ここから本文です

「巨人有利」の判定はあるのか? CSでも勃発していた「ジャンパイア問題」

ITmedia ビジネスオンライン 10/11(火) 12:37配信

 プロ野球のクライマックスシリーズ(CS)が盛り上がっている。セ・リーグは3位の横浜DeNAベイスターズが2位の読売巨人軍を2勝1敗で下し、ファーストステージを突破した。

【海外から「日本の審判はミスジャッジが多過ぎる」と指摘されている】

 球団史上初のCS進出でありながらも敵地・東京ドームでAクラス常連のジャイアンツ相手に堂々の勝ち越しを果たした意味は大きい。10月12日からマツダスタジアムで行われるCSファイナルステージでペナントレースの覇者・広島東洋カープを相手にどのような戦いを見せるのか。世間はカープブームの熱気に包まれているとはいえ「下克上」を成し遂げてほしいと願う世のベイファンも少なくないだろう。

 ただ、その中で今回、多くのベイファンがCSファーストステージで憤りを覚えたシーンが1つあったことを忘れてはいけない。10月8日のCSファーストステージ第1戦。DeNAが3-2で1点リードの8回裏二死二塁。マウンド上には交代したばかりのDeNA・三上朋也投手、打席に入っていたのは代打・相川亮二捕手、二塁塁上には走者・吉川大幾内野手がいた。

 投球練習を終えた三上。その姿を確認した嶋田哲也球審は、右手で前に指差すようにしながら「プレー」を宣告。これらの様子は当日のテレビ中継でも克明に映し出されていたので、はっきりと確認できた。

 その後、すぐに三上は捕手とサインを交換し、二塁へ素早い動作でけん制球を投げた。二塁走者の吉川は虚を突かれたような感じで慌てて帰塁。判定は明らかに「アウト」かと思われたが、ここで山本貴則二塁塁審は何と「アウト」「セーフ」のどちらもコールをしなかったのである。

 当然のようにベンチからはDeNAのアレックス・ラミレス監督が飛び出して猛抗議。しかし結局、審判団からの説明を受けると渋々ながら引き返した。

 球審が「プレー」をかけなければ、ボールインプレイではなくボールデッドで全てのプレーが有効とならないことは公認野球規則5章にも記されている。しかし嶋田球審が「プレー」をかけたのは誰の目にも明らかで、だからこそ三上はけん制球を投げた。

●二塁塁審の不可解な行動

 では一体、山本二塁塁審はなぜこのような不可解な行動を見せたのか。試合後にDeNAのアレックス・ラミレス監督がメディアに対応したコメントによって明らかになった。

 「球審はプレーをコールしていた。三上はサインを確認してセットに入ってけん制した。球審は下を向いていたか何かで、プレーがかかる瞬間を見ていなかったし、けん制も見ていなかった。“(塁審は)プレーがかかっていない”というジェスチャーだった。しかし球審から『プレーをコールしているよ』と言われると、塁審は『セーフのタイミングでした』という答えだった。塁審がしっかり見ていれば、ビッグプレーになっていたと思う」

 ラミレス監督に対する山本二塁塁審の説明はかなり苦しい“言い訳”にしか聞こえない。仮にこの説明を額面通りに受け取ったとしてもタイミング的に「セーフ」だからジャッジのジェスチャーをしなかったというのは職務怠慢としか言えず、これだけでも審判失格である。

 何度も繰り返すが、これは詭弁(きべん)だ。山本二塁塁審は球審のプレー宣告も、そしてけん制の瞬間もすべて見落としていたため、大慌てで“ちゃんと見ていたけれどセーフだったから、特に何もジェスチャーしなかった”という主旨の理由にすり替えた。つまり、その場しのぎの説明を口にしただけなのだ。

 恥ずかしい話である。このような誤審が公然とまかり通ってしまうから、近年の日本プロ野球の審判団は日本だけでなく海の向こうの米メジャーリーグでも「ミスジャッジが多過ぎる」とバカにされているのである。

●「ジャンパイア」は本当に存在するのか

 第1戦では8回裏の問題のシーンが得点に結びつくことはなく、結果的にDeNAも勝利したからまだよかった。これが仮に勝負の明暗を分けるようなポイントとなって巨人が逆転勝利していたら、もっと大問題へと発展していたはずだ。しかしながら、DeNAが勝ったのだから不問でもいいという話ではない。

 そもそも山本二塁塁審はどうしてミスを認めなかったのか。なぜ、誰が見聞きしてもかなり苦し紛れの弁明にスリ替えたのか。なにゆえに審判団も1人の塁審が犯した“ポカ”と陳腐な言い訳をそのまま鵜呑みにするようにしてかばったのか――。もう、さまざまな「?」ばかりが浮かんであきれ返るしかない。

 ネット上でも、この誤審については数多くの批判が飛び交っていた。その中で目立ったワードがある。「ジャンパイア」だ。つまり、この日の山本二塁塁審を筆頭に審判団に対し「巨人に有利な判定を下す“ジャンパイア”の集団だったから、あのような不可解な誤審もアッサリとスルーされたのではないか」という疑惑がベイファンをはじめ多くのネットユーザーたちから向けられていたのである。

 ちなみにこの「ジャンパイア」とは「ジャイアンツ」と「アンパイア」を掛け合わせた造語。昔から主にアンチ巨人ファンの間で広く定着している。巨人と同じセ・リーグで他球団の某大物監督たちが、この「ジャンパイア」の存在を指摘している。「中には巨人に有利な判定をする審判がいる。『巨人=球界の盟主』みたいなヘンな概念を持っている審判は、敵に回したくないという心理状況が働いてジャイアンツびいきの誤審をする」とオフレコを条件にかつて何度か記者たちの前で“恨み節”を口にした姿を目にしたことがある。

 では、その「ジャンパイア」は本当に存在するのか。巨人の球団関係者は苦笑いしながら「さすがに、そんな審判は1人もいないですよ」とひと言。そして、こう続けた。

 「だいたい『ジャンパイア』とか『ドームラン』(東京ドームでは“本塁打が出やすい”とささやかれていることから、巨人が攻撃の際には空調設備を使って打球の伸びをよくしているのではないかとの疑惑から生まれた造語)なんて言葉はアンチ巨人の人たちが考えたのであって、とにかく言いがかりをつけているだけでしょう。嫌いな人たちは巨人が勝っていると、何かジャイアンツに都合のいいように操作がなされているに違いない、と思い込んでしまう。それが原因ですよ」

●ジャイアンツ有利のジャッジ、実際にあった

 ところが、身内であるはずの巨人OBの中からは「ジャンパイア」について、こういう異論も出ている。

 「最初から巨人有利にしようと思っている審判はいない。ただし以前、審判経験者の人から『巨人戦でかなり微妙なタイミングのプレーで判定しなければいけないとき、東京ドームを含めた本拠地試合だとスタンドのファンやホーム独特の異様なムードに飲み込まれ、結果的にジャイアンツ有利のジャッジにしてしまいがちになることも実際に何度かあった』という話を聞いたことがある。

 確かに東京ドームでの巨人戦はスタンドのジャイアンツファンの応援もさることながら、球団側のやっている場内DJなど応援演出も過剰なレベル。よく阪神タイガースの本拠地・甲子園球場も独特の雰囲気がある、と言われるが、東京ドームはそれ以上。プロボクシングの世界でもあるような『ホームタウンディシジョン』が東京ドームでの巨人戦では起こりうるということだ」

 いずれにしても「ジャンパイア」などという疑惑を向けられてしまうような今の日本プロ野球の審判団は世界に胸を張れる高水準にあるとは、とてもではないが言えない。雇用主のNPB(日本野球機構)は誤審の再発防止と審判のレベルアップに心血を注ぐべきである。今回の巨人ーDeNA戦のように、今後も熱戦に水を差されるようではたまったものではない。

(臼北信行)

最終更新:10/11(火) 13:58

ITmedia ビジネスオンライン