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最盛時の9分の1? 「レーシック手術」の件数はなぜ減ったのか

ZUU online 10/10(月) 11:10配信

目の網膜にピントが合わない「屈折異常」を矯正するレーシック手術。一時は大人気を誇り、2008年には約45万件あった手術件数が、14年には約5万件と激減しているという。

■レーシック手術とはどういうものか

日本で近視を手術で治療する試みは(1940~50年代)に始まっていた。しかし術後に問題が生じ、角膜が白く濁る水疱性角膜症という合併症が多数出たため、その後近視手術はされなくなった。

しかし1970年、旧ソ連で少し方法を変え、角膜の前面を放射状に切開して近視を治す手術が好評になり、欧米で広まっていった。これは、直接角膜にメスを入れるのではなく、レーザーで角膜を切開するものだった。

日本では93年から臨床試験が始まり、角膜混濁などの病気に切除が認められ、2000年から近視に対する手術が開始された。しかし痛みを伴う欠点があり、後に進歩したレーシック手術が考案されることになった。

レーシックでは、レーザーを角膜に照射し屈折力を調整する。そうして近視などを矯正するのだ。

■手術自体は15分ほどで終わるものの……

レーシックは高精度のレーザーで視力を矯正する手術。近視・遠視・乱視も治療できる。安全性も高く効果があるとして注目を集め、全世界では毎年数百万人がレーシックにより視力回復を実現したという。

手術は約15分で終わることもあり、眼科の手術としては確立されているといえる。慶応義塾大医学部眼科学教室の根岸一乃准教授の発表によると、2000年ごろには件数は2万件ほどだったが、06年には12万件、07年22.5万件、08年には45万件と急増。09年から3年ほどは30万件前後を推移したものの、13年、14年はそれぞれ10万件、5万件程度と推定されるなど一気に減ってしまった。

ここに大きく影響しているのは、2008年7月から09年1月の間、東京都中央区の眼科で手術を受けた患者による多数の角膜感染被害の発生だ。この事件は基本的な衛生管理を怠ったまま手術をしたのが原因だったとされている(本件は元院長が業務上過失傷害の罪に問われ、禁固2年という判決が出ている)。

だが事件がマスコミで報じられたことで、一気に「レーシック手術は危ない」というイメージが広まった。さらに2013年12月には、消費者庁と国民生活センターから、「レーシック手術を安易に受けるのは避け、リスクの説明を十分に受けましょう!-希望した視力を得られないばかりでなく、重大な危害が発生したケースもあります‐」という注意喚起がなされていることも拍車をかけたのだろう。

手術件数激減には他にも、メガネのブームや低価格化、コンタクトレンズの性能が良くなったことも関係しているかもしれない。

■就寝中の装用で視力が回復する?

技術も向上しつつあるレーシック手術。件数が激減しているとはいえ、長期的な観点からは安全性や有効性が確認されており、屈折矯正の選択肢の1つであることは変わらないだろう。

しかし希望どおりの視力までは回復しないケースもあるようだ。適応検査で事前に調べる必要がり、基本的にメガネやコンタクトレンズで視力が矯正できていれば、視力回復の可能性があるとされている。ただ永久的に近視が進まないことを保証するものではないのだ。目薬が手放せなくなったという人もいる。最近では、たとえば就寝中に装用することで視力回復するコンタクトレンズなど、技術の進歩でまた新しい視力回復の方法も誕生している。こうしたリスクや新しい可能性などをあわせて承知、比較したうえで検討すべきだろう。(ZUU online 編集部)

最終更新:10/12(水) 20:00

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