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経産省、中小企業に「健康経営」認定制度 月内にも“ホワイト中小”をスタート

日刊工業新聞電子版 10/9(日) 18:00配信

経営者の意識付け狙う

 経済産業省は早ければ月内にも、中小企業を対象にした「健康経営優良法人」認定制度をスタートさせる。年間40兆円超の国民医療費の約3分の1が、糖尿病や高血圧など生活習慣病関連に起因している中で、社員が健康で働ける環境づくりを中小企業にも求めるものだ。一方、企業側にとっても、職場が活気づき、業績の向上にも結びつくなど、メリットがありそうだ。健康意識の高まりに着目し、新たなビジネスも生まれている。(浅海宏規)

■“ホワイト”アピール
 経産省は2016年度に、健康経営に取り組む大企業を対象にした新たな顕彰制度「健康経営優良法人 ホワイト500」を創設した。これに先立って実施している「健康経営銘柄」は、東証上場企業の中から独自の調査を基に業種ごとに1社を選定する。15年度は25社と狭き門だったのに対し、新制度は20年までに500社ほどを認定する。

 新制度のネーミングを「ホワイト」としたのは、社員を酷使する“ブラック企業”とは縁遠い、“ホワイト企業”であることを、対外的にアピールする狙いも込めている。「制度の説明会はすぐに満席になるなど盛況で、中小企業からの問い合わせもある」―。経産省ヘルスケア産業課の江崎禎英課長は、反響の大きさに手応えを語る。

■責任者は役員以上
 「ホワイト500」に準じて導入する中小企業向けの「健康経営優良法人」制度では、製造業は従業員300人以下、卸売りや医療法人・サービス業は同100人以下が対象の見通し。「ホワイト500」の認定基準をベースに中小企業に合わせて若干緩和する。

 中小企業では、経営者が健康診断を受けていないケースも散見される。「経営者が健康経営を意識してもらうことも認定条件の一つ」(江崎課長)で、健康づくりの責任者が役員以上であることなどを必須の要件とする方針だ。

社員参加の行事拡大

 厚生労働省によると、日本人の“平均寿命”と“健康寿命”の差は男性で約9年、女性で約12年となっている。会社員にとっては、1日の大半を過ごす職場での生活がその後の健康寿命を左右するともいえる。ただ、健康経営の難しさとして「何をしたら良いのか分からない」「どれだけ効果が得られるのか」といった疑問がある。

 スパイスやハーブなどを製造するヤスマ(東京都品川区、安間百合子社長)の荻野充則常務は、健康経営の取り組みについて、「地道に取り組んできたものばかり」と控えめに話す。静岡県内や横浜市内に工場があり、グループ合計で社員は約220人。全社員が10年以上、健康診断を受け、“かかりつけ医”から診断結果の所見をもらう。再検査となった場合、各自が病院で検査を受け、その結果も医師に報告している。

 ここ数年は、社員が参加する行事を意識的に増やしている。例えば、東京商工会議所主催の「健康づくりチャレンジマッチ」に参加。ウオーキングの歩数などで得たポイント数を企業対抗形式で競い合うイベントを通して、社員に歩くことを奨励した。もう一つがラジオ体操だ。工場に続き本社でも取り入れた。毎朝、「第1」「第2」のほか、動きが難しくて普及しなかった「第3」のどれか一つを流す。ボウリングなどのスポーツイベントは、社内コミュニケーションの活性化に一役買っているという。

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最終更新:10/9(日) 18:00

日刊工業新聞電子版