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4選目指すメルケル独首相の八方塞がり

ニュースソクラ 10/11(火) 12:00配信

姉妹政党CSUの出方が鍵

 来年、ドイツで連邦議会選挙が行われる。これにメルケル首相が出馬し勝利を収めると、首相として4選されることとなる。昨年の今頃まではこれを疑う者はいなかった。メルケル首相が党首をつとめるCDUの姉妹党の党首シーホーファー氏は、すでに2014年にメルケル支持を打ち出していた。党内の議論は次の選挙で過半数がとれるかどうかに傾いていた。

 それが今年に入って変わった。難民を歓迎すべきと標榜するメルケル首相の人気は急落し、最近ではメルケル首相が自党の集会で演説している最中に、党員からメルケル辞めろのヤジが出ることさえある。またネットを検索するとメルケル4選阻止する会のサイトが現れる。

 この夏、ドイツの大衆紙、ビルトアムゾンタ―クが行った世論調査によるとメルケル再選反対が48%、賛成が42%との結果であった。

 メルケル首相が率いるCDUは9月に行われたベルリンを含む2州の州議会選挙で敗北した。CDUにかわり勢力を伸ばしたのは、難民問題に厳しい姿勢をとる政党「ドイツの選択肢」(AfD)である。有権者が、難民受け入れについて前向きなメルケル首相に、レッドカードを突き付けたのである。

 メルケル首相は、惨敗したベルリンの選挙後、これまでよく使っていたWir schaffen das(難民受け入れはできる)という言葉をあまり使わないようにすると発言した。そして時計の針を元に戻すことができるなら、EUの対外国境の守りを強化して、難民を欧州に入れないようにすべきだったと悔やんだ。

 メルケル首相は、来年の選挙に首相候補として出馬するかどうかの結論を、来年初めに出すと言っている。理由は姉妹政党のCSUが、メルケル首相支持の決定を来年の春まで見送る方針であるからである。

 CSUはバイエルン州の地方政党である。同じ保守政党としてこれまで全国政党のCDUとともに行動してきた。CSUが地盤とするバイエルン州はオーストリアと国境を接しており、このため大量難民の流入があった昨年は大きな影響をうけた。それゆえ党首のシーホーファー氏は、難民受け入れに前向きなメルケル首相と激しく対立した。

 シーホーファー党首はそれまでの姿勢を改めメルケル首相の4選支持を撤回し、最終的な党としての判断を来年春に出すこととした。

 身内の支持を撤回されたメルケル首相は、出馬表明を見送らざるを得なくなったわけである。

 9月24日、ウイーンで難民問題をテーマにした首脳会議が開かれた。参加したのはハンガリーやクロアチアなど、昨年大量難民が通過したバルカン諸国の国々の首脳である。オーストリアを含むこれらの国々は、難民の通過を妨げるため国境の封鎖を行った。

 難民のための国境開放を行ったメルケル首相は、これらの国々の首脳とは距離を置いてきたが、今回の首脳会議には参加した。この会議でメルケル首相は、違法難民の流入阻止の必要性を認め、他の首脳とともにEUの対外国境の防衛強化を宣言した。

 そうした意味でメルケル首相とCSUの立場は近づきつつあるが、CSUは難民の年間受け入れ上限枠の設定を要求しており、これにはメルケルは強く反対している。このためCSUがメルケル支持を決められるかどうか、まだまだ微妙と言えよう。

■茶野 道夫(ウィーン在住コンサルタント)
日系金融機関のウイーン駐在代表を定年退職後、不動産投資コンサルタント。日系金融機関のウイーン駐在代表をつとめた後、定年退職。ウイーンで、不動産投資コンサルタント。英、独、仏、西、伊、露語に通じ、在欧経験28年。英国、スペインにも勤務。

最終更新:10/11(火) 12:00

ニュースソクラ

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