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Lam ResearchとKLA-Tencorの合併買収が無効に

EE Times Japan 10/11(火) 13:44配信

買収、規制当局が認可せず

 米国の規制当局は、Lam ResearchがKLA-Tencorを106億米ドルで買収する計画に対し、「両社は、次世代プロセスの最適化を進めるにあたり、協業体制を構築する形にすべきである」というメッセージを通達し、この合併買収計画を無効と判断した。半導体業界は現在、成熟期に入り、かつてない規模で合併買収が行われている。しかし、今回の判断が下されたことにより、設備投資分野において大規模な合併買収を計画していた他の企業は、その勢いに水を差される形となった。

 Lam Researchは2015年に、KLA-Tencorの買収計画を発表した。半導体チップの製造プロセスを独自開発することが可能な、新しい企業の実現を目指していたという。Lam Researchが手掛ける成膜/エッチング装置の分野では、複数のメーカーによって競争が繰り広げられているが、規制当局は、「KLA-Tencorは計測市場において、圧倒的に優位なシェアを維持しているため、同社が同じ市場の他の企業と合併するとなれば、公平性を欠くことになる」と主張する。

 米司法省は、今回の判決内容を説明する発表資料の中で、「KLA-Tencorは、さまざまな計測/モニタリング市場において主導的な地位を確立しているため、Lam Researchが競合企業に対し、KLA-Tencorの主要な機器や関連サービスをタイムリーに入手できないようにして、市場から締め出す可能性がある。現在、半導体製造装置やプロセス技術の開発において成功を収める上で、計測/モニタリング技術の重要性がますます高まっている」と述べている。

 米国の規制当局は今回、中国や韓国、日本の規制当局と共同で調査を行ったという。Lam ResearchとKLA-Tencorが合併買収を発表したのは、東京エレクトロンとApplied Materialsとの合併買収が発表された直後というタイミングだった。規制当局は、この東京エレクトロンとApplied Materialsの合併買収についても否認している*)。

*)関連記事:東京エレクトロンとAMAT、経営統合を断念――米当局と折り合わず

 Semiconductor Advisorsの市場専門家であるRobert Maire氏は、電子メールのニュースレターの中で、「Lam ResearchとKLA-Tencorの合併買収に対する今回の判断は、今後発生する可能性がある他の企業の合併買収に対し、顧客企業の水平的な重複だけでなく、垂直的な重複も問題となることや、製品の重複が全くなくても自動的に承認を得られるわけではないことなどを示す“威嚇射撃”となるだろう。今回、2つの合併買収案件が失敗に終わったことから、今後、半導体装置市場の他の企業が、新たに大規模な合併買収を試みようとする可能性は、極めて低くなるだろう」と述べている。

 また、今回の判決により、Applied Materialsが今後、業界トップの設備メーカーとしての既存の地位を確実に維持していくとする見方もある。

 KLA-TencorとLam Researchは、今回の判決の発表後に行ったカンファレンスコールの中で、「業界のけん引役を担う企業は今後、独立型の企業として、自らの成長を拡大していくことができる」と主張している。アナリストたちは、「KLA-Tencorは、プロセス制御市場において50%を超えるシェアをさらに拡大していくという、力強い展望を明示している。またLam Researchは、隣接市場において、長期的な成長の可能性を探求していくだろう」と述べている。

 Lam Researchは、「KLA-Tencorとの合併によって製品シリーズを統合した場合、1年間あたり6億米ドル相当の価値を生み出すことができる見込みだった」と述べている。Lam ResearchのCEOであるMartin Anstice氏は、カンファレンスコールにおいて、「このM&Aによって、われわれのビジョンの多くを実現できると考えていた」と述べた。

 同様にKLA-TencorのCEOであるRick Wallace氏は、買収が許可されなかったことについて「残念だ。両社のプロセス技術を組み合わせれば、半導体業界におけるイノベーションを加速することも可能だっただろう」とコメントした。

最終更新:10/11(火) 13:44

EE Times Japan