主力のショッピングセンター事業の減収減益が予想を超えていたためだ。パルコはどこに行こうとしているのだろうか?

■「PARCO」のRが消えて「PA CO」に

今年の6月末、渋谷パルコの看板から「PARCO」のRが消え落ち「PA CO」になった。パルコは8月に閉店を決めていたので、誰かが盗んでしまったのだろうか? 修理するお金もないのだろうか? と渋谷の街で話題になっていた。

7月6日に消えた「R」を鷲づかみにしたゴジラが渋谷パルコの壁面に登場。文化を発祥し続けたパルコの閉店最終セールの小粋な演出だったのだ。パルコは常に広告でも最先端を行っていた。その渋谷パルコの最後の仕掛けだった。

前述の通り、渋谷パルコは8月7日に閉店した。ただ、あくまでこれは再開発のための休業だ。2019年秋の開業を目指し、東京都の再開発事業として「渋谷パルコパート1」「パート3」の2棟がオフィスビル併設の商業ビル1棟として生まれ変わる。文化拠点として「パルコ劇場」は存続する予定だ。

■パルコは今期の売上、営業利益を下方修正

パルコが10月3日に発表した2017年2月期上期(3月~8月)の業績は、売上1340億円で前年同期比2.0%減、本業の利益を示す営業利益は65億円で同2.5%減だった。同時に通期の売上を2801億円から2710億円の1.9%減に、営業利益を135億円から129億円の1.0%増に下方修正した。

8月に渋谷パルコを一時休業する一方で、7月にJR仙台駅前に仙台パルコ2を開業したが全体の不振は補いきれていない。パルコの得意とするアパレル市場の停滞が影響している。

気になるのは、渋谷パルコの3年間の休業による業績への影響だ。渋谷パルコが全体の売り上げに占める割合は6%程度。減収分は、今年開業の仙台パルコ2と2017年秋開業予定の上野パルコでほぼカバーできるとしている。むしろ、現在はパルコとは別業態の「ZERO GATE」という中低層商業ビルの出店を進めており、全体の採算は改善する見込みだという。

パルコの株価は、渋谷パルコ閉店を控えた7月1日に年初来安値の801円をつけたものの、その後反発し9月23日には1000円まで戻している。10月3日に下方修正を発表した日も10円高の1.1%高と売られなかった。渋谷パルコの閉店、今期の業績の伸び悩みは完全に「織り込み済み」で、むしろ今後の期待感で買われているのだろう。

■パルコはセゾングループからJフロントグループに

パルコが変わり始めたのは、親会社である西武百貨店を中心にした「旧セゾングループ」が解体した影響が大きいだろう。先進的な文化事業に意欲的だった旧セゾングループの後ろ盾を失ったパルコは、イオンや森トラストなども名乗りをあげた争奪戦の末、2012年に大丸松坂屋を展開する J.フロントリテイリング <3086> の傘下に収まった。

渋谷パルコの場合、足元は4期連続増収と、ほかの店舗に比べると好調であった。だが、牽引しているのは昔のアパレルではなく、インバウンド需要や、10代~20代の女性を中心とした「オタク」需要だった。2012年、DCブランドのテナントが入っていた6階を大規模改装し、人気アニメのキャラクターショップなどを入れたフロアを新設した。

■渋谷パルコの閉店は時代の移り変わりの象徴

いつまでも渋谷パルコの伝説に浸っているわけにはいかない。時代に合わせた変革が必要だ。渋谷の再開発は、パルコブランドの原点を見つめ直したいとの経営陣の気持ちを象徴している。かつて時代の先端を走っていたパルコのイメージはもはや「パルコ、丸井、ルミネはどこも同じ」ファッションビルの一つというような位置づけになっている。

その丸井も赤いカードとファッションで若者向けに強さを発揮していたビジネスモデルをショッピングセンター、賃貸という分野にビジネスモデルを転換中だ。

今回の渋谷再開発は「パルコらしさとは何か」を再定義する機会でもある。若者文化を担うパルコから、パルコで育った上の年代へもターゲットを拡大することが重要だろう。渋谷パルコが2019年に文化の発信拠点として戻ってくるのを期待したい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:10/9(日) 17:10

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パルコ8251
1014円、前日比-6円 - 12/2(金) 15:00

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J.フロント リテイリング3086
1637円、前日比-10円 - 12/2(金) 15:00

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