ここから本文です

「戦艦ズムウォルト」? 異形の米最新鋭駆逐艦、中身も異形 脅威の火力、その実力は

乗りものニュース 10/10(月) 13:52配信

「三笠」と同等 「ズムウォルト」、その大きさは戦艦クラス?

 2016年10月15日(土)に就役予定である、アメリカ海軍の最新鋭駆逐艦「ズムウォルト」。ステルス性を追求した異様なシルエットばかりに目を奪われがちですが、その「発見されづらい」という性能を活かして敵地の沿岸近くに展開し、内陸部の標的へ火力を叩き込むことに特化した「高い攻撃力」と、それを実現するための「駆逐艦離れした桁外れの巨体」もまた、大きな特徴です。

【写真】CGのような異形駆逐艦「ズムウォルト」

「ズムウォルト」の満載排水量は、実に1万6000トン。これはアメリカ海軍のイージス巡洋艦「タイコンデロガ級」の約1万トンを大幅に上回るだけではなく、ロシアを相手にした1905(明治38)年の「日本海海戦」において帝国海軍の旗艦を務めた戦艦「三笠」とほぼ同等ですから、まさに現代によみがえった「大艦巨砲主義時代の『戦艦』」とさえいえます。

 かつて第二次世界大戦前の1930(昭和5)年、日本、イギリス、アメリカら5か国が参加したロンドン海軍軍縮会議においては、1850トン未満の水上戦闘艦は「駆逐艦」とし、1万トン未満は「巡洋艦」、それ以上は「戦艦」と決められました。これに従えば「ズムウォルト」は駆逐艦ではなく、れっきとした「戦艦」ということになります。

 しかし現在、このような国際的な定義が存在しないため、「駆逐艦」や「巡洋艦」といった艦種は「名乗ったもの勝ち」の状況にあり、特に意味を持ちません。したがって「ズムウォルト」をアメリカ海軍が公式に「駆逐艦」と呼んでも、何も問題はありません。他国でもそうした事例はあり、その代表的な例が、海上自衛隊のヘリ空母「いずも」でしょう。公式には「ヘリ空母」や「駆逐艦」とは呼ばず、自国固有の艦種である「護衛艦」に分類されています。

なぜ「ズムウォルト」は巨大なのか? 1門あたり10発/分、東京湾から北関東まで

「ズムウォルト」は、なぜいま改めて「戦艦」並みの巨体になったのでしょうか。それはひとえに、高い攻撃力を実現するためにあります。アメリカ海軍の主力イージス駆逐艦「アーレイバーク級」をはじめ、現代型駆逐艦の主砲は、大きくてもせいぜい127mm口径であり、搭載数も1門のみであることがほとんどです。また、「主砲」とはいっても主な用途は、接近するミサイルなどを撃ち落とす「対空砲」としての役割を担っています。

 これに対して、「ズムウォルト」の主砲「155mm先進ガンシステム(AGS)」はひと回り大きく、そして2門を前部甲板に搭載します。撃ち出された弾丸は、ロケット推進によって飛距離を稼ぐことで射程距離153kmにも達し、仮に東京湾から射撃したならば群馬県や栃木県といった、かなり内陸部までをカバーできます。

 さらにGPS衛星/慣性航法装置による誘導が行われるため、命中精度は半径20mから50mの円内に半数が着弾する高い精度を実現。ネットワークを通じて砲撃要請があった地点に対し、1門あたり1分間に10発という高レートの射撃速度で、大量の火力を叩きこむことを可能にします。つまり「ズムウォルト」は、半径153kmのエリアに存在する任意の建造物や特定の人物などのターゲットを、“瞬時にして”破壊できるのです。

1/2ページ

最終更新:10/10(月) 15:25

乗りものニュース

なぜ今? 首相主導の働き方改革