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海外テロから中小企業守る! 外務省などが官民タッグで本腰 安全対策のプロ派遣

日刊工業新聞電子版 10/11(火) 13:30配信

バングラデシュ・ダッカ襲撃テロ、邦人死傷が契機

 中小企業の海外でのテロ対策強化に向け、官民がタッグを組む。外務省と日本商工会議所、日本貿易振興機構(ジェトロ)などは「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」を9月末に発足。今後、連携してセミナーなどを通じて中小企業にテロ対策の備えを促す。資金や人手に限りのある中小企業は安全対策の専任部署を設けることは難しい。これを補完すべく官民連携で中小のテロ対策を支援していく。(大城麻木乃)

■注意喚起空しく
 邦人8人が死傷した7月のバングラデシュ・ダッカの飲食店襲撃テロ。被害に遭ったのは、国際協力機構(JICA)から調査の委託を受けた中堅・中小の建設コンサルティング会社社員らだった。外務省はイスラム教の国々でのテロに警戒するよう呼びかけていたが、事件は起きた。ある安全対策の専門家は「JICAから見ると“孫請け”会社の社員もいた。今回の事件で末端の中小企業までいかにテロ対策を徹底させるか課題が浮き彫りになった」と指摘する。

 外務省も事態を重く見て、8月2日にまとめたテロ対策に関する報告書では「中堅・中小企業との連携の強化」を明確に打ち出した。具体的には、全国の中小企業のネットワークを有する日本商工会議所と外務省が意見交換する「海外安全対策タスクフォース」を設置。いかに中小企業に安全対策を広めるか詳細な議論を始めた。

 これに加え、日商だけではなく、日本企業の海外展開に関係する幅広い組織・機関との情報共有も必要と判断。外務省はジェトロやJICA、全国中小企業団体中央会、全国知事会なども参加する「中堅・中小企業海外安全対策ネットワーク」を9月27日に立ち上げた。同ネットワークは今後、外務省の局長級が参加する「本会合」を年1回開催するほか、課長級の「幹事会」を不定期で開催し、企業が抱える懸念や問題点を吸い上げる意向だ。

■“稼ぐ”優先で関心低く
 会議と並行し、日商は各地の商工会議所を通じて外務省の安全対策情報を企業に広める。日商の赤木剛国際部長は「外務省はすでに企業に役立つ安全対策の小冊子を用意しているが、まだあまり知られていない」と指摘。「セミナーなどを通じて周知していきたい」と語る。

 例えば『海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策Q&A』や『海外赴任者のための安全対策小読本』といった冊子を外務省は作成し、ホームページで公開している。こうした情報の活用を企業に呼びかける方針だ。

 もっとも、中小企業の経営者にとって最大の関心事はいかに稼ぐかだ。テロ対策への関心度はまだ低く、このテーマだけに特化したセミナーを開いても、参加率はいまひとつになりかねない。そこで、従来から開催されている海外の投資セミナーを開催する際に、「最後に少しだけ時間を取り安全対策の留意点を説明する」(赤木部長)ことで、より幅広い企業に情報を発信していきたい考えだ。

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最終更新:10/11(火) 13:30

日刊工業新聞電子版

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