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元大臣は笑い、元幕僚長は泣いた 2人を分けたものとは? 権力に向き合わない「特捜部」の闇…

withnews 10/12(水) 7:00配信

 2001年に「HERO」で木村拓哉が演じた熱血漢の検事と比べると、15年の間に、世間の検察官に対するまなざしは大きく変わってしまった。この間、再審無罪となった足利事件など刑事司法の信頼を揺るがす事案が相次いだ。きわめつけは、2010年9月に発覚した大阪地検特捜部による証拠改ざん事件だろう。特捜部長ら3人が逮捕され、検事総長が引責辞任する事態に発展した。それから6年。特捜部が再び国民の喝采をあびる日は来るのか。東京地検特捜部が最近捜査した二人の事件から考えてみたい。(朝日新聞社会部記者・三橋麻子/WEBRONZA筆者)

【画像】「特捜部 VS 田中角栄氏」写真で振り返るロッキード事件

半年近くを拘置所で過ごした元航空幕僚長

 9月29日午後6時。

 この日保釈が認められた元航空幕僚長の田母神俊雄被告(68)が乗った黒いワゴン車が、東京・小菅の東京拘置所を後にした。

 田母神被告は今年4月の逮捕以来、半年近くを拘置所で過ごした。元東京地検特捜部検事の粂原研二弁護士は、勾留が長期に及んだ理由について、「田母神被告が全面的に無罪を主張していることが原因」と話す。

 否認している被告は口裏合わせや逃亡する可能性があるとみられ、なかなか保釈されない。逆に言えば、検察の言うままに容疑を認めれば、早く拘置所から出られるということになる。

 「取り調べ検事が『認めないと一般的に勾留が長くなりますよ』と容疑者にいうことはよくある。それは事実だから」と粂原弁護士は言う。

「禁錮刑並みの拘束は、実刑と同じ」

 日弁連は、否認した被告を長期間勾留することを「人質司法」と批判してきた。

 大阪地検特捜部検事に証拠を改ざんされた村木厚子元厚労事務次官の冤罪も、この「人質司法」によるところが大きい。村木氏は全面否認し、5カ月余り勾留された。一方で、部下は検察の見立てに沿って「村木さんが事件に関与した」と虚偽の供述をし、1カ月で釈放されている。村木さんの有罪立証の中心はこの部下の供述だった。

 事件を機に検察のあり方を検討した法務省の有識者会議は、被告の身体拘束に慎重な対応を求めた。今年5月に成立した刑事司法改革関連法には、保釈を判断する際、身体拘束を続けると裁判の準備などで不利益を受けないか考慮する、との趣旨の一文が盛り込まれた。

 「長期勾留は人質司法につながる」と、改善を求めた。

 前述の粂原弁護士は言う。

 「特捜部の事件は、複雑で関係者が多く、証拠も供述が中心になる。検察が口裏合わせを恐れ、長期勾留を求めるのはやむをえないが、裁判所はちゃんと状況をみて判断するべきだ。執行猶予の場合もあるのに、禁錮刑並みの期間を拘束するのは、実刑を受けるのと同じでしょう」

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最終更新:10/12(水) 7:09

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。