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年間80万人を呼ぶ、岩手県紫波町の「オガールプロジェクト」

ZUU online 10/10(月) 6:10配信

岩手県紫波(しわ)町は、総面積238.98キロ平方メートル、人口3万3,500人、世帯数1万1,774世帯の町です(2016年8月末現在)。紫波町は、東に北上高地、西に奥羽山脈を臨み、中央に北上川が流れる自然豊かな町で、食料自給率170%ともいわれています。

紫波町は、紫波中央駅前にある複合施設「オガールプラザ」や、併設された産直販売所、カフェ、居酒屋などの店舗に年間80万人が集まり、賑わいをみせています。この賑わいを可能にしたのが、通称「オガールプロジェクト」です。今回は、このプロジェクトの経緯と成功の秘密を紹介します。

■10年以上放置した町有地を利用したプロジェクト

1997年、紫波町は紫波中央駅前の土地10.7ヘクタールを、28.5億円もの大金をかけて購入しました。目的はさまざまな公共施設と住宅の集約化でしたが、当時はバブルが崩壊し日本経済全体が下降線をたどっていた時代です。予定していた施設建設のための予算はすでに町にはなく、そのまま10年以上放置されてしまいました。

その長年にわたって眠っていた町有地を再利用し、地域の活性化に役立てたいという声が上がったのは、2007年のことです。そして、2009年には紫波中央駅前都市整備事業、通称「オガールプロジェクト」が立ち上がりました。

オガールプロジェクトにより、施設や全体デザインに関する検討が重ねられ、緑の大通り(オガール広場)が整備されました。2012年には、プロジェクトの中核となる官民複合施設オガールプラザ(図書館+地域交流センター)がオープンすることとなったのです。その後、子育て支援センター、産直販売所、カフェ、居酒屋、医院、学習塾、バレーボール専用体育館(オガールベース)などの施設も相次いで完成していきました。同地区には「オガール祭り」などのイベントも随時開催され、年間80万人を集める、都市と地方を結ぶ一大集積地へと変貌を遂げていったのです。

ちなみに「オガール」とは、フランス語で駅を意味する「Gare(ガール)」と、紫波の方言で「成長」を意味する「おがる」の合成語です。

■成功の鍵はPPPによる公民連携

官民の連携によるオガールプロジェクトの大きな特徴は、PFI(Private Finance Initiative)ではなくPPP(Public-Private Partnership)という手法で進められたことです。

どちらも官民がパートナーを組んで事業を行う形態を表す手法であり、PFIは国や地方自治体が基本的な事業計画をつくり、これに民間事業者が入札をします。一方PPPは、事業の企画段階から建設・運営のさまざまな段階で民間事業者が参加する、より幅広い範囲を含んでいます。このためPPPでは、民間の立場から事業の採算性や継続性が厳しく吟味されますし、民間の知恵やノウハウが企画・建設・運営のあらゆる段階で生かされます。

■支えたのは東北銀行によるプロジェクトファイナンス

オガールプロジェクトを金融面で大きく支えたのが、東北銀行によるプロジェクトファイナンスです。プロジェクトファイナンスとは、事業そのものの採算性を重視する融資のことです。一般の融資は、借り手の担保や信用をもとに融資を実行するのに対し、プロジェクトファイナンスは事業の内容や継続性が厳しく審査されます。

東北銀行は、地元の金融機関としてこのオガールプロジェクトの地域貢献性を確信しました。そして、もっとも効果的と思われる場面でプロジェクトファイナンスを実行することで、このプロジェクトを金融面で力強く支えたのです。

■「オガールプロジェクト」がもたらしたもの

「オガールプロジェクト」により、紫波町の雇用は改善されました。その結果、税収が増え、新たに住宅地が分譲されました。若年人口が増加し、新たな賑わいの創出にもつながっています。東北ニュービジネス協議会 「ニュービジネス大賞」も受賞 (2014年1月)するなど、地域活性化の成功例として全国的に大きな注目を集めているのです。

成功の要因としては、地域活性化への思いや東北銀行という地域金融機関の金融力をつかうという手法 、そして民間の知恵やノウハウの大胆な採用などが理由に挙げられます。オガールプロジェクトは、こうした総合力が整えばより効果的で実りの大きい公共事業、ひいては地域創生が実現することを証明したともいえるでしょう。(提供:nezas)

最終更新:10/10(月) 6:10

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